tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

ガール 17

2016-10-18 13:56:23 | Girl
『僕の勝ちかな(笑)』
『目覚めたらいたりして(笑)』
『食べたいのを準備しといてやるぞ(笑)』
『じゃエリーのケーキ』
『頼んどくわ(笑)』

『ダリム…』
リカはイヤホンを渡す。
『大丈夫だよ(笑)勝負だよね。
カノン…待ってるよ(笑)分かった。
頑張るよ、うん…行ってきます(笑)』
イヤホンを手に握りしめ誰にも渡さなかったダリム。
看護師は諦め、持たせたまま手術室に入っていった。

手術室の開始の合図…電気がついたのだった。


『リカ…』
『終わらないみたい。今回はキツイの…軍隊じゃないのに。なんで受けたのか…』
『皆…無事だといいんだけど』
『準備は出来てる。場所も特定してある。情報(笑)盗んだ』

『どんな場所?』
『紛争地域の隣…… 援護射撃。カノンとジョーは前…』
『なんで前…』
『初めは後ろだったけど、さっきみたら変更されてた…。ただ少し前のだから…場所は確定じゃなくて…』
『なんで…』
不安な彼女達だった…

『待つなら部屋がいいわ…』
アレクが言い、皆を連れて向かう。


『…ダリムの手術の許可がおりなかったの…。向こうは、そのまま死なせてやれって…。確率が半分なら諦めろと…そう言われたらしいの』
アレクはそう呟いた。

『だから説得しに?』
『ダリムは生きたいと願うなら、手術にかける気があるならって』
『病院で…』
『きたわ迎えに…。あの人はカノンを助けてたみたい。
だから私達は助かってた。だけど今回は どうなってるか…』
アレクは不安になる

『リカは会った事は?』
『ない…カノンは必要以上は駄目だと会わせて貰えなかったから。何度聞いても、命を守る為にって…』
『結局はカノン一人で守ってたんだ…信用』
『してたわよ。だからカノンは皆を守りたかった。苦しむ意味を知らない自分だけでいいと言ったわ。
逃げる事も苦じゃない自分なら大丈夫だから…。傷つけば動けなくなるから…。

いろんな事が当たり前できた自分なら平気だけど、苦しんできた皆には無理だろうからって。
ダリムを守ってくれてるから、その分って…』
『馬鹿じゃないの(怒)』

『ずっと逃げる生活だった(笑)私と会う前から…。ダリムが来る前からずっと…』
リカは涙した…。
『リカ…なんで?…』
『……外がみたいって、自由がいいって。…自分の居場所を探してたかも。
ダリムが狙われそうで逃げた時以外にも…嫌だから行くって(笑)

…いつも同じ刑事さんが迎えに行ってた。私も一緒に逃げた時に刑事さんが私に言ったの。
ダリムと二人で心を守れば、カノンは大丈夫だって。子供だったから意味は分からなかった…。

だからか、ゆっくり私に言ったの。いつも固まってろって(笑)どんな時も…って。
あの時は、私達の代わりに死んでもいい位に思って守ってたわ。
悔いはないって…言ってたもの。だから…死なないように固まれって思った。』

『今はないよね…そう信じたい』
『いろんな気持ちを伝えるのは、少ないよね…。リカもだけど』
『それは私達がおんぶ してるからじゃ?』
『そうかもね(笑)』

『でも変わったわよ(笑) 前よりずっと…話すようになった』
『そうだね、今のカノンは昔とは違う(笑) マリンとアレクがいた頃より皆に話をしてる…』
『話してるね(笑)』
『人間になった?』
頷くリカが笑った。

『ボムにも感謝しなきゃね…ありがとうって』
『顔が優しくなったし?』
『一緒に飲んでくれてるし(笑)』
『あとは愚痴かぁ…』
笑う彼女達に笑む。

『子供だった頃は苦しかった。
ダリムと私が泣くから、カノンは我慢してた。
ダリムが消えると半端なく探し回った。ダリムの様子に二人で迷って苦しんだ。

やっとダリムが理解出来て、外で働けるようになって…。
三人で話す事も多くなったけど、カノン自身の事じゃなくて、私とダリムの先を見てた。

きっと今もそう…、だから負担を軽くする為に私は自分の先をみなきゃいけないの。
ダリムだけをみれるように、少しでもカノン自身をみれるように(笑)』リカはそう言った。

それぞれに、想いにふけた…。


『ご飯持ってきたよ(笑) どのくらいで終わるの?』
ミンとルーが、並べながら聞いてきた。
『まだみたいよ』
『ダリム頑張れ!』
『声に出さないで心で祈れば?』
『それは駄目…口に出さなきゃ意味はない。絶対!って心で思えるんだから…』
『教会で祈ってきたわよ(笑)』


アレクとリカが居なかった。
『下かな…後で替わろう(笑)』
皆は食べ始めた。


二人がいたのは、救急治療室の前だった。
リカに連絡が入ったからだった。
出てくる看護師に容体を聞くが、誰も答えることなく出入りしていた。

「貴女がリカさんでしたか?」
頷くリカに一人の男性が言った。
「彼女達は、敵に撃たれ負傷しました。一人は肩に、もう一人は背中に…。
残る二人は前線より後方に下がれました。
その後の確認はとれませんでしたが…あとを頼みます」

「貴方は…」
「知らせを頼まれた者です。連絡が取れたら知らせます」
また言いかけたリカだったが、先へと歩いていってしまった。

知らない不安の中で 祈るように覗くが、誰かまでは確認出来なかった。

ちょうどマリンがきて事情を話すと皆のもとへ駆け出して行く。

アレクは看護師に呼ばれ中へ入ったまま出て来なかった。


「二人って?」
「分からない…アレクも中へ入ったまま…。半分はダリムの方に」

驚き動けない皆の前にたつ。
『こっちみて!(笑) 後ろに椅子があるから……私はダリムの方に行く。
だから、誰が怪我をしたか分かったら言いに来てくれない? …皆は大丈夫と祈ろ…』
目を潤ませたまま、リカを見て頷くのを確認した。

『絶対に!知らせにきて』
『分かった…必ず』
リカに…ミンがやっと答えた。

ゆっくりと歩くリカ。
体の震えが止まらず、自分で押さえながら歩いていくのだった。

ダリムの手術室の前につくと、ドアをみつめ携帯を手にして、イヤホンをみて…祈るように佇んだリカがいた。


微動だにしないリカを見つけたジャンがリカを抱きしめる。
「遅くなった…皆は?」
「リカ?」
涙をこらえ手術室を見つめているリカに不安を覚える。

後ろからルーが走ってきた。
「治療は終わった。ソニーとジョーだった。一緒に行ってくる、説明はアレクがして貰ってるからね。
ダリムの方は順調みたい。あと少しって…聞いたわ。
リカ? 分かった?」

ゆっくりと頷きルーを見送った。
涙をこぼすリカは膝から崩れそうになり、ジャンが支えた。

椅子に座らせ落ち着かせる。
ボムが飲み物を買ってきた。それを飲ませて、リカの様子をみた。
目線は手術室を見つめているリカに言った。

「何があった? リカ…」
ジャンが優しくリカの顔を包み、目線を合わせ見つめた。
「何があった…」とゆっくりと聞いた。

「ソニーとジョーが怪我をして運ばれて来たの。エリーとカノンはまだ帰ってない…」
震えるリカは、やっと声を出して言ったのだった。

「前にカノンと会ってた奴とすれ違った気がする…リカに会いにか?」
とボムが言った。
「だいぶ前に帰ったはずだけど…。ダリムの様子も?」
立ち上がり、振り返ったリカ。


イヤホンから聞こえた声に、突然、涙するリカがいた。
急いで耳に近づける。

『カノン…二人とも怪我はない?…無事に治療は終わったわ…。ダリムはもう少しみたい…
「リカ…偉い。大丈夫よ。ダリムは生きる」
『カノン…貴女も?』
「大丈夫(笑)エリーと怪我はない。元気だして、ダリムにバレる(笑)泣いた事」

『ごめん…不安だったの。誰がどこを怪我したか分からなくて…』
「あの人が言いに行ったじゃん…」
『だけど不安だったの。誰が怪我して誰が残されたのか教えてくれなかったし……』
「ダリムの手術が終わるまで頼んだのに帰ったか…」
『ん…たぶん様子見して帰った』

『まだ帰れない…ここは離れるわ…少し安全。次に終わったらエリーを帰すから…。
ソニーに伝えて(笑)大丈夫って。二人共に無事よって』
『分かった…早くねカノン。待ってるから…』
『……』切れた事に驚いた。

ジャンの胸に身を預け震えたリカに驚く。

「どうしよう…返事しなかった。待ってるからって言ったのに…」
「回線が早く切れただけだ…」
涙をこぼすリカに優しく言ったジャンだった。

「向こうをみてくる」
ボムがソニー達の様子を見に行った。

意識はあるようで、小声で話していた。何語か確認出来ずに、皆を観察した。
「ボム…ダリムは?」
「あと少しだと聞いた。こっちは?」

「大丈夫だけど…」
「なんだ…」
「カノンとエリーが…」
「はっきり言え」
「不明だと」

「どこから…」
「私がいた場所」
「次の任務地に向かったと聞いたが?」
「ほらぁ…だから誤認って言ったじゃん(怒)」
「なんでボムよ(怒)」
「お前らのイヤホンか携帯は…」
言われて初めて気づいた。

「ない…」
全員が持ってなかった。
「私のは壊された…」
「ちっ(笑)」ダリが舌をうった。
「リカに来たんだ。意識はあるんだな、リカに言っとくからな…
動けんなら、誰かを助けろよ…」

頷く皆に笑み部屋を出ていった。
手術室の前に座る二人に言ったボムに、笑みが出た。

マリンとアレク、リアンがやってきた。リカを抱きしめたマリン。
「同時進行はキツいんだね…。リカの言ったカノンの想いを知ったわ…。
皆すっごく反省して、ヘコんでるの。リカ…リカにも謝らなきゃ…ごめんね」
首をふるリカをみた。
皆で固まり、時間が過ぎるのを待った。それは皆にとって長い時間だった。


「終わったわ…」
アレクが言うと、立ち上がり入口を見つめていたリカ。

運ばれるダリムを見ていると、手術をした医師がアレクに説明を始めた。
握手をして去っていく医師を見つめたアレク。

『うまくいったって。あとはダリムしだい…』
皆で涙するがジャンとボムが戸惑っていた。
「ごめん、手術は成功だけど、ダリムしだいだって」

「部屋にとりあえず行こう」
ジャンがリカを連れていく。
途中で二人に会うリカ。
ダリムの事を話すとまた皆で涙をこぼしたのだった。

『残る二人が無事なら万々歳よ』
笑みながらジョーが言った。



ダリムの部屋で眠るリカを見つめたジャン。
「明日の休みは交代してやる(笑)班長に言っとけ、じゃぁな」
ボムがジャンに言い、帰っていった。
外に出たボムが気づいた…


「マジか…」
空は明るく、既に朝が来ていたのだった。

署に早くついたボムがソファーで仮眠をとると、しばらくして班長に起こされた。
夕べ争っていた組織の奴らの、裏とりをしろと言われ、ペアを組んで行かされた。

「ドジン…ついたら起こせ…」
「なんだ…(笑)徹夜だったか?」
答えずに爆睡しているボムに笑み先を急いだ。

仕事を急がされ、家にも帰されず あちこちにドジンと二人は動かされた。
休みを貰えたのは3日後の夕方…ドジンと二人で飲みに出掛けた。
ボムはドジンから解放されたかったが、飲んで帰って爆睡したいと言われ付き合っていたのだ。

頭がぼーっとなるが、二人で飲み続ける。
肩をくみ、二件目に突入した。

うまいカクテルに ドジンは喜び、隣にいた女性と盛り上がっていた。
「コイツとは何だかな…何かにつけ一緒だ…。離れないんだな、コイツは(笑)家までですよ?ありえない…」
体を揺らし笑う彼…酔いもまざり、ボムには どーでも良かった。

それでもベラベラ話すドジンの口を止めた…。
「お前が来るんだろ…」
ボムは呟きながら酒を飲んだ。

女性と楽しそうに話している二人の話し声に笑うボムもいた。

家に帰ろうとするが、ドジンは帰してくれず…仕方なく付き合うが、酒の量も増えてきた。

「家はどこ?」
女性に聞かれ素直に答えるドジンがいた。
「馬鹿だなぁ…普通は言わないぞ(怒)」
と…言ったろうが、呂律が回っていなかったようで、何度も聞かれ…可笑しくて笑う彼ら。

「だから家は(笑)隣どおしで…」
ふらつきながらドジンと帰るが、身体を支えられ やっと歩いていたのだった。

少しずつ歩けなくなり…タクシーに乗せられて、家へ向かうのだった。