54のパラレルワールド

Photon's parallel world~光子の世界はパラレルだ。

「生命とは何か」エルヴィン・シュレディンガー

2005年12月08日 | 読書感想文
量子力学の、シュレディンガーの猫でお馴染みのエルヴィンさんです。非常に面白い本でした。生命についての新しい見方ができます。今回はアトムとエントロピーについて。

原子はなぜ小さいのか。顕微鏡でも見えない。電子顕微鏡でやっと見える。電子顕微鏡は電子を当ててその跳ね返りを見ているわけだから、実際には原子を見てはいない。しかしながら物を見るというのは光が物体に反射したのを見ているわけだから、見ているのかも。ともあれ原子は非常に小さい。
逆に言うと生物はなぜこんなに大きいのだろうか。人間はもちろん巨大な動物であるけれど、アリから見たって原子は小さいのだ。映画「アンツ」はアリから見た世界をCGで描き、世界はなんて大きいのだろうかと思わせたが、「アトム」という映画を作ったならそれはそれはすごい世界になるだろう。
なぜ生物が巨大なのか。シュレディンガーは簡単に答える。原子の世界は激動の世界なのだ。あらゆる原子は常に振動している。静止しているように見えても、原子サイズでみるならそれは激しく動き回っているのだ。たとえば酸素分子や窒素分子は恐ろしいスピードで飛び回っているだろう。もしも原子数個からなる生物がいたとしたら、バレーボールが四方八方から飛んでくる以上の恐ろしさで弄ばれるだろう。だから生物は巨大でなければならない。ダイナミックに動き回る原子の影響を受けないくらいに巨大でなければならないのだ。

エントロピーは増大する。つまり、コップの水の中に墨汁を数滴垂らせばだんだん広がっていき最終的には均一になる。掃除したはずの部屋はだんだん散らかっていく。秩序はみな無秩序に向かっていくのだ。生命も同じである。人間は死に向かっていく。エントロピーは増大していく。
しかし生命はエントロピーを増大させないようにしているように見える。たとえば体温を一定に保ったり、塩分濃度を保ったりといったことは、エントロピーの増大に逆らっているように見える。これをシュレディンガーは「生物は負のエントロピーを食べている」と表現した。
私はそれをそのままとって、人間は秩序だった生物を食べることによって、エントロピーの低い新鮮な生物を食べることによって、エントロピーを減少させているのではないかと考えた。だからあらゆる生物は食べるのである。食べなければならないのだ、エントロピーを減少させるために。食事はエネルギーの摂取ではなく、負のエントロピーの摂取なのである。
また、エントロピーの増大に逆らう、秩序を維持し無秩序にならないようにするのが生命だとすれば、銀河は生命ではないかと思うのだ。宇宙の物質は決して一様に分布していない。銀河に宇宙のほとんどの物質が集まっている。だとすれば銀河は生命といえるかもしれない。惑星は宇宙の塵が集まってできたものである。無秩序から秩序が生まれたのが惑星である。ならば惑星は生命である。「神様の胃袋」で私は地球が巨大な生物だと書いたが、まさにそうなのだ。では銀河は銀河を食べるであろうか?惑星は惑星を食べるであろうか?惑星がブラックホールになり周りの宇宙を吸い込むのは惑星が負のエントロピーを食べているということなのだろうか?そんなことを考えるのは楽しい。

そんなわけで、「生命とは何か」エルヴィン・シュレディンガーはとてもおもしろい本である。物理学者が書いた生物に関する本というのもいい。原子の世界から宇宙まで、量子力学はダイナミックだな~などと思う。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
神ならぬ人が振るサイコロの歪み (坊ちゃん)
2005-12-08 21:49:02
生命とは何かと

尋ねて参りました。

するとそこに光を認めましたが、

あるいは錯覚でしょうかね。

源流を常に尋ねたいものです。

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