帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの「古今和歌集」 巻第二 春歌下(104)花見れば心さへにぞうつりける

2016-12-20 19:12:05 | 古典

             

 

                        帯とけの「古今和歌集」

                ――秘伝となって埋もれた和歌の妖艶なる奥義――

 

「古今和歌集」の歌を、原点に帰って、紀貫之、藤原公任、清少納言、藤原俊成に歌論と言語観を学んで聞き直せば、歌の「清げな姿」だけではなく、隠れていた「心におかしきところ」が顕れる。それは、普通の言葉では述べ難いエロス(性愛・生の本能)である。今の人々にも、歌から直接心に伝わるように、貫之のいう「言の心」と俊成の言う「歌言葉の戯れ」の意味を紐解く。                                                                                                                                                                                                                                   

 

「古今和歌集」 巻第二 春歌下104

 

うつろへる花を見てよめる        躬恒

花見れば心さへにぞうつりける 色には出でじ人もこそしれ
            (移ろう花を見て詠んだと思われる・歌……衰えたおとこはなを見て詠んだらしい・歌) みつね

(うつろう、草花・女花、見れば、我が・心さえ移りゆくことよ、顔色に出さないでおこう、他人にも知られるとまずい……うつろう、木の花・おとこ端、見れば、身だけでなく・春情さえ衰えゆくことよ、色には出さないでおこう、吾女に知れるとこまる)

 

 

歌言葉の「言の心」を心得て、戯れの意味も知る

「花…草花…言の心は女…女花…女の美しい顔…花顔という」「見…目で見る…めんどう見る…めとる…まぐあう」「うつる…移る…悪い方に変化する…衰えゆく」「色…顔色…かたちあるもの…白々しい色のもの」「人…他人…女…吾妻」「もこそ…『も』を強調する…困る…まずい…起こるべきことを危惧する意を表す」。

 

衰えゆく草花を見ると、わが愛でる心も衰える、移り気な心は他人に知られたくないなあ。――歌の清げな姿。

衰えゆく我が・おとこ端、見れば春情さえ衰退する、かたちには出さない、吾妻に知れると困る。――心におかしきところ。

 

躬恒の歌が表現するのは、情事での繊細な男の心と、情態でのこまやかな感情のありさまである。

躬恒をば侮るなかれ」という鴨長明の歌の師のお言葉の真の意味がわかるのは、さらに、躬恒の歌に多く接してからなのだろう。


 (古今和歌集の原文は、新 日本古典文学大系本による)

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