帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの「古今和歌集」 巻第四 秋歌上 (207)秋風に初雁が音ぞきこゆなる

2017-04-21 20:00:43 | 古典

            

 

                      帯とけの古今和歌集

               ――秘伝となって埋もれた和歌の妖艶なる奥義――

 

国文学が全く無視した「平安時代の紀貫之、藤原公任、清少納言、藤原俊成の歌論と言語観」に従って、古典和歌を紐解き直せば、仮名序の冒頭に「やまと歌は、人の心を種として、よろずの言の葉とぞ成れりける」とあるように、四季の風物の描写を「清げな姿」にして、人の心根を言葉として表出したものであった。その「深き旨」は、俊成が「歌言葉の浮言綺語に似た戯れのうちに顕れる」と言う通りである。

 

古今和歌集  巻第四 秋歌上 207

 

是貞親王家歌合の歌             友則

秋風にはつかりがねぞきこゆなる 誰が玉づさをかけて来つらむ

是貞親王家(寛平の御時、宇多天皇と御兄弟のお方の家)の歌合の歌。とものり(古今集撰者の一人)

(秋風にのって、初雁の声が、聞えている、誰の大切な便りを携えて来たのだろうか……心に吹く飽き風に、女の初かりの声が聞こえるようだ、誰が、玉づさぶらさげて、来たのだろうか)。

 

 

歌言葉の「言の心」を心得て、戯れの意味も知る

「秋風…飽き風…飽き満ち足りた心に吹く風…厭き風…厭き厭きする心風」「に…によって…のために」「はつかり…初雁…この秋初めて飛来した雁…鳥の言の心は女…初狩り…初刈…初めとり…初体験」「かり…刈る・採る・娶る…まぐあう」「ね…音…声」「なる…なり…推定・断定の意を表す…成る…熟る…萎る…なえる」「たまづさ…玉章・玉梓…手紙…便り…消息」「玉…美称…大切なもの…二つ有る玉」「づさ…頭さ…ものの頭…さ…接尾語」「を…対象を示す…お…おとこ」「かけて…掛けて…携えて…懸けて…ぶらさげて」「らむ…推量する意を表す」。

 

秋風に、初雁の声が聞こえている、誰の大切な便りを携えて飛来したのだろう。――歌の清げな姿。

飽き満ち足りた風に、初かりの女の声が聞こえる、誰が貴重な玉、かしらを、ぶらさげて来たのだろうか。――心におかしきところ。

 

あえて第三者として、女と男のエロス(性愛・生の本能)を、声と玉づさで、表現した歌のようである。

 

(古今和歌集の原文は、新 日本古典文学大系本による)



ジャンル:
文化
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 帯とけの「古今和歌集」 巻第... | トップ | 帯とけの「古今和歌集」 巻第... »

あわせて読む