Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

俳優座「フル・サークル」

2017-06-27 | 映画・テレビ・演劇・芸能

  6/14(水)午前にクルーズから帰宅してその日の夜は、観劇の日だった。翌日の昼例会もあったのだが、日曜日の龍尚会の発表前のお稽古日と重なり休みたくなかったのであえて夜で申し込んでいた。クルーズから一緒に帰ったSAさんと、夕方早めに出かけた。

 俳優座の「フル・サークル」と言う演劇。タイトルも役者さんたちもなじみの薄いお芝居、と言うのが最初の印象だった。👇は、パンフレットより。
 右端の女性が主人公、アンナ(斉藤深雪さん)、真ん中は政治犯ローデ(小山力也さん)、左端がゲシュタポの隊長シュミット(島英臣さん)。サブタイトルに「ベルリン1945」とあるように、1945年4月30日、アドルフ・ヒトラーが亡くなった日のベルリン、とあるアパートの3階の部屋が舞台だ。

  「ゲシュタポ」と言っても知らない世代が多いと思うので、ウィッキペディアから引用すると、
 ”ゲハイメ・シュターツポリツァイ(ドイツ語: Geheime Staatspolizei=「秘密国家警察」、通称ゲシュタポ、独: Gestapo)は、ナチス・ドイツ期のプロイセン州警察、のちドイツ警察の中にあった秘密警察部門である。” とある。日本の「特高=特別高等警察」に相当するのか、と私は、ぼんやり考えている。

 👇は、パンフの裏面。細かい文字は読めないが、出演者9名の顔写真が載っている。

  ヒットラーが死に、ベルリンはまもなく降伏し、ソ連軍に包囲される。その狭間の2日間の物語である。強制収容所から逃げた囚人を追って、ゲシュタポのシュミットがアンナの部屋に入って来る。右手を挙げて「ハイル ヒットラー」と言えば、同じように「ハイル ヒットラー」と答えねばならない。それがヒットラーに対する忠誠を示すからだ。 
 ゲシュタボが来る前にシマシマの囚人服を着たローデが助けを求めてこの部屋へ来て、アンナは亡き夫の服や靴を貸し、彼をかくまう。シュミットは同じく収容所から逃げ、捕らえられた囚人のカッツ(中寛三さん)を連れてきて、「この男脱走犯だろう、知っているだろう?」と尋ねる。首実検だ。この場面が圧巻だった。

 囚人は絶対に自分の名前を名乗らない。番号で言うように命じられているからだ。何度も何度も尋ねられてようやく「カッツ」と言う名と元の職業は大学教授だと答えるが、「命を助けてやるから言え。」と言われても、最後まで「知らない」とローデをかばい、ヒットラーを罵倒しながら3階の窓から飛び降りてしまう。短い場面だがこの上なく緊張する場面であり、ナチの政治の恐怖を象徴する場面だった。

 ドイツの降伏後、日本はまだ3カ月半も戦っていたと言うことだ。もっと早く降伏しておれば、広島、長崎の原爆投下もなかったし、私の父ももしかしたらルソン島から生還できたかもしれない…。
 そして国民に敬礼を強要するヒットラーの姿は、某国の首相を彷彿とさせる。かのチャップリンの”Dictator(独裁者)”の映画をテレビやビデオで何度も見たが、あれはひょんなことから床屋が独裁者に間違われる話。彼は最後に「絶望してはいけない」と6分間におよぶ名演説を行い、国民に呼びかける。

 独裁者は当の本人はもちろんだが、周りも悪い。独裁者を作る周囲の者も愚かと言うことだ。願わくは私たちの国がそうなってほしくはないもの。等々と深く感じる演劇でした。

 👇は、ネットから。このお芝居を演じられた俳優座の皆さんの笑顔です。心が和み、元気が出て来る笑顔ですね。


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4 コメント

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Unknown (なは)
2017-06-28 17:08:36
清姫様
安穏としてみてはいられない、いやむしろ鬼気迫る物語でした。
まもなく降伏するというのに、なんと恐ろしいと思い、ずっと緊張しながら見ていましたが、帰りにせっちゃんが映画「沈黙」を思い出した、と言われました。
わたしは節操を曲げない利休とかを思い起こしていました。他人ごとではないと思いました。
そうですよね、独裁者を生み出す世相が問題ですね。
一人一人が大切です。今の時代だからこそ見るべき劇ですね。
最後の写真は素敵です。あの演技をした人たち?と驚きます。
Unknown (清姫)
2017-06-29 21:21:29
なはさん
17年前でしたか、まめさんやつもさんと一緒にアウシュビッツやベルリン、オランダのアンネの家などを旅し、強制収容所の中を見て来ました。恐ろしい世界、恐ろしい時代でした。それが再現された舞台でした。
俳優座の皆さんは、どんな思いで上演を決められたのか?今の私たちに、愚かな選択をするな、と言っているように思えました。ローデが同じ間違いをしたくない、とソ連兵に連れていかれる姿は悲しかったです。
Unknown (姫)
2017-06-30 02:45:03
難しいので、スルーです
Unknown (清姫)
2017-06-30 19:15:37
姫ちゃん
私も書きにくくてスルーしようと思ったけど、日が経つとかつて訪ねたアウシュビッツの光景が思い出され…そこの部分だけと思ってアップしました。

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