ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

「手紙」のうた~③親心の歌 「案山子」

2017-03-06 22:08:24 | うた

以前、手紙の歌について書いていたが、親心での手紙、というのが昔はけっこうあったものだ。
親からの手紙の歌で代表的なものと言ったら、さだまさしの「案山子」だろう。

元気でいるか 街には慣れたか 友達できたか
寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る

こういう歌い出しで始まる。
若い時は、単に親心をうまく歌った歌だなあ、という感じがしたものだった。

子どもの身にしてみると、確かに親はそんな心配しているのだろうなあ、と思ったものであった。
その心配が、元気でいるか、から始まって6つも並んでいる。
この歌は、父親が子どもを心配して歌ったものだ。
その子どもが息子か娘かは知らないが、歌としては娘の方がよいのだろうな、なんて思ったりもした。

ただ、その当時の20代前半の子どもとしての自分の気持ちは、歌詞の一つ一つについては次のように思ったものであった。

元気でいるか → 元気に決まってるじゃん
街には慣れたか → ああ、意外と気楽なもんだよ
友達できたか → まあね、いるよ、友達
寂しかないか → 寂しくなんかないさ、せいせいしてるよ
お金はあるか → それがねえ、意外と早くなくなるんだよね
今度いつ帰る → そんなのわかんないよ、知るもんか


そして、今、親としての時代も過ぎて思ったことがある。

「元気でいるか」~「今度いつ帰る」までの6つの質問で、
この6つは、同じ重さで質問しているものではない、ということだ。
親を経験して言えるのは、「元気でいるか」~「お金はあるか」までは、実はどうでもいいことなのではないか、と考えるようになった。
一番聞きたいのは、最後の「今度いつ帰る」なのだ。
いかにも子どものことを考えているようで、「元気でいるか」~「お金はあるか」は、「今度いつ帰る」だけ聞くのは恥ずかしいので、それを悟られないようにするための前置きに過ぎないのだ。
…と。

さらに、歌は、次のような部分もある。

手紙が無理なら 電話でもいい
「金頼む」の一言でもいい
お前の笑顔を待ちわびる おふくろに聞かせてやってくれ

これも、母ごごろをおもんぱかってのようだけど、実は父である自分が声を聞きたいのだと、わかる。
今は、間違いなくそうだと思える。
そう思うようになってから、この歌のよさがさらにわかるようになってきた。

自分も、初めて家を離れた時、一度父から手紙をもらったことがある。
40年以上も前なので、もうどんなことが書いてあったかは忘れてしまった。
でも、手間をかけて書いてくれた手紙をもらったことは、本当にありがたく思ったのであった。


さて、…。
こんなことを書きたくなったのは、数日後に亡父の誕生日が近づいたせいだろうか…。
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