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ある骨董商のつぶやき…実はプロは本当は知らない、そこそこでよい

2015-04-06 17:37:44 | 骨董
ある露店でのこと。


隣の古美術を専門に扱う骨董商がつぶやいた。


「俺は何十年とこの商売やってるけど、お客さんの方がよく知ってるよ。

コレクターはよく勉強してるよ。その分野の専門家だ。

彼らコレクターから教えてもらうことの方が多いね。

じぶんじゃあ、勉強しないから」といって笑った。

謙遜もあるだろう。蔵出しで、古いものを体感し、

競り市場で失敗して、感覚が身についているだろうから。

でも、すべてのプロになれない。

僕も、たとえばレコードを売るときは、コレクターに出し抜かれる。


「ビートルズナンバー5のレコードでも、帯の色で値段が違う。初版かどうかわかるし

英国製は高くて、日本製は安いよ」とか、

いろいろ同業も含めて商売の場で教えてもらうことが多い。

ガラスだったら、ポンテ痕のカットの鋭さで和といまどきのチャイナ製を見分け、

武具だったら、叩いた音がチーンというかで古い鍔かどうかを判断し

浮世絵だったら、赤の色が薄ければ江戸期、濃ければと明治期がわかる。

作家モノもコレクターの方が断然詳しい。

中古のブランドバッグも、コンディションのチェックは女性客の方が半端なく厳しい。


塗り物だったら、蒔絵の仕方(研ぎだしたものはツルツルでデザインがカッコイイ。しかし手間暇かかる)とかを、コレクターに学んだ。

銅器ならば一点ものか、型ものかなどの見分け方。

◆もので満ち溢れる大海で、本物をすばやく見分けるコツとはなんでしょう…

専門のコレクターの身に付けた

膨大なカネと時間をつぎ込んで出来上がった物差しを

タダで分けてもらうことなのか。

逆に知らない方が、教えてもらえたりするので、そこそこでいいのかもしれないなあ。

プロが全分野を完璧に知っているものだと思ったら大間違い。当たらずとも遠からずに着地できる感覚がプロ。

だとすれば、これから社会に出る学生は臆することなど何もないのだ。

リラックスして自称プロを目指せばよいのだから…


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