礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

仮面をぬいだ本格的な批判であってほしい

2016-11-03 08:09:39 | コラムと名言

◎仮面をぬいだ本格的な批判であってほしい

 昨日の続きである。日本公法学会の機関誌『公法研究』の創刊号(有斐閣、一九四九年一一月)を紹介している。本日は、同誌同号の最終ページにある「編集後記」を紹介してみたい。執筆は、編集主任の田中二郎(東京大学法学部教授)である。

    ◇編 集 後 記◇
  ここに日本公法学会の機関誌「公法研究」の第一号をおくる。日本公法学会創立の当初から本誌の創刊が企画されその準備が進められてきたが、一年半の後にようやく公刊の運びになったことを喜びとしたい。
  本号には本年〔一九四九〕五月の第三回総会第二日における研究報告を中心として編集した。最初はそこでの討論の内容をも討論者の執筆をまつて併せ掲載する予定であつたが、最初の試みであつた為に、その趣旨が必ずしも徹底せず、極く一部の討論だけを掲げるにすぎないことになつた。この研究報告については、法律時報本年八月号に、「公法学会だより」として匿名の報告が寄せられている。公法学会の研究報告に対する批判は大いに歓迎するところであるが、それは仮面をぬいで正々堂々たる本格的な批判であつて欲しい。本誌に掲げた報告についてもいろいろの批判がありえよう。その批判を通して今後その研究が実を結び学会に寄与することになればこの上ない幸いである。
  本号に掲げた違憲問題に関する資料は、総会に先立つて参考資料として配布したものに、その後の新しい資料を加え、全体を多少整理したものである。この種の問題の研究者にとつては、いくらか参考になろうかと考え、重ねてこれを掲げることとした。
  終戦以来の公法・政治学界の消息を伝えることは本誌の一つの重要な使命である。学会展望はこの使命を果すために、俵〔静夫〕・原〔龍之助〕・大石〔兵太郎〕の三氏を煩わした。紙数の関係もあつて、それぞれその一部より掲げることができなかつたが、次号において完結の予定である。
  本誌の刊行がいろいろの手違いから非常に遅れたことを執筆者並びに会員諸氏に深くお詫びしたい。次号からは年二回の予定で順次刊行して行きたいと考えている。(田中記)

 文中、田中二郎は、「公法学会だより」と題する匿名の報告について言及している。「公法学会の研究報告に対する批判は大いに歓迎するところであるが、……」と言われると、妙にその「批判」が読みたくなる。

*このブログの人気記事 2016・11・3(8位にやや珍しいものが入っています)

 

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