今年1~9月期に上場企業が発表した自社株買い枠は4兆7000億円と、昨年同時期を3割も上回った。
すでに買った自社株の効力をなくす消却も高水準で進んでいる。円高で収益環境が悪化する中でも、企業は株主への利益還元の手を緩めていないように映る。裏を返せば、株数を減らして1株当たり利益を増やし、株価維持を図っていることになる。
直近では、ソフトバンクグループが7日、総発行株の8%超の消却を発表し、翌日の株価は上昇した。大量の自社株が市場に売り戻される懸念が消えたためだ。
自社株買いには、購入枠の設定と買い付け、買った株式の処分-の3段階がある。ソフトバンクのように大量消却までたどり着くのは少数派。自社株を買ったまま塩漬けにし、自社が筆頭株主となった企業は300社を超える。購入枠を毎年設定して株価を動かしながら、実際には金を出さない「買う買う詐欺」企業もある。
10、11月は自社株の購入枠設定も消却も増加する傾向がある。枠設定ばかりが増えると相場の黄信号とみてよさそうだ。