帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの「古今和歌集」 巻第四 秋歌上 (180) たなばたにかしつる糸のうちはへて

2017-03-21 19:03:14 | 古典

             

 

                       帯とけの古今和歌集

               ――秘伝となって埋もれた和歌の妖艶なる奥義――

 

国文学が全く無視した「平安時代の紀貫之、藤原公任、清少納言、藤原俊成の歌論と言語観」に従って、古典和歌を紐解き直せば、仮名序の冒頭に「やまと歌は、人の心を種として、よろずの言の葉とぞ成れりける」とあるように、四季の風物の描写を「清げな姿」にして、人の心根を言葉として表出したものであった。その「深き旨」は、俊成が「歌言葉の浮言綺語に似た戯れのうちに顕れる」と言う通りである。

 

古今和歌集  巻第四 秋歌上 180

 

(なぬかの日の夜よめる)            (凡河内躬恒)

たなばたにかしつる糸のうちはへて 年の緒ながく恋ひやわたらむ

                               (みつね)
 (織姫星にお供えした糸のように、延びて、年月長く、彦星を・恋い続けるのだろうか……たなはたに・多のはたまたおんなに、貸し与えた、いと細きもの、射ち伸びて、疾しのおを、長く求め続けるのだろうか)

 

 

歌言葉の「言の心」を心得て、戯れの意味も知る

「たなばた…七夕星」「たな…多な…多の…多数の…多情の」「な…の」「はた…それでもやはりまた…その上また」「かしつる…貸した…供えた…貸し与えた」「糸…七夕の日に織姫星に五色の糸などを供える…細いもの…細い小枝…おとこの自嘲的表現…いと…非常に」「の…のように…比喩を表す」「うちはへ…うち延え…伸びる…だらりとなる」「うち…打ち…接頭語…射ち」「年…とし…疾し…早い…一瞬」「緒…を…紐…お…おとこ」「恋ひ…恋い…乞い…求め」「わたらむ…渡らむ…続くだろう」。

 

織姫星よ、お供えの糸のように、明日からはまた、長く彦星を恋い続けるのだろうか。――歌の清げな姿。

多情なその上にまたという女、一時貸し与えたもの、いと細り伸び、早きおを、長く求め続けるのだろうか。――心におかしきところ。

 

歌の「清げな姿」に付けられた、歌の趣旨は、女の恋い乞う情念の持続力を畏怖する男の心のありさまだろう。

 

(古今和歌集の原文は、新 日本古典文学大系本による

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