tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

into 1

2015-11-19 07:53:48 | into

澄みきったように、すっきりした朝だった。
窓を開けると、潮風が流れ込んでくる。

見渡す限り遥か先の水平線・・・
人も居ない砂浜には、誰の足跡もなかった。

いつものように、イヤホンをしてスイッチを入れると キャップを被り外へ出た。

高台にある家から波打ち際まで、聳える木々のうねる並木道を下る。

時に かけっこのように、速さを競うように全速力で走る。

防風林の隙間を抜けて砂浜に出ると、解放されて嬉しいのかディアが駆け出して行った。

途中まで行っては、楽しげに踵を返し戻ってくる・・・・・
笑い捕まえようとすると、腕の下をするりと抜けて駆け出して行った。

腰を曲げて息を調える・・・・・膝に手をあて呼吸を調えた。


波と戯れ遊ぶディアに微笑んだ。
笑みながら歩く・・・・

いつもの場所に座ると、ジッと波間を眺め景色を見ていた。

そばで座るディアを撫でながら、微笑み互いの眼差しを絡ませた。

「まだ遊ぶ?」
遊びたいのだろう、すっと立ち上がり近くにある流木を加えた。

笑いながらも、思いきり放り投げた・・・素早い動きに笑みを浮かべる。

数回繰り返すと飽きたのか、流木を渡さず似た場所へ落とした。

「帰ろ(笑)」
言われて歩き出すディアに微笑んだ彼女は、ゆっくりと後を追った。


並木道の始まる場所から、歩く速度は だんだんと速くなりディアも楽しげに彼女の横を走る。

やっと着き、敷地へ入るとディアを自由にした・・・

門を潜ると芝が家屋まで、生い茂り緑豊かな場所は より澄んだ場所のように眩しかった。

家屋を包む塀と中庭へ通じる扉はディアも自由に行き来できるように なっていた。

お気に入りの場所へと、喜び勇んでソコへと向かうディアに微笑んだ。

『ディアー(笑)朝刊頼むぅ・・・・』
門の向こうから叫ぶ声に微笑んだ彼女・・・・走りきたディアは門の隙間から顔を覗かせ伺うようにした。
門の上から飛んできた朝刊・・・ワン!と吠えるディアは朝刊をくわえ彼女へと運ぶ間に
『またなぁ(笑)ご主人様によろしくなぁ?』

いつもの新聞配達人の足音が遠ざかった・・・・

庭で寛ぐ・・・風の心地よさに笑む彼女だった。




車で通勤する彼女・・・後部へディアは飛び乗った。
解放された窓からは、気持ちのいい風が入り込んでいた。

カフェで働く彼女・・・・ペットOKの この店に連れて来ていた。

彼女のディアは子供には大人しく触らせる。
が・・・大人は拒否し、客が増えると奥へ身を避難させていた。
『どれだけ嫌いなんだろ(笑)』
同僚がディアを眺め微笑んでいた。

この店は、時間帯ごとに客層も変わる・・・・
通勤する客が多いと珈琲等の飲み物が出ていく・・・・もちろん軽食も出るのでランチもあり、過ぎればデザート等のスイーツ類が出ていくのだ。

キッチンスタッフやホールスタッフは交替で端の席で休憩をとる。

時には表にある席で食べる事もあった、ディアも彼女の休憩時間には一緒に出てくる。

食べ終えた彼女は、残りの時間をディアの気分転換と近くの公園へと連れていく。

背の低い雑草が、まるで整備された芝のように広がっているのでディアの足には負担なく走り回れる。

時々、ここで会う親子連れが、木陰で昼食を取っていた。

気づいたディアは全速力で走り、見知る少女を飛び越えた。

可愛い悲鳴・・・・・笑いながら、驚いたとディアを撫でていた。

回りで休んでいた人達は、逆に驚いた・・・・
大型犬が、小さな子供に突進し ぶつかると思った瞬間に軽々と飛び越えたのだ・・・・
悲鳴まで辺りを響かせた・・・・スタッと止まる犬は身を返し子供に寄っていった事に一部の人が立ち上がる。

笑い出す子供・・・・抱きつき じゃれつく姿に安堵した様子が伺えて、母親は苦笑いして笑みながらきた彼女に目配せした。

肩をすくめ、仕方ないじゃないと言いたげな目が母親を捉えた。

『なんだろ(笑)私のこの緊張・・・』
母親が笑みながら呟く・・・・
ディアを撫でながら笑みをこぼす彼女が鼻で笑うのだった。


子供がフリスビーってディアと遊び出した。
飛ぶことに期待し待っていたディアは寝そべり・・・・ジッと子供を見つめた。

笑う彼女・・・・
『ディアは諦めたわね(笑)』
『あー(笑)ホントだ・・・』
笑う二人を、ディアは視線を合わせた。

気づいた彼女は、仕方ないと子供のそばへ行くと ディアは スッと立ち上がり走る体勢をした。

「そこまでは飛ばないわ(笑)」
彼女の言葉に、少しずつ間合いを積めてきた。

子供に持たせたモノを一緒に飛ばす・・・・見当違いの場所へ飛んで行った。
ディアまで仕方ないと、歩きながら向かうが・・・・スッと止まり着地したフリスビーを眺めた。

走ろうと身構えるディア・・・・木陰から勢いよく飛び出してきたフリスビーをディアは追いかけキャッチした。
子供が喜び叫びながら、ディアへ走り出した。
食わえたまま、ジッと眺めていたが子供へと持って行った。

格好いいと、撫で回し褒めまくる子供にフリスビーを渡した。

「ありがとう(笑)」
木陰から見える人影に叫ぶ彼女だった。

彼女はディアへフリスビーを飛ばし遊び始めたが
「ディア(笑)戻ろう、時間だわ」
キャッチしたフリスビーを子供に持っていくディア・・・・何かを話していたので、彼女は母親と話し場を離れ歩き始めた。

いつの間にか隣を歩くディアに笑み、リードで繋ぐと優しい眼差しでディアを撫でた。

スッと立ち止まるディアが、前にいた人を眺めた。

気づいたのか、その人は振り返りディアに微笑んでいた。

「あー(笑)・・・・フリスビー、ありがとうございました」
彼女が礼を言ったが・・・・はたと言葉が違う事に気づき言い換えた。

『フリスビー(笑)ありがとうございました』
『な、なんで・・・』
『この子が見てたので(笑)』
『顔を覚えて?』
『他人はよく観察するので(笑)、では・・・』

そう言った彼女を引くようにディアは、その人の前を足早に通り過ぎた。

ジッとディアを眺めていたが・・・信号を待つ間に笑み、ディアを抱き締めた。
「なんなの?珍しい・・・・初めて見る人に ヤキモチ?(笑)
ディアが一番大好きよ(笑)」
撫で回す彼女を舐め回し、分かってるぞと言っているようなディアに微笑んだのだった。



どのスタッフも、髪は後ろで止め白のブラウスに黒のズボン。
同色のエプロンは腰で止められている。

肘が出ない程度に捲られて、腕に乗るトレイは軽やかに席へ運ばれていく。
オープンスペースへ運ぶ彼女・・・客に呼び止められてオーダーを取ると中へと戻っていく。

スタッフの機敏さは、客に気づかれず・・・新しい客は綺麗な席へつく。


外の席で揉め事がおき、悲鳴が店内を響かせた。
女性客に絡む男が、ナイフを持ちだし脅していたのだ。

回りの客を避難させていくスタッフ達・・・・
倒れたテーブルを直し始めた彼女がいた、暴れている人を無視して直していく事に視線は集まった。

テーブルを拭いていると、視線を感じ手を止めて男を眺めた。
『お前・・・・これが見えないのか?』
「見えるけど?」
『・・・・・分かんねーよ(怒)外人か?』
「そーだけど?それが何だ・・・」
『・・ ・・』
捕まえている女性客を離し、ナイフを彼女へと突き出しながら近づいてきた。
まるで吸い込まれて行くように、男は歩く・・・

少し離れた場所から、怒り唸り声がした・・・・それは低く・・・男が、その声の主に気づいた。

今にも飛びかかりそうな態勢だったので、今度はディアへナイフをむけた。
「ディア・・・・動くな!」
彼女に言われたが、それを無視して吠えまくり始めたディア・・・・

男は驚いていたが、後ろから組みしかれ身動きも出来なくなった。

密かに近づいた刑事が、男を取り押さえたのだった。

安堵した彼女はディアを宥め、その場から離れ抱き締めた。
落ち着かせ水を飲ませると、ディアの顔を包み目を合わせた。

「ディア(笑)危ないから、必要以上に吠えない・・・・」
ペロンと舐めたディアに微笑んだ。
「サンキュ(笑)」
分かったと言ったようなディアの目に 膝まつき抱き締めて撫で回す彼女に、ディアは喜び彼女に寄り添った。


『あれ以上の挑発は止めてくれ・・・』
後ろから聞こえた声に彼女は
『了解(笑)、お客様を助けて戴きありがとうございました』

礼を言った彼女・・・・店長がやってきたので、彼と代わりディアを連れて控え室へと彼女は入っていった。




週に数回・・・彼女は親子連れと遊んでいた。
ディアと遊ぶ子供に微笑んだ二人・・・
『まだ・・・・大丈夫じゃないのね・・・』
『腕の悪い奴が追ってるかな・・・身動きも取れなくて・・・すみません』
『いいの、(笑)あの子が第一よ・・・』
『変化は?』
『今の所は(笑)、変わってないわ・・・だけど時々、視線を感じる時があって・・・・気のせいかも知れないんだけどね・・・・』

『いつが多い?』
『子供を出す時・・・・迎えは貴女に言われて、色んな時間にしてるけど。
朝の時間は一緒だから・・・・』
『園に頼んで・・・』
『みたわ(笑)頼んでみたけど、始まりは駄目って。どーしても不可能なら辞めろと言われたわ。
だからね、事情を話そうかと・・・止めた方がいいかな・・・』

『向こうでも駄目だったからね・・・もしかして今回も・・・・』
『やっと離婚出来て自由なはずなのに・・・・』
『ごめんなさい・・・・馬鹿ばっかで・・・』

『貴女の仕事に支障はないの?』
『(笑)これがギリギリ・・・本来、接触も駄目ですから・・・
顔が知られてないので、(笑)友人として過ごせます・・・』
子が近づき話は途切れた。



それから間もなく、母親から電話がきた。
慌てたように話す・・・落ちつかせ詳細を聞き出すと・・・ディアと店を飛びだし何処かへ電話した彼女だった。

幼稚園で泣き崩れている母親・・・事情を説明し母親を園長に頼んだ。
『警察に連絡はしましたが・・・』
『保育士の怪我は?』
『病院へ・・・命に別状はなく大丈夫ですよ・・・
誘拐なんて卑劣な(怒)、まして自分の子供に・・・・あんなに脅えて泣いてるのに・・・・』
『車?』
『いえ・・・・抱いて走って行きました。ですが大きなナイフがあったので身動きも取れず・・・・』
『いいえ、他の子供達が危険に晒されますから・・・』
『持ってきました・・・・』
子供が普段使っているスモッグを彼女に渡した。

ビニール袋へ詰めた彼女は
『ディア・・・子供を探す』
そう呟くと匂いを嗅がせた。
動き出したディアの後を追う・・・荷をリュックへ背負いキャップを被ると街中へと歩ませた。

リードを携え辺りを眺める・・・場所によって雰囲気を替え容姿もかえてディアへ祈る。

消えた臭いに戸惑うディア・・・彼女は辺りを眺め防犯カメラを探すと、確認し距離を縮ませた。

時々、電話をしながら連絡し指示を請う。

作業を確実に、抜かりなく先へと進む彼女だった。