ブログ随筆「ちょっと、散歩へ」

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「土 手」

2017年07月28日 21時19分47秒 | 日記
昨年暮れに手術した連れ合いが、大分、元気になって、長岡の妹の所に出掛けた。一時は35キロにまで痩せて、ちょっとの風にも吹き倒されるようで、とてものこと外出も儘ならなかったのだが、ようやく「39キロにまで快復した」と喜んでいた。名物の花火見物の予定もあるらしい。1週間ほど留守になるので、私に細々と〈指示〉した上で、熊谷まで送らせた。これで当分、心置きなく「土手」でパークゴルフに勤しめる。

この「土手」は連れ合いの言い回しなのだが、パーク場が荒川の河川敷にあるからの表現なのだろう。だが、時代を遡れば微妙なことになる。江戸初期の明暦の大火で人形町から移転した遊郭が居着いたのが日本堤の土手で、以来、吉原土手の地名で人口に膾炙した。だから連れ合いが「きょうも土手に行くの?」などの云い様は、当時であれば「きょうも吉原に行くの?」になってしまう。私は腹の中で微苦笑する所以である。女房公認で吉原通いもあるまいから。

「吉原」と云えば古川柳には格好の材料だったようで、名句迷句が多々ある。もとより当時の世事世故に通じていないと理解出来ない句が多いが、解説書と首っ引きで見ると…。「脇差をもどせば茶屋はかのを出し」。坊さんが刀を借りて医師に化けて上がり、帰りに「かの」(彼の=衣)を返した、と云うもの。「おはぐろをつけつけ禿(かむろ)にらみつけ」は遊女がお歯黒を付けている最中。口で叱れないので睨み付けたもの。「駕賃(かごちん)をやって女房はつんとする」はすぐに分る。廓からの朝帰りの様子で、私の好きな句だ。

これらの句は現在とは倫理観の違う時代の産物だが、昭和32年4月1日に施行された「売春防止法」は、表向きの性産業を取り締まっただけと云うのは周知の事実である。アメリカの禁酒法時代の話に似て、性産業はかえって陰湿化し複雑化したに過ぎなかった。いかにも実態? に伴わない法制化の典型である。その後、「売防法」の補強はなされたのかどうかは知らない。敢て誰もが触れない状況が固定化しているのではないか。紅灯に縁遠い僕(やつがれ)には無関係だが…。

2 コメント

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お久し振りです (北のミミ)
2017-07-29 15:50:18
暑中お見舞い申し上げます。久々のブログ拝見しました。お連れ合いさまがお出掛けになれるまで回復なさって良かったこと。この暑さでは外遊びの多い太郎さんもバテていらっしゃるのではと案じていたところです。この一週間気兼ねなく「土手通い?」が出来るそうでご無理をなさらないように。熱中症にご注意!こちらは御身大事になまけ放題で過ごしています。
北のミミさんへ (吹上no太郎)
2017-07-30 15:29:10
ブログもこの頃、サボリにサボっています。「土手」には暑さも何のその出掛けています。午後3時から割引になり、陽もやや翳り皆さんが思うほどの暑さでもありません。草原では秋の虫も鳴き始めているくらいです。とは言え、まだまだ暑さにお気を付け下さい。

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