ケルベロスの基地

三本脚で立つ~思考の経路

BABYMETAL探究(『日本文化が滅んでBABYMETALが生まれた』を読んでみた)

2017-05-16 00:35:45 | babymetal
久しぶりの更新である。

相変わらずの、BABYMETAL三昧の日々、である。
休日には必ずベビメタ黒Tを着用して外出しているが、ようやくTシャツ一枚で外出できる気候になり、嬉しいことこのうえない。

さて、気になっていた『日本文化が滅んでBABYMETALが生まれた』なる本を確認しようと、立ち寄ったジュンク堂でパラパラめくってみた。
タイトルもかなり胡散臭く、多くの経済評論家たちのような我田引水の便乗本ではないか?、と疑いながらだったのだが、全くそうではなかった。

これ、ガチでBABYMETALに嵌まっている人(すなわち愛すべき我ら”BABYMETAL馬鹿”!)の書いた本だ、とすぐにわかった。

例えば、第四章「BABYMETALの楽曲」の〈BABYMETALの楽曲は少女たちの名曲ライセンス付〉の章の、こんな文章。
(読みやすくするために、改行を適宜加えて引用する。下線部は僕が付したものである)

ベビーメタルの楽曲については、一般的に次のような理解が定説となっている。

①ベビーメタルにはただの一曲といえども捨て曲が存在しない。
②ベビーメタルの曲は何度聴いても聴き飽きることがない。
③ベビーメタルの曲を聴いてしまうと、他の人達を聴く気がしなくなる。

この定説自体は間違ってはいない。だがそれは曲そのもののことではなくて、結果としての評価である。またこの定説の意図には、いささか異議を唱えざるを得ない。なぜなら通常これに合わせて、次のようにコメントされるからである。

「世界のトップクラスのメタル・バンドでも、その楽曲中には捨て曲や駄作・不作の曲が数多く存在する。そういう点からすれば、自曲がいまだ少数とはいえ、ベビーメタルの持ち歌が名曲揃いで不作がないことは驚異的なことだ。」というものである。

だがそういう訳はないであろう。歌は世に連れ人に連れと言われるとおり、名曲の条件は時と人を得ることである。同じ曲も、これを得なければ駄作に終わっているはずだということである。時と人の両方を得ることはまれである。また逆も言える。駄作であっても、人を得れば、名曲と化すことも有り得る、と。

このように観れば、「ベビーメタルにはただの一曲といえども、不作の曲も、捨て曲も存在しない」のではないということである。今となっては不明になってしまったが、元々は当然に駄作・不作の曲は幾つもあったであろうということである。
つまりベビーメタルのために用意された楽曲はすべて名曲だったのではなく、ベビーメタルだから「名曲になった」のである。更に言えば、ベビーメタルがプレイすることによって、すべての曲を「名曲にした」のである

言い方を明瞭にしよう。すなわち作る曲がすべて名曲ということなどは、現実のこととしては有り得ないということである。それ以上に、ステージで演じる曲がすべて名曲と認められるということは本来稀有なことだということであろう。だから今の三人の少女からなるベビーメタルだからこそ、与えられたすべての曲を名曲化し得たのである

(・・・ここ、少しわかりにくいですかね。「SU-METAL、YUIMETAL、MOAMETAL、この3人だからこそ」というニュアンスです)

そして三人の少女からなるベビーメタルの実力たるや、ほとんど稀有なものだということである。自分たちに与えられたどのような名作・駄作・普通の曲目をも、すべて自家薬籠中に置いて「名作と化す」ことが出来る力量などというものは、ほとんど何処にも有り得ないものである。(略)

これがベビーメタルの実力の証明である。しかも名曲であることが余りにも当たり前な故に、意識されることがない宿命である。たとえば美人が美しいのは当たり前で、美しくないことこそ異常とされる宿命と同じことであろう。

・・・と、長文の引用になったが、ざっとこういう「正しい」指摘が「力強く」畳み掛けられた、真摯な一冊、であった。

いやでも、ほんとにそうなのだ。

これ、BABYMETALを知らない人が読むと、「狂信的ファンの妄言」としか受けとめられないだろうけれど、でもこれが、掛け値無しの事実、すなわち真実、なのだ、ということを僕たちはこの身をもって体験しているのだ。

その、BABYMETALのありえなさ、奇跡、唯一無二、そこのみを集中的に考察し、批評言語で熱く語った、そんな一冊である。

章のタイトルをいくつかあげると、

・ソニスフィアの奇跡
・世界の寵児は現代日本の音楽界の鬼っ子
・BABYMETALは三ジャンルにおいて別格
・「We are BABYMETALコール」はベビーメタルの真骨頂
・BABYMETALのビジュアルは形而上学と観よ
・「紅月」に観るBABYMETALの魂
・BABYMETALの出処進退は「規律、節度、抑制」の心

等等、いわゆる「なぜBABYMETALは欧米でウケたのか?」という浅薄な経営学的な分析ではなく、「BABYMETAL(の有り得なさ・凄さ・奇跡)とは何なのか?」という本質に大胆に切り込んだ、勇気ある書である。

・・・ただ、残念なのは、あちこちに、誤字・脱字、情報の誤り、ヘヴィメタルについての無知(とりわけ、Xや聖飢魔Ⅱという、BABYMETALの淵源となった日本の2バンドを全く知らないような言説)が散見されることで、そういう意味では、BABYMETALを語る上での「正典」となるような本ではない、ということだ。

編集者がいて、きちんと客観的にチェックを入れていたら、と残念でならない。

購入後、帰宅して初めからしっかり読み始めたのだが、第一章の最初の節の末尾で、のけぞってしまった。

そしてグループ結成から四年、メジャーデビューから一年、日本国内でのライブを積み重ねてその音楽スタイルを完成させた。その上で、二〇一四年七月、満を持してヨーロッパの地へ飛び立った。メタル・レジスタンスのための武者修行と称する、「BABYMETAL 世界征服」への旅である。
 三人の少女達、「スーメタル」こと「中本すず香」16歳、「ユイメタル」こと「水野由結(ゆい)」・「モアメタル」こと「菊地最愛(もあ)」15歳の春のことである。


七月は春じゃないやん。

武道館の「黒い夜」で召喚の儀があったから、「旅立った」のは公式には「春」でよいと思うが、ならば14歳の春とすべきだし、
あるいは実際には7月のヨーロッパでのツアーでの、両聖誕祭をもって公式にYUIMETALもMOAMETALも「いちごの夜」を迎えたのだから、というならば、15歳の夏、とすべきだろう。
まあ、それはともかくとしても、

中本」はさすがに、あかんやろ。

これはいくら何でも、正式に出版されているBABYMETALをめぐる本として許されるミスのレベルを超えているのでは・・・。

あと、例えば、

「第三章 BABYMETALの実態」の、「子供文化と米国文化」という節は、次の文章ではじまるのだが、

ベビーメタルが世界進出することが出来たもう一つ別の理由がある。それは米国文化の日本における蔓延である。子供文化が日本に生じたのは、敗戦後に日本人が腑抜けになったがためだけではなかった。戦い敗れて後、日本は米国の属国となって現在に至っている。そして日本文化は米国文化に制せられた。また国民が喜んでこれを受け入れた。
その故に子供文化が助長され、数十年を費やしてアイドル文化が発生し、そして予想外の現象としてベビーメタルが誕生したのである。
・・・


つづく「米国文化の世界浸透とBABYMETAL」という節が、次のようにはじまるのだ。

ベビーメタルが世界進出することが出来た更にもう一つ別の理由がある。それは米国文化の世界における浸透である。これが科学技術の進化とあいまって物欲の世界的拡大を後押しし、大衆文化を世界に拡散し、イデオロギーの退潮をもたらしたのである。
そして大衆文化の世界的蔓延と映像の世紀の定着が、子供文化的な社会様式の発生と受容の下地となり、ベビーメタルの世界進出の培地となったのである。

一瞬、あれコピペ?のミス?と思ってしまった。
慎重に読めば、二つの節は、日本の事情と世界の事情、それぞれを米国文化が席捲した、ということをそれぞれに考察しているのだが、あまりにも似た文ではじまるので、校正ミス?と思わせてしまう。

と、まあ、厄介なところも少なからず散見される本だが、その逆に、例えば、

「動的な曲のNo.1」は、「おねだり大作戦」である。これはそれこそ何と受け取ってよいのか、唖然・呆然、前代未聞の曲である。芸能曲としていまだかつて考えられなかった、それほどのものである。
「4の歌」はこれに準じる。このような内容で一つのショーを繰り広げることが出来るとは、ほとんど不思議の域に属する曲である。ともに超弩級の破壊力のある、やはりほとんど有り得ない曲である。この二人の少女以外は誰も追随して実現できない怪物曲であろう。

と言った、独特の言い回しによる、「そう、そう、それ!」と膝を打ちたくなるBABYMETALの本質を衝いた「金言」がたっぷり詰まった、奇書でもある。

1,200円を高いと思うか安いと思うか、
「中本」を許せるか許せないか、
受取り方は人それぞれだろうが、
”BABYMETAL馬鹿”の僕は、たいへん楽しんだ(例によって、読みながら何度も涙ぐんだ)ということ、
正直にここに記しておこう。



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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-05-16 15:48:20
更新を毎日待ちわびておりました。
BABYMETAL関連の出版物の話題でしたが、まさに、主さまのブログ「BABYMETAL探究」こそ出版するべきだと考えますがいかがですか?
Unknown (EYMIE-METAL)
2017-05-16 18:26:59
中本はダメですなww
そっくりメールで著者に送ってみては如何かと(笑
)

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