会社の行事も終わり、社内も穏やかな時間が流れ始めた。
壁に飾ってある服を、ジッと眺めていた彼女の目から涙がこぼれ落ちた。
当日に写真を撮ってやると言われ、その中に満面の笑みが並ぶ姿があった。
その前から何を着ようと相談しながら悩み、何度も作り直していた。
試着させられ、んーと考えては項垂れ・・・それでも楽し気に作っていたのだ。
バイト代を溜め込み、喜び勇んで家を飛び出した。
そして、その日の夕方に重そうに荷物を抱え帰ってきた姿が可笑しくて笑う自分を怒り顔で呟き・・・それでも買った物を眺め抱きつき微笑んでいた・・・・
それからの日々は満面の笑みは止まらなかったなと笑みを浮かべ眺めた。
隣へ寄り添うように座る彼女が、悲し気に姉を見つめていた。
止まらない涙を眺め、悲しくて胸が苦しくなった。
いつもの笑顔が見たくて、はしゃいでみるが・・・どれも効果はなく項垂れたように見守るしか出来なかった。
少し落ち着いたのか夕食を作り始めた姉・・・
『シーちゃんの好きな(笑)デザートがあるから食後に食べようね・・・』
キッチンに立っていた姉が呟き、フゥと息をはくと仕度を始めたのだった。
行ってらっしゃい(笑) 彼女が呟く・・・・毎朝の事だ。
『(笑)行ってきます・・・』
部屋の中へ声をかけて会社へと向かう姉・・・気をつけてねと言葉を繋ぎドアの鍵はしまる・・・
『私も散歩に行こうかな(笑)』
一人ごちて部屋を出た・・・
初めて訪れる街・・・物珍しさで楽しくて、あちこちの店へ見学とはいりまくった。
店を出た時に、逃げるように走り・・・探るように身を潜める人がいた。
何だと眺めていたが、勢いよく飛び出して行った事に驚いた・・・・
数人が走り追い掛けていく・・・・その一人の手にナイフが見えた・・・
思わず追いかけ探していると・・・手を拭きながら出て来た人達が、見た人達だと気づいた。
その手を眺めると、それは何か分かる程に自分が震えてきた。
恐る恐る覗く・・・・真っ赤に染まる服で、逃げていた人だと思った。
震える手で携帯を探しポケットから引き出せたが・・・力が入らずに携帯が滑り落ちた。
ゆっくりと探しているような動きで、ヤバいと焦った彼女が走り寄った。番号をつつく・・・
『何番だった?』
泣きながら何度も試す彼女・・・かかれと叫ぶ・・・・
『はい緊急ですか?』
『両方! 男の人が刺されて血だらけです。助けてあげて下さい。
早く救急車を呼んで来てください』
泣き叫びながら・・・そして怖さと闘いながら叫んだ。
住所が分からず、知った場所から説明している彼女がいた・・・・
少しずつ聞こえてくる音に安堵した・・・・・気付けば同じ場所にいた。
『振り出しだ・・・・』
そっと立ち上がり、彼女は項垂れたように姉の待つ家へと帰るのだった。
『お巡りさん(笑)ご苦労様です!』
声をかけながら素通りしていく・・・・いつもの警官は休みのようで交番には居なかった。
それでも習慣は消えず声が出てしまう。
一度助けて貰った事で顔見知りになった・・・・それからは、交番の前を通る時は声をかけながら素通りする。
仕事の邪魔は駄目だと姉に叱られたからだった。
やっと戻れた部屋へ入り寝そべった。
仲良く笑っている二人の写真があった・・・・それを眺めながら姉を待つのだ。
『番号を押せる・・・・会話も出来る・・・なんで、お姉ちゃんと話せないんだろ・・・・』
呟く雫・・・・・ジッと考える・・・・無駄と知るが考える・・・出来るのに出来ない・・・その理由を。
かれこれ一年にもなる・・・・そして、それは先日の事だった。
自分が何で居れるのか不思議だった・・・なぜなら死んだから。
やっと姉の家へ辿り着いた時には、遺影と呼ぶソレを抱き泣き叫ぶ姉の姿があった。
余計に自分は死んだのだと理解した・・・・姉へのプレゼントを残したままで・・・呆然と立っていた自分に気づいたが動けなかった。
ふと気づけば手足さえ動かす事も出来なかったのだ・・・早く戻りたい一心で姉を思い連絡方法を考えていた。
ポカンと穴が空いたように記憶がなかった事を知った・・・
少しずつ手足が自由に出来始めたが、今度は その場から移動出来なかった。
諦めたように、力が抜けて座り込む・・・手にしたプレゼントさえ持てず、手から離れた・・・
『会いたいのに・・・』
スッと立ち上がり意思を固めて足を出した・・・
『あっ・・・・』
思わず前のめりになり、足を踏ん張った・・・嬉しくて可笑しくて笑みは高鳴るように笑えた。
ふとプレゼントを眺めた・・・
『思いが強すぎて持つな?
ま、後で取りに来るかな(笑)』
出た足は引かずに、姉の所へ行こうと決めた雫だった。
暇な一日が始まる・・・・
今までは途方にくれて泣いては寝込む姉と一緒だった。
それでも同僚の励ましで会社へも行けるようになったのだ。
自分の誕生日に・・・悲しいんだから、しなきゃいい誕生日会を姉は祝ってくれた。
泣きながら蝋燭を灯し歌ってくれた。そんな優しい姉に感謝する・・・・今では夕食を作り写真を飾り一緒に食べるのが日課だ。
恋人さえ飽きれ離れて行った・・・化けてやると後を着いていく。
二股だった事を知って部屋で暴れまくった・・・・疲れただけだった。
ゆういつ触れた携帯・・・頭に来て警察へ電話をかけてやると本当にかかり彼女は驚いた。
助けてと叫んでいた事を思い出した・・・・・静かな気配で警官は私服でやって来た。
そっと対応した女性が部屋から優しく出され、数人の警官は中へ彼を取り押さえに入り込んでの騒ぎだった。
指紋は彼のモノで・・・容赦ないお叱りで、彼女との喧嘩を苦笑いして家へ帰ったのも昨日の事のようだった。
それからは、出逢った自分の同じ年頃の子達を見て危険が迫ると電話をしまくった。
警察は信用しなくなり、適当にかけるが・・・繋がる事は少なかった事に驚いた。
ラッキーな事に警察へ繋がる時は、少女が危険な時が多かったのだ。
知らない番号をうつ・・・・話すと以外と信じてくれて警察へ連絡してくれる人達だとホッとした事も多かった。
だから今は知らない番号を最初にかけてみる・・・・どうしても無理な時は警察へかけていた。
やっとハロウィンが終わる・・・笑みを浮かべ眺める姉は諦めて仕事へ向かう・・・・命日が来てドン底へ落ち・・・泣き疲れて眠ると決意したように、やっと仕事だと部屋を出て行けるようになった。
そしてまた・・・ドン底へ落ちた姉を見守った・・・・行きだして苦笑いをしながら会社まで一緒に向かう。
いつものように始める姿に安心して雫は戻るのだ。
そして公園で座り込み考える・・・・
電話をして安心すると、フッと・・・何故か最初に居た場所へ引き戻されていた。
『何度考えても、やっぱり変だ・・・お姉ちゃんはプレゼントを持ってないけど葬式は終ってる・・・
遺骨はあった・・・見つかったけど死んだ時に持ってたプレゼントは無かった。
私はココで死んだ・・・なんで?』
もちろん答えはない・・・・死ぬ気はない、プレゼントをあげようとしてたもん・・・
自分へ自問自答していく雫だった。
よく考えるが諦めも早く、姉のそばなら平気だと素早く家へ戻る。
そんな日々を過ごしてきた雫でもあった。
ある日・・・・・
ふと気付けば暮れいく中だった事に苦笑いして自宅へと向かっていたが・・・・
スレ違う中で、一人の男の呟きが聞こえた・・・・嫌な感じで不安になり後をつけた。
商店街を抜けていく・・・・先を歩く女性は誰かを知った。
狙いをつけて距離が縮む・・・遂に捕まるが鞄を投げ付けて逃げた。
携帯が見え焦りながら番号を押していった。
逃げては殴られる女性の声がしなくなった。
やっと繋がり頼み込んだ雫・・・・足音がして犯人を眺める・・・同じように気づいたようで諦めて素早く歩を進めていった。
離れた事でホッとした雫もいた・・・・当然の如く瞬間移動したように、その場へ立ち竦んでいた。
それでも大丈夫だったのか気になりつつ、その場を後にした雫だった。
どうしても気になり、番号を思い出してかけてみた。
公園で昼寝をしていた人の携帯が落ちていたからだ。
少し話が出来てほっとした・・・
戻された自分に笑み、姉の居る家へと帰るも足は軽かった。
無事と知ったからだ・・・・
ようやく家へつき、眠る姉の隣へ寝そべると雫は静かに眠り始めたのだった。
壁に飾ってある服を、ジッと眺めていた彼女の目から涙がこぼれ落ちた。
当日に写真を撮ってやると言われ、その中に満面の笑みが並ぶ姿があった。
その前から何を着ようと相談しながら悩み、何度も作り直していた。
試着させられ、んーと考えては項垂れ・・・それでも楽し気に作っていたのだ。
バイト代を溜め込み、喜び勇んで家を飛び出した。
そして、その日の夕方に重そうに荷物を抱え帰ってきた姿が可笑しくて笑う自分を怒り顔で呟き・・・それでも買った物を眺め抱きつき微笑んでいた・・・・
それからの日々は満面の笑みは止まらなかったなと笑みを浮かべ眺めた。
隣へ寄り添うように座る彼女が、悲し気に姉を見つめていた。
止まらない涙を眺め、悲しくて胸が苦しくなった。
いつもの笑顔が見たくて、はしゃいでみるが・・・どれも効果はなく項垂れたように見守るしか出来なかった。
少し落ち着いたのか夕食を作り始めた姉・・・
『シーちゃんの好きな(笑)デザートがあるから食後に食べようね・・・』
キッチンに立っていた姉が呟き、フゥと息をはくと仕度を始めたのだった。
行ってらっしゃい(笑) 彼女が呟く・・・・毎朝の事だ。
『(笑)行ってきます・・・』
部屋の中へ声をかけて会社へと向かう姉・・・気をつけてねと言葉を繋ぎドアの鍵はしまる・・・
『私も散歩に行こうかな(笑)』
一人ごちて部屋を出た・・・
初めて訪れる街・・・物珍しさで楽しくて、あちこちの店へ見学とはいりまくった。
店を出た時に、逃げるように走り・・・探るように身を潜める人がいた。
何だと眺めていたが、勢いよく飛び出して行った事に驚いた・・・・
数人が走り追い掛けていく・・・・その一人の手にナイフが見えた・・・
思わず追いかけ探していると・・・手を拭きながら出て来た人達が、見た人達だと気づいた。
その手を眺めると、それは何か分かる程に自分が震えてきた。
恐る恐る覗く・・・・真っ赤に染まる服で、逃げていた人だと思った。
震える手で携帯を探しポケットから引き出せたが・・・力が入らずに携帯が滑り落ちた。
ゆっくりと探しているような動きで、ヤバいと焦った彼女が走り寄った。番号をつつく・・・
『何番だった?』
泣きながら何度も試す彼女・・・かかれと叫ぶ・・・・
『はい緊急ですか?』
『両方! 男の人が刺されて血だらけです。助けてあげて下さい。
早く救急車を呼んで来てください』
泣き叫びながら・・・そして怖さと闘いながら叫んだ。
住所が分からず、知った場所から説明している彼女がいた・・・・
少しずつ聞こえてくる音に安堵した・・・・・気付けば同じ場所にいた。
『振り出しだ・・・・』
そっと立ち上がり、彼女は項垂れたように姉の待つ家へと帰るのだった。
『お巡りさん(笑)ご苦労様です!』
声をかけながら素通りしていく・・・・いつもの警官は休みのようで交番には居なかった。
それでも習慣は消えず声が出てしまう。
一度助けて貰った事で顔見知りになった・・・・それからは、交番の前を通る時は声をかけながら素通りする。
仕事の邪魔は駄目だと姉に叱られたからだった。
やっと戻れた部屋へ入り寝そべった。
仲良く笑っている二人の写真があった・・・・それを眺めながら姉を待つのだ。
『番号を押せる・・・・会話も出来る・・・なんで、お姉ちゃんと話せないんだろ・・・・』
呟く雫・・・・・ジッと考える・・・・無駄と知るが考える・・・出来るのに出来ない・・・その理由を。
かれこれ一年にもなる・・・・そして、それは先日の事だった。
自分が何で居れるのか不思議だった・・・なぜなら死んだから。
やっと姉の家へ辿り着いた時には、遺影と呼ぶソレを抱き泣き叫ぶ姉の姿があった。
余計に自分は死んだのだと理解した・・・・姉へのプレゼントを残したままで・・・呆然と立っていた自分に気づいたが動けなかった。
ふと気づけば手足さえ動かす事も出来なかったのだ・・・早く戻りたい一心で姉を思い連絡方法を考えていた。
ポカンと穴が空いたように記憶がなかった事を知った・・・
少しずつ手足が自由に出来始めたが、今度は その場から移動出来なかった。
諦めたように、力が抜けて座り込む・・・手にしたプレゼントさえ持てず、手から離れた・・・
『会いたいのに・・・』
スッと立ち上がり意思を固めて足を出した・・・
『あっ・・・・』
思わず前のめりになり、足を踏ん張った・・・嬉しくて可笑しくて笑みは高鳴るように笑えた。
ふとプレゼントを眺めた・・・
『思いが強すぎて持つな?
ま、後で取りに来るかな(笑)』
出た足は引かずに、姉の所へ行こうと決めた雫だった。
暇な一日が始まる・・・・
今までは途方にくれて泣いては寝込む姉と一緒だった。
それでも同僚の励ましで会社へも行けるようになったのだ。
自分の誕生日に・・・悲しいんだから、しなきゃいい誕生日会を姉は祝ってくれた。
泣きながら蝋燭を灯し歌ってくれた。そんな優しい姉に感謝する・・・・今では夕食を作り写真を飾り一緒に食べるのが日課だ。
恋人さえ飽きれ離れて行った・・・化けてやると後を着いていく。
二股だった事を知って部屋で暴れまくった・・・・疲れただけだった。
ゆういつ触れた携帯・・・頭に来て警察へ電話をかけてやると本当にかかり彼女は驚いた。
助けてと叫んでいた事を思い出した・・・・・静かな気配で警官は私服でやって来た。
そっと対応した女性が部屋から優しく出され、数人の警官は中へ彼を取り押さえに入り込んでの騒ぎだった。
指紋は彼のモノで・・・容赦ないお叱りで、彼女との喧嘩を苦笑いして家へ帰ったのも昨日の事のようだった。
それからは、出逢った自分の同じ年頃の子達を見て危険が迫ると電話をしまくった。
警察は信用しなくなり、適当にかけるが・・・繋がる事は少なかった事に驚いた。
ラッキーな事に警察へ繋がる時は、少女が危険な時が多かったのだ。
知らない番号をうつ・・・・話すと以外と信じてくれて警察へ連絡してくれる人達だとホッとした事も多かった。
だから今は知らない番号を最初にかけてみる・・・・どうしても無理な時は警察へかけていた。
やっとハロウィンが終わる・・・笑みを浮かべ眺める姉は諦めて仕事へ向かう・・・・命日が来てドン底へ落ち・・・泣き疲れて眠ると決意したように、やっと仕事だと部屋を出て行けるようになった。
そしてまた・・・ドン底へ落ちた姉を見守った・・・・行きだして苦笑いをしながら会社まで一緒に向かう。
いつものように始める姿に安心して雫は戻るのだ。
そして公園で座り込み考える・・・・
電話をして安心すると、フッと・・・何故か最初に居た場所へ引き戻されていた。
『何度考えても、やっぱり変だ・・・お姉ちゃんはプレゼントを持ってないけど葬式は終ってる・・・
遺骨はあった・・・見つかったけど死んだ時に持ってたプレゼントは無かった。
私はココで死んだ・・・なんで?』
もちろん答えはない・・・・死ぬ気はない、プレゼントをあげようとしてたもん・・・
自分へ自問自答していく雫だった。
よく考えるが諦めも早く、姉のそばなら平気だと素早く家へ戻る。
そんな日々を過ごしてきた雫でもあった。
ある日・・・・・
ふと気付けば暮れいく中だった事に苦笑いして自宅へと向かっていたが・・・・
スレ違う中で、一人の男の呟きが聞こえた・・・・嫌な感じで不安になり後をつけた。
商店街を抜けていく・・・・先を歩く女性は誰かを知った。
狙いをつけて距離が縮む・・・遂に捕まるが鞄を投げ付けて逃げた。
携帯が見え焦りながら番号を押していった。
逃げては殴られる女性の声がしなくなった。
やっと繋がり頼み込んだ雫・・・・足音がして犯人を眺める・・・同じように気づいたようで諦めて素早く歩を進めていった。
離れた事でホッとした雫もいた・・・・当然の如く瞬間移動したように、その場へ立ち竦んでいた。
それでも大丈夫だったのか気になりつつ、その場を後にした雫だった。
どうしても気になり、番号を思い出してかけてみた。
公園で昼寝をしていた人の携帯が落ちていたからだ。
少し話が出来てほっとした・・・
戻された自分に笑み、姉の居る家へと帰るも足は軽かった。
無事と知ったからだ・・・・
ようやく家へつき、眠る姉の隣へ寝そべると雫は静かに眠り始めたのだった。