ポニョが全米公開されて、今宮崎監督の海外評価についていろいろメディアに出てる。マスコミはすぐに「大絶賛」とか「スタンディングオベーション」とかやらかすので、まったくあてにならない。どうなんだろう?というわけで、僕がよく巡回しているROTTEN TOMATOESというサイトで特集をやっていたのでちょっと翻訳してみます。
このサイトは有名なのでご存知の方も多いと思うがちょっと解説すると、新作映画を「腐ったトマトメーター」という名前で100点満点基準で採点するサイトだ。この「腐ったトマトメーター」は外部の映画評論家たちが書いた批評にどれだけポジティブなことが書かれているか、に準拠していて、その集積であるからまあ客観的とも言えるし、当てにならないともいえる。典型的なハリウッド・アクション映画なんかは低く出る傾向にある。
さて、宮崎監督の映画であるが、最も低い「ハウルの動く城」でも86%だから、これはすごい評価だ。以下、順に抄訳。
9.ハウルの動く城 86%
この映画は、彼の最も挑戦的な映画で、意図的に冗漫な語りになっている。プロットを追っていて混乱するかもしれないが(時々奇妙になるところがあるのは事実)、少なくとも鮮烈なバロック調のアートワークと、ミステリーと不可思議さを楽しむことができるだろう。
8.カリオストロの城 88%
彼の初監督作品で、いわゆるシリーズ物だ。シリーズ物によくある様に、信じられないくらいの短期間(4ヶ月!)で制作された。この有名なヒーローを宮崎は人間的で人情厚い人物像に作り変えた。アクションは生々しく斬新で、プロットは息をつかせない。
7.となりのトトロ 88%
単純なストーリーで、子どもの注意を引くためには複雑な物語が必要、という彼自身が抱えていた呪縛から自らを解き放った。毎日の小さな出来事が世界を探求することになるんだ、という彼の好奇心を視聴者も共有してほしいとこの映画で彼は願っている。大人がここまで小さく扱われた映画は他にはない。そしてそれは素晴らしい。
6.天空の城ラピュタ 93%
彼のほかの映画と比較して、もっともストレートにテーマを追求している。分かりやすくエネルギーにあふれたエンターテイメントだ。
5.もののけ姫 93%
もっとも残酷な映画で、彼の「環境破壊」に対する怒りに満ちている。そして結末も悲観的だ。テレンス・マリック(シン・レッド・ライン)とジョン・ウーがアニメを作ったらこんな感じになるかもしれない。
4.千と千尋の神隠し 97%
この映画で宮崎は、現代の子どもが抱える「幻滅」と「悲観」を描き出そうとしている。風呂屋でのあらゆるシーンで、宮崎の想像を絶する映像表現を見ることができる。
3.風の谷のナウシカ 100%
最初に英語化されたとき「風の戦士」と改題され、ぶった切りに再編集されてしまったが、ここ数年でようやく本来の姿で見ることができるようになった。この映画で宮崎の全てを知ることができる。平和への希求、自然、アクション、深く描かれた女性キャラクター、など。これを1980年代に、しかもたったの2作目で表現できたというのは驚きだ。
2.紅の豚 100%
宮崎映画でもっともロマンティックでない主人公のもっともロマンティックな物語。この時代の空中戦、潜水艦、名誉を賭けた拳の戦いなどへの、宮崎が敬意が現れている作品。そして宮崎映画でも最も笑いでいっぱいの映画だ。
1.魔女の宅急便 100%
暖かいキャラクターたちと、大人になると失ってしまうことをメタファーとして描いたことで愛されている映画。が、最も賞賛されるべきはそのアートデザイン。ヨーロッパの景色を融合させた絵柄と、サブキャラたちのデザインは映画を活き活きとさせている。
以上。
納得の順位??ナウシカ、紅の豚、魔女宅が評価が高いのはやはり日本色が薄く親しみが持てるから?
それにしても、評価の数が圧倒的に少ないとは思いますが、それでも9作中3作が100点満点。6作が90点以上というのは驚き。ひょっとすると監督別で平均点を取ったら一番ではないだろうか?
訳が間違ってたらご指摘を。
※追記 (2009.8.18)
ちなみにポニョは現時点で94%です。
| Trackback ( 0 )
|
|