OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ソフトロックのトミー・ロウ

2014-06-29 16:31:22 | Pops

Dizzy / Tommy Roe (abc / キングレコード)

我国ではチャートマニアやオールディズファンから絶大(?)な支持を集めるトミー・ロウは、しかし一般の洋楽好きからはバブルガムのシンガーであり、決してロケンローラーと認められているわけではありません。

しかしトミー・ロウは偉大なロッカーとして歴史に名を刻するバディ・ホリーのボーカルスタイルに影響され、何よりもソングライターとしての才能も豊かでしたから、もう少しは日本で評価されても!?

というのが、サイケおやじの正直な気持ちです。

そこで本日掲載のシングル盤A面曲「Dizzy」は、1969年春に全米ヒットチャートのトップに輝いた本人自作のソフトロックで、共作したのは旧友のフレディ・ウェラーなんですが、もうひとつ特筆しておきたいのが、ハリウッド系ポップスの裏方としては、P.F.スローンと組んだ仕事やグラスルーツのプロジェクト等々で、殊更重要人物だったスティーヴ・バリの存在でしょう。

実はスティーヴ・バリは、トミー・ロウが1962年に放ったデビュー大ヒット「かわいいシェイラ / Sheila」以来のファンである事を公言していたらしく、この「Dizzy」のプロデュースにも相当の力が入っていたのでしょうか、ちょい聞きには、ど~って事の無いメロディをグッと濃密な印象に導くストリングの使い方は、なかなかにソウルフル♪♪~♪

ちなみにストリングのアレンジはご存じ、名匠のジミー・ハスケルなんですが、ここでの成功が例えばグラスルーツ等々、1969年末頃から黒っぽいサウンド作りに転進した所謂ダンヒルサウンドの分岐点だったのかもしれません。

ただし、スティーヴ・バリは最初っから、それを本命にしていたわけでは決してなく、同時期に作られたトミー・ロウ&スティーヴ・バリのコラボレコードを聴いてみれば、前述した「かわいいシェイラ / Sheila」の如き、先祖がえりのバディ・ホリー調の歌と演奏があったりしますから、試行錯誤は確かにあったはずです。

そして、以下はサイケおやじの独断と偏見による独り善がりな推察になりますが、おそらくはここで聞かれるスタイルで「Dizzy」を歌いたかったのは、トミー・ロウ本人の希望が強かったのでは?

また、それを鋭く察したスティーヴ・バリのプロデュースも侮れないのが当然であり、そんなこんなも音楽産業の裏側を探索する楽しみのひとつかと思うばかりです。

ということで、今となってはあまり刺激的ではないトミー・ロウという歌手の存在、同じくバブルガムヒットにジャルン分けされてしまう「Dizzy」という名曲の軽い扱いは、それが当然と納得するしかない状況だとしても、もう一度、聴き返されるべき時期に来ているような気がしています。

幸いなことにトミー・ロウのキャリアを辿るのは、CDによる音源覆刻も含めて、それなりに充実していますし、近年はソフトロックの分野から再評価される良い状況もありますから、皆様もぜひ、どうぞ。

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