礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

武装した防共護国団が政友会本部を占拠(1938)

2016-10-14 04:11:33 | コラムと名言

◎武装した防共護国団が政友会本部を占拠(1938)

 木元幹三著『国家総動員法早わかり』(新生社書店、一九三八)を紹介している。昨日、引用した文章の最後のほうに、「政界策士の活躍舞台」という言葉があった。に言及した。
「政界策士の活躍舞台」とは何か。同書の木元幹三は、次のような例を挙げている(一五~一六ページ)。

 即ち去る〔一九三八年〕二月十八日午後二時頃より政友会、並に民政党本部にカーキ色制服着用の防共護国団員数百名の闖入〈チンニュウ〉事件が持ちあがつた。
 防共護国団のスローガンとなすところは読んで字の如きものであり、又押しかけた団員なる者はいづれも政治意識のレべルから見て、到底彼等が革新政治の役割に参与し得る素質の所有者とは思はれなかつたが、その背後に於ける勢力は政党解消、国体明徴の実現を目的とし、これが手段として現下の大問題たる国家総動員法案を圧倒的に支持するの主張を有する一連の相当強力且広範な分野にわたる政治グループであることを思はせた。
 即ち右は府下三多摩方面に於ける旧政友会律雲国利〈ツクモ・クニトシ〉、民政党八並武治〈ヤツナミ・タケジ〉両代議土の選挙地盤より押し出した者で、制服、制帽、寝具、食料、棍棒等を大量に持参し、政友会は一時本部を占拠、民政党では本部前において相当の混乱を捲き起したものである。
 そしてこの一派は既に過去一ケ月にわたり都下の政党加盟貴衆両院議員の自宅を訪ねて政党解消を要請し、防共護国、政党解消、革新政策の遂行等を宣伝して居つたが、警視庁はこれを黙過して居り、民政党の松田竹千代代議士によると、政友会本部を占拠した際の如き警視庁官房主事には逸早くそのことが電話を以て報告されてゐたといふのである。

 一九三三年三月二三日、ベルリンのクロル・オペラハウスを議場にして、全権委任法案の審議がおこなわれた(国会議事堂は、二月二七日に放火され、焼け落ちていた)。この日、武装した突撃隊(SA)の隊員が議場内にまで入って、議員を威圧したという。
 さすがに日本では、武装した勢力が議場内に入って、国家総動員法の成立させるべく、議員に圧力をかけるということはなかった。しかし、武装した防共護国団が、国会審議の「直前」、政党本部を襲撃するといった事件は起きていたのである。
 このとき襲撃されたのは、政友会、民政党の両党であるが、この両党の正式名が、それぞれ、「立憲政友会」、「立憲民政党」であったことに注意したい。立憲主義を標榜する二大政党が、右派の武装勢力に襲撃される事態は恐ろしい。しかし、今、それ以上に恐ろしい事態が生じている。最大の与党を率いる首脳部が、「立憲主義」ということを全く理解していないか、あるいは、理解しているにもかかわらず、あえてそれを放棄しようとしているという事態である。 

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