ブログ随筆「ちょっと、散歩へ」

         日々の趣味など・・・

「盂蘭盆」

2017年08月13日 10時40分08秒 | 日記
お盆のお中日。この辺りは農家中心の土地柄だったせいか、当然、旧暦である。門々には迎え火が燃えていた。子供の頃(僅か14年だったが)、お盆は貧しいながらも多少の馳走に与られる、特別の日々だった。この時ばかりは〈貧乏性〉で口喧しい母が、いそいそと「お萩」を作って呉れたものだ。それもかなり甘かった。と云うのもその母は、時々、他家から貰う甘物に「砂糖をケチってる」と批評し、確かにそれはボンヤリとした甘さのことが多かった。

また盆の楽しみはお土産である。若い頃から家を出ていた兄姉らが帰省して来る。末弟としては彼等のボストンバッグが開く瞬間にワクワクした。それは大抵がその土地の駄菓子などに過ぎなかったのだが、貧しい中では大変なものであった。残念ながら「小遣い」などは貰った記憶がないから、彼等もカツカツの生活をしていたのだろう。それは私がその後、実体験した都会での生活で良く分った。金銭的な余裕などとは縁遠いものであったからである。

お墓参り。さして信仰が篤い訳でもなかったろうが、先祖崇拝の感情は生来のものだったのか、昔の人は時々の墓参りは欠かさなかった。母に連れられて町場にあった墓に行った。まずお寺に寄り、何がしかのお布施を渡してから墓地へ。線香の匂いが流れている。供花・菓が真新しい。そそくさと参り(敬虔に…)などの雰囲気を感じた事はなかった。母はそういうことに頓着するような神経の細さはない人だったようである。今の私とは真逆である。

私らはその足で、母の兄弟の家に顔を出すのが常だった。そこには私と同年輩の従兄妹らが居て、久し振りの再会となる。中には年頃になった従妹も居り、密かに胸をときめかせたこともある。〈従妹〉と云うのは他人と親族の微妙な間にある存在のようで、多くの〈初恋〉の対象になると云うが、それも頷ける。城下町の見通しの利かない辻からは、溝の臭いが立ち上がる。片陰の鮮やかな陰影が路面に貼り出し始める。もうすぐ短い夏は終る。
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