tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

restraint 19

2017-10-05 00:25:17 | restraint
八神へ連絡を取った・・・電話は繋がらず徳島や立見への直通さえ繋がらなかった。
葉月や愛美と話をしてみれば、同じように連絡は取れていない事を知った。


久しぶりだと連休が取れた奏音は、季音と咲真が住むマンションへ向かった。
出迎える季音が苦笑いをして、珈琲を入れながら自分を見ていた事に気づくと本題だと声にした。

『トキちゃん(笑)。本当の事を話してくれる?』
『もー知ったの?』
『トキちゃんが知る全部を教えて』
そう言って季音を眺めた。

なかなか切り出せない季音・・・その迷いは何だと考えながら姉を観察した。
『ショウマも知るなら聞く・・・』
『えっ・・・知らないと思う。忙しくて殆んど帰れないから、時々ショウ君の着替えを交換しに行くんだもの』

『なら次に行く時に変わって』
『・・・本当に全部?』
『ん・・・話して』
分かったと頷く季音だった。

『ごめんね・・・ずっとリュウトさんと、お付き合いしてました・・・時々、泊まりにも・・・ね(笑)』
『 ・・・』
驚いた・・・ソコからかと・・・

『だっ大丈夫なのよ? ・・・本当に危険って時は来ないし・・・行かないし・・・内緒のお付き合いをしてたの・・・』
『それでいいの?』
『私は平気・・・彼も巻き込む怖さがあるって、表立って出歩けないって・・・いつも謝ってるの。

最近は・・・今は10日位かな・・・連絡を待ってる状態なんだけど』

『それはトキちゃんが巻き込まれないように離れてる期間って事?』
『そう、敵が近い気がするから離れるぞって・・・
遅くには出歩くなって・・・』
『トキちゃん・・・仕事は?』
『同じ(笑)残業なしの定時で帰れる職場だから・・・』

『それ以外の話は聞いてる?』
何の事だと不思議そうに見返した季音・・・何も話されていない事を知った。

『良かったのか悪かったのか・・・』
『ん?』
小さな呟きに季音は何だと奏音を眺めていた。

『ショウマは知ってるの?』
『ん(笑)彼がいいかって聞いてくれたし・・・
でね、その着替えを交換しに行くのは今日で・・・』
『 ・・・』
『行っちゃうんだよね・・・』
奏音がと苦笑いをしながら呟く季音に笑うのだった。


『カートごと交換よ(笑)』
『了解(笑)』
それを転がして出ていく奏音を見送る季音に笑み、咲真が待つ場所へ向かうのだった。

咲真は医師になるべく、今は研修扱いで病院で寝泊まりしていると聞いた。
着実に自分の道を進む咲真にホッとした自分がいた。

携帯を手に院内へ入った奏音は、向こうから歩いてくる男と視線があった。
電話だと手を耳へして見返すと、微かに頷く男に口を引き 奏音は廊下を反れて歩き出した。

『ん?カナちゃん!』
ベンチに座り待っていた咲真が叫び、慌てて静かに同僚に謝ると近寄ってきた。

『なっ何でカナちゃんが?』
『悪い?』
『いやー助かったけど・・・あっ俺カート忘れてきた(笑)』
照れながら呟き、新しいカートを受け取ると取りに来てと頼み込み一緒に待って話していた同僚と話ながら歩いた。

『暇じゃない(笑)さっさと歩いたら?』
『ごめん(笑)。これが休憩だから・・・』
『終わらせて休めば?』

『秋里のお姉さん(笑)。それは無理っす・・・時間出来たら見回れって返上されるから・・・』
『絶対命令?』
そうだと頷く咲真達に口を引いて笑うだけの奏音だった。

『八神さんと会った』
『そ? ごめん(笑)今は小児科中心だから大人は女性が多くて・・・』
『ショウマは何処まで知る?』
『トキちゃん経由』
『あー』

やっぱりと苦笑いをした奏音に驚いて見返す咲真に、気にするなと呟き 立ち止まった。

棟を挟むガラス張りの廊下・・・数台のその車に気付き眺めた。
向こうも気づいたのだろう、部下を連れて離れた八神は携帯を手にした。

『ショウマ・・・ここで電話してるから、ゆっくり持ってきてくれない?』
『直ぐ先だけど・・・』
『君の荷物は寝惚けて持ってくるのを忘れた事にしな(笑)』

着信した携帯を眺め、荷物を残して行かせた奏音に訝しげながらも向かう咲真だった。

『ショウマ君の病院でしたか?』
『そう・・・』
『今は』
『小児科らしいわ。話せるの?』
『 ・・・・』

『しつこい電話が止まれば何かが起きた想像はつくのよ・・・
隙は出来ると話し込んだし、皆で惚けてた勿体ない時間は出来たろうから微妙に想像はつく。
離れた方が安全だと思ってたから、貴方へ先に話そうと思ってた』

『すみません』
『それは何?』
『止められず・・・』
『だから何!』
『偽の情報に乗せられました・・・』
『それは私の名が入ってたから?』
『 ・・・』

『確認を忘れたのか・・・相当、惚けてたのね・・・』
『3人とも安静にしてれば来週は退院出来そうです』
『 ・・・どーしたらいい?』
『それは、どんな意味でしょう』

『今の状態が起きる可能性があると彼に言ってた・・・本当に起きたら離れるとも』
『困ります』
『それはヤバいと分かるでしょ・・・彼を弱くする為に私は居ないわ』
『離れたら仕事を投げ出して探し回ります・・・』

『そーならないように引っ越しもしなかったわ。
だけど名前一つで起きた・・・その場所は不安定なままでしょ・・・彼の上の人達から雷は落ちてかないの?』
『落ちそうな状態で・・・今・・・』

『これから会って離れる事を宣言してきていい?』
『 ・・・』
『内緒なら暴れまくる気もして・・・』
『壊れます・・・精神的に身内から落とされて・・・そこに追い打ちをかけたい奴らが計った事なので・・・

ハルオミの姉さんが、手を打ってくれているので・・・今は安全に入院していられます』

『 ・・・一緒でも安定しないのよ?』
『 ・・・休みはいつまで・・・』
『今日中に帰るわ・・・
ごめん、弟が来たから切るわ』
病室に行くのかと言おうとして、切れた電話を眺めた八神だった。


『それ、カナデ先生?』
車の窓があき、声をかけたのは晴臣の姉 時田弥生だった。
『はい』
『なんて?』
『 ・・・今回の予測をしてて・・・私と話がしたかったと・・・』

『それは無理だったと言った?』
『はい。ですが彼女は弱くする為に一緒に居ないとも・・・』
『本音は監禁して囲いたいくらいよ・・・泳がせて頑張ってるハルオミの評価はゼロなの?』

『彼女には・・・
仕事と仲間を危険に晒すなと・・・何度言っても構わずに彼女の所へ向かうので・・・
少し前は出禁になりそうでした・・・』

『一直線なのよね ・・・何したの?』
『彼女の仕事に、もう少しで響きそうだったとか・・・』
『これからも続けるの?』
『彼女達は好きで始めた場所のようで、その場所を確保するなら付き合うと・・・』

『ま、条件付きを承知で始めたならハルオミは我慢しなきゃね・・・』
『離れる事を言いに行きそうです』
『ヤバくない?』
『はい・・・』

『八神、戻るわ』
『了解!』
ドアを開けると、スタスタと歩く彼女へ着いて彼らは院内へ戻るのだった。


病室に入った途端に八神の携帯が鳴った・・・見れば奏音からだった事に驚いて、戸惑い・・・迷いは晴臣の姉が気付き替わりに電話に出た。

『ごめんなさいね、席を外してるから替わりに私がでたわ』
『ならば晴臣さんの所へ携帯を・・・』
『寝てたら?』

『・・・・すみません、病室に入った事は確認してます・・・起きてる事も看護師さんへ確認済みです』
『カナデ先生・・・』
『すみません、時間がないので』

『姉貴!カナデなら携帯寄越せ!』
彼女の名前が出た事で、黙って聞こうと思ったが我慢出来ずに声にして手を伸ばした。


『もしもし』
不機嫌そうな声音だと苦笑いをして電話を続ける奏音だった。
『カナデ!なんで来ねーんだよ。黙ってても見つけて来るんだろ?』
『隠し事をするなら完璧に・・・』
『何で病院って?』
『それだけ早く気づくのにね・・・』

『 ・・・』
『その黙りは何?』
『消えんなよ・・・』
『断る・・・覚えてたなら一瞬でも考えてたはず・・・』
『弱くなったって事か?』

『当然、付き合う前の貴方なら今の状態はなかったはず』
『偶然』
『ない・・・自分の為に自分を生かして仕事をしなさいね』

『カナデ・・・』
晴臣の声音が小さくなった・・・
『ん?』
『自信がついたら取り返すぞ?』
『その自信の加減は誰が決める?』
『カナデ・・・』
言うなと名しか言えない彼もいた。

『自分の本当の居場所に戻るだけよ・・・』
『カナ!』
『(笑)私も愛してた・・・ありがとう。
もうおしまいにして・・・』
『今どこだ?』
呟きながらベッドから飛び降りた晴臣は、点滴を外して歩き出す・・・

『場所を言え!』
『窓を・・・』
反対かと驚いて振り向き、急すぎて倒れかかり八神が慌て支えた。

久しぶりの彼女の笑みに、思わず嬉しくて笑みを浮かべた晴臣だった。
『素人に溺れて、その隙間へ伸ばされて本当に怪我をしたのね』
『だから気付くのが遅れただけだ!』

『・・・前のハルオミに戻りな』
『出来ない!』
顔を歪ませて硝子へ手を付き彼女を見返して呟く晴臣・・・
『ハル・・・助けてくれてありがとう・・・楽しい時間も・・・』
『礼はいいから、ここに来い!』
『 ・・・』

答えない彼女に慌て、見つめると笑みながら手を上げた彼女・・・その優しい笑みに見惚れ動けずに見下ろしていた。

後退りするように自分を見ながら離れる奏音・・・
『駄目だ!』
『元気に仕事をしてるか一度だけ確認しに来る・・・
その時に大丈夫そうなら声をかけるから一緒に話そう(笑)』

名を呼ぼうとして声にならなかった・・・部下に追わせようとして姉に引き留められた。

今の状況は煩いと叫べるほどに捲し立てる人に苦笑いしかない。
呆然と眺める晴臣・・・木々で遮られ姿が見えなくなると足から力なく崩れた晴臣だった。

過去形になっていた言葉に、本当に終わらせるのかと項垂れた晴臣。
全部に力もなく・・・視線さえあわずに外を眺める晴臣だけを助けようと秘かに誓いを立てる人達もいた・・・