帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの「古今和歌集」 巻第四 秋歌上 (229)をみなへし多かる野べに宿りせば

2017-05-17 20:03:47 | 古典

            

 

                        帯とけの古今和歌集

                     ――秘伝となって埋もれた和歌の妖艶なる奥義――

 

国文学が無視した「平安時代の紀貫之、藤原公任、清少納言、藤原俊成の歌論と言語観」に従って、古典和歌を紐解き直している。古今和歌集の歌には多重の意味があり、その真髄は、公任のいう「心におかしきところ」である。人のエロス(生の本能・性愛)の表現で、俊成がいう通り、歌言葉の浮言綺語に似た戯れのうちに顕れる。

歌のエロスは、中世に秘事・秘伝となって「古今伝授」となり、やがて、それらは埋もれ木の如くなってしまった。はからずも、当ブログの解釈とその方法は「古今伝授」の解明ともなるだろう。

 

古今和歌集  巻第四 秋歌上 229

 

題しらず                小野美材

をみなへし多かる野べに宿りせば あやなくあだの名をやたち南

おののよしき(信濃の権の介)

(女郎花、多くある野辺に宿りすれば、紛れもなく浮気な人との評判が、立つだろうよ……遊びめ圧し、多くあるひら野に、留まって居れば、道理なく、婀娜の汝おが、立つだろうか・難)。

 

 

歌言葉の「言の心」を心得て、戯れの意味も知る

「女郎花…草花の言の心は女…草花の名…ものの名は戯れる、をみな圧し、をみな部し、遊びめたち、年中春のもの売る女たち」「あやなく…綾なく…条理なく…彩なく…粉飾なく」「あだ…徒…浮ついている…浮気な…婀娜…艶かしい…なよなよと色っぽい」「な…名…評判…汝…親しきものをこう呼ぶ…わがおとこ」「を…お…おとこ」「や…疑問の意を表す…詠嘆の意を表す」「立ち…(評判が)立つ…(ものが)立つ」「南…なむ…だろう…推量を表す…なん…難…難しい」。

 

女郎花・遊び女、多いところに、宿りすれば、まぎれもなく浮気な色好みと、評判が立つだろうなあ。――歌の清げな姿。

をみな圧し多くある、ひら野に留まっていれば、あやなく、婀娜な・なよなよと艶めかしいわが汝お、猶も・立つだろうか・難しい。――心におかしきところ。

 
 を
なへし多ければ、はかなく身を尽くしてしまう、かなしいおとこの性(さが)を、危惧する歌のようである。

 

(古今和歌集の原文は、新 日本古典文学大系本による)

ジャンル:
文化
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 帯とけの「古今和歌集」 巻第... | トップ | 帯とけの「古今和歌集」 巻第... »

あわせて読む