礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

官公吏にして職をけがす者、跡を絶たず

2017-09-21 02:58:13 | コラムと名言

◎官公吏にして職をけがす者、跡を絶たず

 深谷善三郎編『(昭和十八年二回改正公布)戦時刑事民事特別法裁判所構成法戦時特例解説』(中央社、一九四三)から、「戦時刑事特別法解説」の第一編「総説」を紹介している。本日は、その四回目。
 本書第二編「逐条解説」には、「昭和十八年二次改正」について説明している部分が二箇所ある。「二一頁ノ二、以下」と、「三二頁ノ二、以下」で、いずれも、「新訂増修」にあたって、付け加えられた記述であろう。本日は、そのうち、「三二頁ノ二、以下」の記述を紹介してみたい。

  第八十三回帝国議会(昭和十八年臨時議会)其他に於
  ける本法改正綜合説明
  ()戦時刑事特別法中改正理由書(司法省編)
 決戦態勢に即応し、綱紀の振粛を図る為め涜職罪に関する規定を整備すると共に、裁判所構成法戦時特例の改正と相俟ち刑事事件の一層敏活なる処理を図る為め、略式手続の範囲を拡張し、其他刑事手続に特例を設くる為め戦時刑事特別法中改正を要するものあり、之本を提出する所以なり
  ()戦時刑事特別法中改正法律要綱(司法省編)
、官公吏其の他公務員の涜職罪に関し刑罰を加重し且つ規定を整備すること。
、略式手続の範囲を拡張すること。
、或種の訴訟手続の簡易化を図ること。
  ()戦時刑事特別法中改正理由(司法大臣岩村通世氏説明)
 本法改正理由につき更に敷衍〈フエン〉して説明する。
 司法部に於ては、既に実施せられたる裁判所構成法戦時特例並に之と密接なる関係ある戦時特別法及び刑事特別法の運用に依りて、戦時下に於ける裁判、検察の運行を的確迅速にし、以て其の本來の機能の発揚に努力して来たのであるが、大東亜戦争は今や苛烈なる決戦連続の段階に入り政府は断乎国内態勢の強化方策を樹立して、国家の総力を挙げ、益々聖戦の目的に集中することとなつたのである。司法の部門に於ても之に即応し、銃後治安の確保を図ると共に、司法の一層敏活なる処理を為し愈々其の効果を発揮する為め、之等三法律に必要なる改正を為さむとする次第である。
 戦時刑事特別法は、大東亜戦争開始後の情勢に対処する為め、刑事に関する実体及び手続に関する規定を整備し、裁判所構成法戦時特例と相俟ち、犯罪の予防鎮圧及び刑事事件の敏速なる処置に相当なる効果を挙げ来つた〈キタッタ〉のである。然るに戦局の苛烈化するに伴ひ、銃後治安の確保は益々喫緊の要務となり、司法の職責亦愈々重きを加へ来つたのである、此秋〈コノトキ〉に当り率先垂範すべき官公吏等にして其の職を涜す〈ケガス〉者其の跡を絶たざるは遺憾至極のことであつて、延いては〈ヒイテハ〉国政の円滑且公正なる運用を妨げるの虞〈オソレ〉があり、此際綱紀の振粛を図る為め涜職罪に関する刑罰を加重整備するの必要を痛感するのである。他方刑事手続に於ても決戦段階に相応しき一層簡素強力なるものとし、的確敏速なる裁判検察の運用に依りて銃後の治安維持に万全を期する必要があると考へるのである。即ち改正の要点は四点であつて、其の一、は涜職罪に関する刑罰を加重し規定を整備する。其の二は、略式手続の範囲の拡張、其の三は、刑事手続の簡易化、其の四は、裁判構成法戦時特例の改正に伴ひ必要なる調整を為さむとするのである。
以下の説明は便宜上改正十八個条各註解の頭首に輯録叙述する、編者附言)【以下、次回】
                     
 戦時刑事特別法の「昭和十八年第二次改正」(一九四三年一〇月公布、一一月施行)の眼目は、上にあるように、「官公吏等」の「涜職罪に関する刑罰を加重」することであった。具体的には、第一八条(飲料水に関する罪)と第一九条(戦時における刑事手続の特例)との間に、「第一八条ノ二」から「第一八条ノ七」まで、計六つの条文を付加したのである。なお、この改正をおこなった第八三回帝国議会は、臨時会で、会期は一九四三年(昭和一八)一〇月二六日から二八日であった。

 

 

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1 コメント

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Unknown (伴蔵)
2017-09-21 21:10:17
加計・森友疑惑に関連して、官邸に「忖たく」

した職員にとっては、さぞ耳に痛いことでしょ

うね。

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