野に撃沈

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。ペンタックスK10Dをバッグに野山と路地を彷徨中。現在 野に撃沈2 に引越しました。

錦秋に染まる西沢渓谷

2007-10-31 | ハイキング
自宅から一般道で三時間、関東有数の紅葉のメッカ西沢渓谷へ行ってきた。家を出たのが8時少し前と遅かったので、渓谷入り口に着いたのは11時過ぎだった。
 以前はこの時間だと駐車場探しで大変だったのだが、無料駐車場が増えたのか嬉しいことに空いていて楽に停められた。

 西沢渓谷へは秩父経由で行った。埼玉と山梨を結ぶ雁坂トンネルは工事中で片側規制されていた。


 橋の下の市営駐車場は一杯だったが、少しはなれた土産物屋の広大な無料駐車場はがらがらだった。


 頭上の黄葉が目に眩しい。


15分ほどで”ねとりインフォメーション”のある分岐につく。



 右に折れる。渓谷の遊歩道は一方通行なので全員左回りのルートで歩くことになる。暫くすると甲武信岳への登山口が見えてきた。ここからの登りは頂上まで6時間近くかかるので、今では余り登る人がいなくなってしまった。去年私もここのきつい登りを敬遠して反対側の信州毛木平から登った。(06年の11月1日のブログに記事がある)
 

 登山者が少なくなって今では使われてない西沢山荘。


 山荘のすぐ脇に田部重治(読んだ事がないの)の文学碑がある。ユニークな自動車の形の石碑が静かに木漏れ日を浴びていた。


 沢沿いを歩きながら高度をゆっくりと上げて行く。と同時に紅葉が次第に鮮烈さを増してきた。





最初の吊橋を渡る。砂防堰堤の向こうに鶏冠(とさか)山がみえる。


 下流側。


 気がつけば紅葉の渓谷のただ中にいた。


 川べりが少し広くなった所で早々にお昼にしている一団がいる。


 見上げると崖に紅葉した木々がへばりついている。急峻な崖が紅葉を配することでまるで一幅の屏風絵のように見える。


 紅葉の葉越しに洩れてくる光線を浴びていると、何時の間にか自身が山の錦の一部となり、体の内側から照葉色に染め上げられていく。




 滝が次々に現れてくる。


 

 吊橋の前では15分近く待たされた。聞く所によると先の日曜日には一時間の行列だったそうな。橋が老朽化して一人ずつしか渡れないのだ。これは渡った後に撮った橋の前の行列。


 吊橋を渡ってからは急な坂道をジグザグに登りつめて行く。



 まもなくして西沢渓谷最高のビューポイントとされる七つ釜五段の滝が梢越しに見えてきた。




 次第に人々の足が停まって行く。
 

 

昭和記念公園の秋

2007-10-30 | 公園
 夜気が寒く、その分朝寝が心地よいこの頃、やっと平地にも秋の気配が漂ってきたようだ。それを目で感じて見ようと、この前の日曜日は近くの昭和記念公園へ出かけた。

 砂川口から入った。立川口に比べこちらの方がいつも空いている。


 この前の日曜日に開園したばかりのこもれびの里。


 最近稲刈りも行われたようだ。この日の午後は落花生掘りと日曜ごとにイベントが組まれているらしい。


 すぐ近くのコスモスの丘。花は残念ながら見頃を過ぎていた。


 丘の上には展望台がある。富士山を遠くに望むことが出来た。



 みんなの原っぱの方まで歩いていくと、特有の臭気が漂ってきた。見ると銀杏の木にギンナンが鈴なりになっている。ここの公園のギンナンは自由に採って良いことになっている。3年前ギンナンが好きな僕は夢中で採っていた。が手をすっかり洗わなかったために、体のあちこちがかぶれてしまって結局は病院に行く羽目になってしまった。


 みんなの原っぱでは休日のせいもあって大勢の人が遊んでいた。


原っぱの反対側にはイエーローセンセーションという品種のコスモスが咲いていた。こちらの方はぎりぎり見頃といえるほどだが、とてもマクロで写す気にはならない。


 みんなの原っぱから渓流ゾーンを突っ切ってバーベキューガーデンの方まで行くと、なにやら大会が行われているようでしきりにアナウンスの声がした。

ハーブ園の丘のバンパスグラス。


ひまわりの畑の所にはノゲイトウが植えられていた。


 銀杏並木をコースの一部にしてマスター陸上大会が催されているらしい。そばを息をあげた選手たちが季節の移り変わりを愛でることなく駆け抜けて行く。銀杏はまだ殆ど青いままだ。


 それでも木によっては黄葉が進んでいるものもある。


 子供の森の入り口から右にそれ、日本庭園までやってきた。全体的には紅葉はまだまだだが、木によっては何とか見られるほどには赤く染まっている。







 盆栽園にも寄ってみた。山柿の木の盆栽が見事な紅葉を見せていたが近寄れなかったのが残念。代わりにツリバナの赤い実が綺麗だったので撮ってみた。



 ぐるっと公園の半分ほどを廻って戻ってきた頃には、コスモスの丘にも西日が射し始めていた。今日も一日が穏やかに過ぎてくれたようだ。 

黒川鶏冠山の続き

2007-10-27 | 登山
 前回up出来なかった写真を何枚か付け加えておこう。

頂上からの眺め。


これは反対側


 風もなく空は終始澄み切っていた。


 紅葉しかけた木々も美しい。











 登山道脇で見つけた美味そうなキノコ。


 ここで食事にした。


 落葉松林が黄色に染め上げられるのは間近い。




 落葉松に巻きついたツタウルシはいち早く紅葉を始めている。


 空はうろこ雲で覆われはじめた。


 大木賊沢の川辺に咲き残っていたトリカブトの花。


 これは福島の雄国沼でも見かけた青い実。図鑑で見るとネズミモチに似てはいるが…。


 突然10m先を黒っぽいものが藪の中に入っていった。一瞬熊かと冷や汗をかいたが、数秒後鹿の鳴く声を聞いて一安心。よくよく気をつけてみると山道のあちらこちらに鹿の踏み跡が夥しくあった。


 全く人気のない沢沿いの道を下って大菩薩ラインに合流したのは1時間後だった。


黒川鶏冠山~紅葉の境目を歩く

2007-10-26 | 登山
 久しぶりに山登りをしてきた。とはいっても標高差500mほどの低山だから行程も登り下り4時間半と大した事はない。が、前回甘利山に登ったのは一ヶ月以上前なので体はすっかり鈍っていた。
 色づき始めた大菩薩ラインを通って落合集落のある登山口についたのは10時半近く。以下簡単に行程を書いておこう。

 10時半落合より登山→11時15分分岐着→11時30分横手山峠通過→12時見晴台から黒川山→12時15分鶏冠山山頂→下りの鶏冠山分岐で道を黒川金山跡への道と間違える→引き返し1時半再び横手山峠、ここで昼食→柳沢峠方面へ降り、横手山林道から大木賊沢沿いの山道を下る→3時落合集落に戻る

 <出会った人> 10人ほどのパーティー、4人グループ、夫婦連れ2組、単独者3人いづれも60歳を超えたと見られる年配者ばかりだった。

 車を旧道脇に停め、赤い屋根の廃校脇を登っていくと林の入り口に鶏冠山への標識があった。隋分古びている。


 この辺で既に1200m近くの標高があるのだが、周囲の木々はやっと色づきかけたばかり。山道脇に大きな木株があった。


 薄暗い林の中でマムシグサの赤い実が一際目を引く。


 程よい傾斜の坂道を一時間ばかり登ってきてやっと分岐についた。ここで小休止。標高1500m近いこの辺でもまだ木々は緑を保ったままだ。


 更に標高を100mばかり稼いだ横手山峠辺りから周囲の色合いが段々と変わり始めた。黄色になりかけた落葉松の植林地が続く。




 登山口付近では緑色だったカエデもここでは紅葉モードに切り替わっている。


 ムシカリの木の葉も綺麗に染まっている。



 
 紅葉の木々の間にこれから登る鶏冠山の頂上が見えてきた。赤い紅葉が鶏のとさかのように見える。


頂上間近の1600mを越えた辺りから紅葉の色合いが鮮烈になってきた。どうしてこう滅びていくものは美しいのだろう。







 やっと稜線の木立を抜けて視界が開けた。見晴台からはうっすらとだが富士の姿も見ることが出来た。


 再び黒川山分岐に戻り鶏冠山を目指す。頂上の前には大きな岩が幾つか立ちはだかっている。急な登りも一息で越えられた。


 左回りに巻いて木立を抜けた先には立ち枯れた木が数本林立している。あっさりと頂上に着いた。


 小さな社のある鶏冠山頂上。登った時には二人先着がいた。


 久しぶりの雨の心配のない気持ちのよい山行だった。



秋バラのうたー旧古河庭園

2007-10-21 | 公園
 向島百花園の帰りは駒込で降りて、秋バラの咲く旧古河庭園に寄った。傘をさすほどではないがやわらかに小雨が降りしきる中、入り口に着くと秋のバラフェスティバルが催されていた。


 ここの見所は何といってもチョコレート色の洋館である。洋館の壁の色が雨に濡れ、同じく雨に濡れたバラの花と良く合っている。

 この前来た時には芝生を会場にして野外コンサートが開かれていた。


 心を鎮め、バラの香りの気圏の中に踏み入ってみる。



 バラ科バラ属。サクラを含めバラ科の花は3400種と数多いが、バラにも幾つかの別名がある。月季花、長春花、うばら、はなうばら、うまら、そうび、しゅうび等々。


 バラの香か今行き過ぎし人の香か  星野立子



 子規には「くれないの二尺伸びたる薔薇の芽の」ではじまる有名な歌があるが、他に 
  フランスの一輪ざしや冬の薔薇  という句もある。



 太宰の恋白薔薇一つづつ毀れ   島貫 恵 



 堕天使のごとくに薔薇を擁く(かいいだく)  加藤三七子



 under the rose は秘密の意。

 

 薔薇きよら美しき神ここに棲めり  中尾白雨
バラへの熱狂は宗教への帰依と相通ずるようだ。


 

 真紅のバラ越しに洋館のカフェの灯りが見える。


 
 青春はなおそれぞれに痛ましくいま抱き起こす一束の薔薇  松坂弘



古代、ギリシャの詩人は花の女王と称え、かのクレオパトラもこよなく愛したバラ。



 バラへの人々の熱狂は近代にも及び、ナポレオンの妃ジョゼフィーヌはマルメゾンのバラ園に世界中から250品種のバラを蒐めさせたという。



 逢ふことのためらひすこし冬薔薇(そうび)  加藤三七子 





 薔薇の香ありけふのいのちを眠らしむ  日野草城



 薔薇の辺やこたびも母を捨つるがに  石田波郷



 北原白秋の薔薇二曲。
 
 一 薔薇ノ木ニ 薔薇ノ花サク。ナニゴトノ不思議ナケレド。

 二 薔薇ノ花 ナニゴトノ不思議ナケレド。照リ極マレバ木ヨリコボルル
   光コボルル。




 薔薇の香りに魂を絡めとられてしまったようだ。暫く呆然とベンチに腰をおろし雨に濡れた洋館を眺めやりながら、精神の火照りを醒ましてから帰路に着いた。
 (引用の歌や句はネットから拾い集めたもので誤りは御容赦を)