5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

日向ぼっこ

2017-01-18 21:40:55 | くらし
気持ちのよい晴れた朝だ。超高齢者の被介護人を病院に連れてゆく日だ。予約したタクシーを待つ間、玄関の外に椅子を置いて彼女を座らせた。

玄関は東向き。気温はやや低いが朝の陽光がたっぷりと降り注いで体感は暖かい。彼女はまぶしいのか目を細めながら、それでもうれしそうに陽の差す方向を望んでいる。元気な一日になりそうである。

「日向ぼっこ」は冬の季語だ。坪内稔典先生の「季語集」にも出ている。

日向ぼこり、日向ぼこ、日向ぼっくり、日向ぬくもり、など、云い方は地方によってさまざまある。風のない日向で温もれば、心身がとける気がすると先生は云うが、そう云われずとも、今朝の我々はそんな感じだったわけだ。

病室の障子をガラス張にしてもらって喜んだ子規は、「鳶見えて冬あたたかやガラス窓」という句を作っている。

彼の生きた明治時代にはまだガラス窓のある家は珍しかった。おかげで寝たきりの子規の部屋に明るい陽光が差し込む。日向ぼっこができるではないか。これで少しは長生きできそうだと気分も晴れたことだろう。

冬の日の最高に贅沢な暖かさはやっぱり日向ぼっこだ。子規の明治も超高齢者の現代も変わりはないのだ。


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