原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

安倍政権は原発事故の後始末を最優先課題とせよ

2013年08月22日 | 時事論評
  東京電力福島第一原子力発電所から高濃度の汚染水が漏れた問題で、原子力規制委員会は8月21日、トラブルの深刻さを示す国際原子力事象評価尺度(INES)を「レベル3」(重大な異常事象)に引き上げる決定を下した。
 当初、同委員会はこの問題を暫定的に「レベル1」(逸脱)と評価していたが、同日の会合で正式な引き上げを検討すると述べた。 (参考のため、東日本大震災が起きた2011年3月の原発事故自体には、レベル7の評価が下されている事は皆さんもご存知の通りだ。)

 同原発からの汚染水流出の問題は、科学者らが1年以上前から指摘していたという。
 今年7月に入り東電は、汚染された地下水が海へ流れ出していることを確認。 流出を防ぐために地下に壁を設けたものの、汚染水が壁を越えたり横から回り込んだりして海へ流れ込む恐れがあるとの見解を発表していた。
 8月21日になって、同原発で地上のタンクから高濃度の放射性物質を含む汚染水が大量に漏れた問題を受け、東電は、汚染水が近くの排水溝を通じて外洋に流れた可能性を初めて正式に認めた。 東電はタンクの外に出た約300トンの汚染水の大半は地中に染み込んだとみてきたが、排水溝の内部で毎時6ミリシーベルトの高い放射線量が計測された。
 原発の排水溝は堤防に囲まれた港湾内ではなく、外洋と直接つながっている。 問題のタンクから汚染水の漏洩は続いている半面、漏れた箇所や原因はまだ突き止められていない。
 東電によると、汚染水漏れが明らかになったタンク周辺の空間放射線量は排水溝の脇で最大毎時96ミリシーベルトの極めて高い線量を検出。 その後、排水溝内で高い線量が判明し、汚染水の流れを裏付けた。 排水溝にはふたがなかった。

 原子力規制委員会委員は21日午前の定例会合で、「排水溝からは、いきなり海洋に出てしまう。きちっと確認する必要がある」と述べ、周辺の状況を総点検するよう促した。 東電は相沢善吾副社長が同日午後の記者会見で汚染水漏れを受け改めて謝罪するとともに、相沢氏が現地に常駐し、対策を抜本的に見直す考えを示した。

 海外では福島原発汚染水による海洋汚染への懸念が広がっている。

 (以上、福島原発大量汚染水漏れに関するネット上の複数のニュースより要約引用)


 一旦、原左都子の私論に入ろう。

 東日本大震災が勃発した2011年3月11日直後の時期に、福島第一原発事故には「チェルノブイリ原発事故」と並ぶ原発歴史上最悪の「レベル7」判定が下された事は皆さんの記憶に新しいことであろう。
 あの世紀の大震災直後の時期は、福島県民のみならず日本国民全体が未曾有の原発事故の恐怖に怯え、原発被害者である福島県民の方々の避難先を提供したり、自らも原発放射能漏れから身を守るべく行動したものである。
 大震災勃発時に運悪く政権を担っていた当時の民主党政権も、福島原発事故後の対応を第一義に位置付けて政権運営していたと私は記憶している。(その対応のヘボさを幾度となく「原左都子エッセイ集」バックナンバーにて公開しているが。)  ただ、少なくとも民主党政権時代(野田政権以前)は、たとえその対策手段がヘボかろうが、福島原発事故後の対応を政権行政の上位に位置づけていた記憶があるのだが、どうであろうか?

 さて、東日本大震災より2年足らずの年月を経て、政権は自民党へと移り行った。
 安倍政権は、既に東日本大震災後日本の時代が進化したのごとく「アベノミクス」経済政策を第一義に打ち立て、日本は景気回復に向けて前進しているとメディアを通して国民に吹聴してばかりだ。 既に東日本大震災など過去の出来事と国民を“目くらませ”するかの勢いで、7月の参院選挙にも大勝してしまった。
 そんな安倍政権は、皆さんもご存知の通り今後の経済政策の要として「原発推進」を主軸の一つとしている。

 今回の東電福島原発汚染水大量流出事件に関しても、まさか政権がそれをまったく知らなかったとは考えにくい。
 ここはすべての後処理を政権の僕(しもべ)組織とも表現可能な「東電」に委ね、自分らは原発汚染など一部の犠牲範疇とそ知らぬ顔で「原発推進」を景気対策の一目標と掲げ、国民からの“票取り”に励んだのであろう。

 私に言わせてもらうと、今回の「レベル3」福島原発汚染水漏れ事故に関するメディア報道も“生ぬるい”。 
 今回の汚染水漏れ事故に対しては海外こそが敏感に反応しているのに、原発事故を発生させた当事国である我が国の国民が、何故もっと大々的に騒がないのか!? なる疑問を抱かざるを得ない。 


 しかも、安倍政権は1年以上前に国会に於いて法案が可決された「被災者支援法」を放置している現状に、福島原発事故自主避難者らから提訴されている現実だ。

 東京電力福島第1原発事故を受けた「子ども・被災者支援法」が成立してから1年以上経つのに、国が支援の基本方針を打ち出さず放置しているのは違法として、福島県の住民や県外への自主避難者ら計16世帯19人が国を相手取った訴訟を8月22日に東京地裁に起こすことが関係者への取材で分かった。
 提訴するのは、福島市や福島県郡山市など国による避難指示区域外から北海道や京都府などに避難した12人と、避難していない福島県の住民ら7人。 基本方針を策定しないことが違法であり、原告が支援法の対象となることの確認を求めた上で、1人当たり1円の損害賠償を請求する。
 支援法は昨年6月、議員立法で成立。一定の放射線量の基準を上回る地域を支援対象とすると規定し、基準線量や支援策などを基本方針として定めるとしている。避難指示区域外からの避難者も救済対象になれば、避難先の住宅支援や継続的な健康診断が可能になるとして自主避難者らの期待は大きい。
 基準について原告側は、年間被ばく線量1ミリシーベルトを主張し、原告全員が支援対象にあたるとしている。
 (以上、ネットニュースより一部を引用。)


 最後に再度、原左都子の私論に入ろう。

 上記損害賠償訴訟の内容全般を十分に把握していない私だが、この提訴とは、現安倍政権が福島原発事故の被災者対応を“ないがしろにし過ぎている現状”にムチ打つ力強さがあると捉えている。 

 確かに「放射能」による被害とは長期経過観察を要するため、今現在はまだその一部のみしか表面化しておらず分かりにくいのが現状であろう。
 それをいい事として放射能被害に関して無知な政権を操る悪人どもが、“寝た子を起こすな”的な我が身息災解釈をしてのさばってはならない。 (どうせ我が政権も直ぐに移りゆくだろうし、たとえ原発事故で将来的に大勢の死者が出ようが、そんな事はずっと後世代の政権に任せて我々はいい思いだけして老後を迎えよう!)とでもたくらんでいるのであろうか??

 2011年3月半ば頃、東日本大震災に伴う福島原発メルトダウンにより大量の放射能を浴びた方々には、どうか今後共国の支援の有無にかかわらず、定期放射能検診を受け続ける事を望みたい。 
この記事についてブログを書く
« 短命で死に際を迎えようが、... | TOP | 五輪招致より原発事故後処理... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 時事論評