式も終わり・・・騒ぎ懐かしむだろう一部の卒業生達が教室に戻りだした。
見てこいと副校長に言われ、行ってみれば自分が受け持っていた生徒達だと驚いた。
『(笑)皆でまた3年するか?物凄く嬉しくて、また逢えた嬉しさが沸いてきて泣けるぞ(笑)』
『先生(笑)残念!』
『でもない(笑)先生用にも用意したしねー』
悲鳴が上がる・・・はやした声に照れた笑い・・・期待は高まり先生に向けていた視線は誰かへ戻っていった。
盛り上がるように群がる場所の中心は何かと気にはなるが、眺めていても生徒達の背で見えずにあった。
それぞれの笑みは、早々の同級会の打ち合わせかと耳を傾ける担任だった。
少しずつ照れては唸り、喜んでは微かな叫びさえ始まった。
着信されていく音が、間隔を置いて鳴り止む事もなく続いた。
おーという笑い・・・恥ずかしそうな生徒達・・・その姿を懐かしむ担任に笑みが溢れた。
暫く眺めていたが、笑みを浮かべた生徒達が自分を見る為か一人ずつ振り向き出した。
何が起きると内心は身構えたが、自分のポケットからメールが届いた音がした。
生徒から受けるメールは、皆で決めて同じ着信音にしていた。
だから生徒からだと気づく・・・笑って見返す子達に嬉しくて一人一人と眺めていた。
『あー先生(笑)。万が一会っても絶対に声はかけないで下さいよ?』
『ん?』
何だと見返した生徒の一人を眺めると、それぞれに照れた顔や赤らめた顔があって何だと苦笑いをした。
『あー先生が照れる?私達がヤバい?』
『そこは、お互い様で大人らしく黙って離れましょー(笑)』
『サンキュなー(笑)』
『 ・・・』
サラの呟きにそうかと頷く生徒達・・・改めて挨拶をし皆へ別れを告げて帰っていく姿に思わず目頭が熱く、頑張れと声をかけて送り出していく担任だった。
『先生(笑)。色々と ありがとうございました。
本当に色んな意味で大変だったろうけど、優しく黙って見守ってくれた事に感謝します(笑)』
『(笑)大学でも、自分を持って頑張れ。また言ってあるんだろ?』
『はい(笑)一応手続きする時に話して来ました。
学名が落ちないなら大丈夫って(笑)だから頑張ります』
『頑張った先で会えたらいいな(笑)』
『(笑)先生は彼女と楽しんで!』
『あー(笑)頑張ってみる・・・』
『私のメールは保護しておかないと勿体ないですよ(笑)。遠慮なく使って下さい』
『ん?・・・』
不思議そうな担任の顔に笑み返し会釈してサラが微笑んだ。
またなという笑みに変えた担任に苦笑いだ・・・
パタパタと廊下を走り込む音がして、教室のドアは勢いよく開き激しい音が響いた。
息を切らし、携帯を握り締め・・・真っ赤な顔のミイ先生だった事に担任が驚いた。
『こっこれ何?』
『割引券と招待券です(笑)。
お世話になったので私からの(笑)お礼です・・・
使い方は下にありますから手順をふんで遠慮なく使って下さい(笑)』
『ヤバいでしょ・・・』
『だから式の後に(笑)。大人の友達へプレゼントしただけですって・・・
物凄く嬉しくて(笑)。
昔みたいな煩い子達もいなくて・・・私を心配してくれて・・・クラスの一員で過ごせた事に有り難くて感謝で一杯なんです。
(笑)本当に・・・お世話になりました』
頭を下げたサラに苦笑いをする・・・全員を送り出せた事は担任の戸川も人一倍嬉しかったのだ。
受け持つ事はなく保健室でしか会わなかった自分が感謝された事が嬉しくて涙が溢れた。
嬉しい自分の照れは隠せずに苦笑いをした・・・本当に飛び立つ姿を味合わせてくれたサラに微笑んだ。
教師という意味を持たせてくれた彼女に感謝した・・・
校庭を歩くサラが振り向き手を振っていた姿に笑み、優しい眼差しで見送る二人の先生・・・
楽しい生活が送れた事に感謝しつつ学校を出たサラ・・・・幸せな気持ちは一瞬で消え去った。
車のドアを開け待ち構えた人を眺める。
瞬時に反対方向へ駆け出した先で笑う人に驚き、走るのを止めたサラだった。
ムッとして戻る彼女は丘崎に苦笑いをして車内へ乗り込んだ。
走り出さない車に丘崎の顔を眺める・・・飛び乗るように入り込んだ人に驚き身構えたサラ・・・滑るように走り出す車。
腕を組んで前を向く・・・着信されて耳を傾けた。
『どこよ(笑)遅いじゃん』
『 ・・・捕まった』
『えー!』
叫んだリル達の声に煩いと顔をしかめ聞き入った。
『抜け出しは?』
『夜に行く(笑)買い込んであるから頼んだ』
不意に携帯を取り彼が呟く。
『明日に変更するなら返す』
直ぐに切った携帯は彼の胸ポケットに滑り込んだ事に驚いた。
『 ・・・皆で遊ぶ予定してたのに』
『夜には終わるのか?』
『 ・・・』
『(笑)食事に付き合え。明日、送ってやる』
『飛び出るよ?』
『したら襲うぞ・・・』
『逃げれるし』
『ララとケイがお前を襲うんだぞ?(笑)』
『 ・・・』
『(笑)だよな、ヤバいだろ』
楽し気に呟く二階堂に声も出なかった。
諦めたサラに笑み、引き寄せた彼が胸に抱きキスをして笑った。
胸に凭れ見上げたが、笑む二階堂に呆れ着くまでと目を閉じたのだった。
個室へ通された・・・
楽し気な会話が始まっていた事に笑いながら二人で入り込んだ。
『少しの我慢はないのか?』
『なーい(笑)』
二階堂の呟きに即座に答えるララだった・・・
揃ってから始めるつもりだったのに、既に2品目に突入していた二人。
旨いと食べるケイが、それでも すまなそうに謝り礼を言って食べ始めた。
本当に楽しみながら、笑みを浮かべたララだった事にサラが笑み見つめた。
『この姿で嬉しいのか(笑)』
『(笑)大人しいから』
『ん?私? ここはね、騒いじゃヤバい場所なんだって。
静かに味わったら(笑)楽しく遊べる場所に連れてってくれる約束したから(笑)我慢出来るよ』
旨いと頬張りケイと話ながら食べる二人に微笑んだ。
ララを南川へ預け、サラと帰っていく姿にムッとして見送るララ。
『何で連れてくのよ!遊べないじゃん!』
『(笑)俺と遊べばいいよ。少し先にあるから2時間遊ぼ(笑)』
ララの手を繋ぎケイは案内するように、一つの建物の中へ入り込んだのだった。
何処に行くのか知らないサラは、前を眺め運転する人を眺めた。
『貴方は食事を持ってきてくれた人だね(笑)』
『(笑)はい』
『何て名前?』
『はい?』『ん?』
何でだと驚いた彼・・・急に何で聞くと訝しげた二階堂の声が漏れた。
『名前(笑)』
『あー寺嶋と言います』
『寺嶋さんが来た時、見えた?』
『っ?』『 ・・・』
息をのむ・・・
『ちょーっと気になった(笑)。怒らないから正直に話してくれる?
褒美をあげるから(笑)』
『 ・・・』
体を前に助手席を掴み、運転していた寺嶋を眺めていたサラだった。
『俺は褒美の方が(笑)気になる』
『あー特別招待券とか?』
『それは初めて聞くぞ?』
彼女の身を引いて顔を覗き何だと伺う二階堂に苦笑いをした。
『んー4階でも遊べる特券・・・別階にも変更出来て』
話の途中で彼女の顔を掴み目を合わせた彼に驚いて黙った。
何だと驚いたサラだった事に苦笑いだ・・・自分が瞬時に彼女に向けた事にも。
『他より高いし、最上階でも その券だけは使えるの(笑)。
パネルに無いけど、空室なら選びは上がってから出来るし・・・
ラブホの豪華版って体験してみたくない?』
『 ・・・』
『あ、聞いてない』
『何か分かりませんが、落とさないようトレイしか見てませんでした』
準備していたように直ぐに言った寺嶋に微笑んだ。
『映画は何だった?』
『確かアクション系かと・・・音が激しかった気もします・・・』
『へぇ(笑)。ナイス回答!』
『ありがとうございます(笑)』
フッと笑うサラに呆れ、彼が抱き込んだ・・・その手に笑む彼女が触れて外の景色を楽しむのだった。
ドライブだと笑む彼女は窓を開けて頭を凭れた・・・風に靡く髪・・・心地好さ気な顔に笑む二階堂もいた。
地下へ滑り込む・・・寺嶋がドアを開け二階堂へ封筒を手渡した。
専用エレベーターに入ると、一礼した寺嶋は乗らずに別れた。
『(笑)悪い。顔は隠したい』
上着を被せ抱き込む二階堂が呟く。
『後で教えてくれる?』
『分かった。声も出すな』
頷く事に笑み顔の場所は中から塞ぐサラに笑み、優しく押し出す二階堂に連れ歩かれるのだった。
『ご用意は済んでおります』
『他は?』
『先ほど外出されました。明日は昼に出られるとお聞きしてます』
『(笑)サンキュ。全て不要』
『かしこまりました・・・』
少しの会話で歩かされ、開かれた場所を進むと後ろは閉ざされたようだった。
フッと抱き上げられて自分が運ばれる可笑しさに笑うサラだった。
肩へ手を置き二階堂を見つめた・・・何処へ運ぶと辺りを眺めるサラに笑みを浮かべた。
間接照明だけで室内は照らされていた・・・窓際に明かりはなく、遥か先に見える街の明かりは不思議と優しい色合いだった事に笑いながら眺めた。
不思議な空間のようで、二階堂の頭に凭れて眺めた。
『聞かないでいいのか?』
『ん(笑)。この景色で満足・・・
あれが何処かは分からないけど(笑)あの明かりの下では優しい事が多くありそうな気がして嬉しい気もする・・・遠目だから優しい明かりに見えるのかな?』
呟く彼女をそっと下ろして一緒に眺めた・・・
『淡いオレンジは橋だから?』
『 ・・・』
『あの下に居ても(笑)目は疲れないよね・・・』
きっとと笑って呟くサラ・・・ずっと眺めたままで声にする彼女に口を引いて笑みを浮かべた。
不意に気づくサラ・・・微かにガラスに写る自分の姿に驚いた。
いつの間にか彼に凭れて話していた・・・丁寧に自分の手は彼を捉え・・・自分から抱きついていた姿が見えた。
『ん?何を見た?』
『自分に・・・驚いただけ・・・』
そっと離れようとしたサラを抱き締めた二階堂もいた。
『嫌われてないと思える(笑)』
『嫌ってたら、もっと逃げてるけど?』
『だな(笑)。次は大学だ・・・何の専攻にしてる?』
『あー特に(笑)。
先生が取り合えずって選んだから、それでって(笑)
これから書類を眺めて準備するんだもん・・・(笑)今度、教えてあげるね。
で・・・何でここに? あっ(笑)卒業祝いの食事だったよね・・・ありがとう(笑)皆で食べれて嬉しかった』
『いーや(笑)』
『聞いていい?』
『何を?』
『また・・・刻むの?』
『 ・・・』
これだと手を見せたサラに笑み返し、それかと笑う二階堂もいた。
『(笑)会えたらな・・・
住む場所を替えるだろ?決まったか?』
『探してくれてる(笑)』
『南川?』
そうだと笑うサラに口を引いて見返す二階堂だった。
見てこいと副校長に言われ、行ってみれば自分が受け持っていた生徒達だと驚いた。
『(笑)皆でまた3年するか?物凄く嬉しくて、また逢えた嬉しさが沸いてきて泣けるぞ(笑)』
『先生(笑)残念!』
『でもない(笑)先生用にも用意したしねー』
悲鳴が上がる・・・はやした声に照れた笑い・・・期待は高まり先生に向けていた視線は誰かへ戻っていった。
盛り上がるように群がる場所の中心は何かと気にはなるが、眺めていても生徒達の背で見えずにあった。
それぞれの笑みは、早々の同級会の打ち合わせかと耳を傾ける担任だった。
少しずつ照れては唸り、喜んでは微かな叫びさえ始まった。
着信されていく音が、間隔を置いて鳴り止む事もなく続いた。
おーという笑い・・・恥ずかしそうな生徒達・・・その姿を懐かしむ担任に笑みが溢れた。
暫く眺めていたが、笑みを浮かべた生徒達が自分を見る為か一人ずつ振り向き出した。
何が起きると内心は身構えたが、自分のポケットからメールが届いた音がした。
生徒から受けるメールは、皆で決めて同じ着信音にしていた。
だから生徒からだと気づく・・・笑って見返す子達に嬉しくて一人一人と眺めていた。
『あー先生(笑)。万が一会っても絶対に声はかけないで下さいよ?』
『ん?』
何だと見返した生徒の一人を眺めると、それぞれに照れた顔や赤らめた顔があって何だと苦笑いをした。
『あー先生が照れる?私達がヤバい?』
『そこは、お互い様で大人らしく黙って離れましょー(笑)』
『サンキュなー(笑)』
『 ・・・』
サラの呟きにそうかと頷く生徒達・・・改めて挨拶をし皆へ別れを告げて帰っていく姿に思わず目頭が熱く、頑張れと声をかけて送り出していく担任だった。
『先生(笑)。色々と ありがとうございました。
本当に色んな意味で大変だったろうけど、優しく黙って見守ってくれた事に感謝します(笑)』
『(笑)大学でも、自分を持って頑張れ。また言ってあるんだろ?』
『はい(笑)一応手続きする時に話して来ました。
学名が落ちないなら大丈夫って(笑)だから頑張ります』
『頑張った先で会えたらいいな(笑)』
『(笑)先生は彼女と楽しんで!』
『あー(笑)頑張ってみる・・・』
『私のメールは保護しておかないと勿体ないですよ(笑)。遠慮なく使って下さい』
『ん?・・・』
不思議そうな担任の顔に笑み返し会釈してサラが微笑んだ。
またなという笑みに変えた担任に苦笑いだ・・・
パタパタと廊下を走り込む音がして、教室のドアは勢いよく開き激しい音が響いた。
息を切らし、携帯を握り締め・・・真っ赤な顔のミイ先生だった事に担任が驚いた。
『こっこれ何?』
『割引券と招待券です(笑)。
お世話になったので私からの(笑)お礼です・・・
使い方は下にありますから手順をふんで遠慮なく使って下さい(笑)』
『ヤバいでしょ・・・』
『だから式の後に(笑)。大人の友達へプレゼントしただけですって・・・
物凄く嬉しくて(笑)。
昔みたいな煩い子達もいなくて・・・私を心配してくれて・・・クラスの一員で過ごせた事に有り難くて感謝で一杯なんです。
(笑)本当に・・・お世話になりました』
頭を下げたサラに苦笑いをする・・・全員を送り出せた事は担任の戸川も人一倍嬉しかったのだ。
受け持つ事はなく保健室でしか会わなかった自分が感謝された事が嬉しくて涙が溢れた。
嬉しい自分の照れは隠せずに苦笑いをした・・・本当に飛び立つ姿を味合わせてくれたサラに微笑んだ。
教師という意味を持たせてくれた彼女に感謝した・・・
校庭を歩くサラが振り向き手を振っていた姿に笑み、優しい眼差しで見送る二人の先生・・・
楽しい生活が送れた事に感謝しつつ学校を出たサラ・・・・幸せな気持ちは一瞬で消え去った。
車のドアを開け待ち構えた人を眺める。
瞬時に反対方向へ駆け出した先で笑う人に驚き、走るのを止めたサラだった。
ムッとして戻る彼女は丘崎に苦笑いをして車内へ乗り込んだ。
走り出さない車に丘崎の顔を眺める・・・飛び乗るように入り込んだ人に驚き身構えたサラ・・・滑るように走り出す車。
腕を組んで前を向く・・・着信されて耳を傾けた。
『どこよ(笑)遅いじゃん』
『 ・・・捕まった』
『えー!』
叫んだリル達の声に煩いと顔をしかめ聞き入った。
『抜け出しは?』
『夜に行く(笑)買い込んであるから頼んだ』
不意に携帯を取り彼が呟く。
『明日に変更するなら返す』
直ぐに切った携帯は彼の胸ポケットに滑り込んだ事に驚いた。
『 ・・・皆で遊ぶ予定してたのに』
『夜には終わるのか?』
『 ・・・』
『(笑)食事に付き合え。明日、送ってやる』
『飛び出るよ?』
『したら襲うぞ・・・』
『逃げれるし』
『ララとケイがお前を襲うんだぞ?(笑)』
『 ・・・』
『(笑)だよな、ヤバいだろ』
楽し気に呟く二階堂に声も出なかった。
諦めたサラに笑み、引き寄せた彼が胸に抱きキスをして笑った。
胸に凭れ見上げたが、笑む二階堂に呆れ着くまでと目を閉じたのだった。
個室へ通された・・・
楽し気な会話が始まっていた事に笑いながら二人で入り込んだ。
『少しの我慢はないのか?』
『なーい(笑)』
二階堂の呟きに即座に答えるララだった・・・
揃ってから始めるつもりだったのに、既に2品目に突入していた二人。
旨いと食べるケイが、それでも すまなそうに謝り礼を言って食べ始めた。
本当に楽しみながら、笑みを浮かべたララだった事にサラが笑み見つめた。
『この姿で嬉しいのか(笑)』
『(笑)大人しいから』
『ん?私? ここはね、騒いじゃヤバい場所なんだって。
静かに味わったら(笑)楽しく遊べる場所に連れてってくれる約束したから(笑)我慢出来るよ』
旨いと頬張りケイと話ながら食べる二人に微笑んだ。
ララを南川へ預け、サラと帰っていく姿にムッとして見送るララ。
『何で連れてくのよ!遊べないじゃん!』
『(笑)俺と遊べばいいよ。少し先にあるから2時間遊ぼ(笑)』
ララの手を繋ぎケイは案内するように、一つの建物の中へ入り込んだのだった。
何処に行くのか知らないサラは、前を眺め運転する人を眺めた。
『貴方は食事を持ってきてくれた人だね(笑)』
『(笑)はい』
『何て名前?』
『はい?』『ん?』
何でだと驚いた彼・・・急に何で聞くと訝しげた二階堂の声が漏れた。
『名前(笑)』
『あー寺嶋と言います』
『寺嶋さんが来た時、見えた?』
『っ?』『 ・・・』
息をのむ・・・
『ちょーっと気になった(笑)。怒らないから正直に話してくれる?
褒美をあげるから(笑)』
『 ・・・』
体を前に助手席を掴み、運転していた寺嶋を眺めていたサラだった。
『俺は褒美の方が(笑)気になる』
『あー特別招待券とか?』
『それは初めて聞くぞ?』
彼女の身を引いて顔を覗き何だと伺う二階堂に苦笑いをした。
『んー4階でも遊べる特券・・・別階にも変更出来て』
話の途中で彼女の顔を掴み目を合わせた彼に驚いて黙った。
何だと驚いたサラだった事に苦笑いだ・・・自分が瞬時に彼女に向けた事にも。
『他より高いし、最上階でも その券だけは使えるの(笑)。
パネルに無いけど、空室なら選びは上がってから出来るし・・・
ラブホの豪華版って体験してみたくない?』
『 ・・・』
『あ、聞いてない』
『何か分かりませんが、落とさないようトレイしか見てませんでした』
準備していたように直ぐに言った寺嶋に微笑んだ。
『映画は何だった?』
『確かアクション系かと・・・音が激しかった気もします・・・』
『へぇ(笑)。ナイス回答!』
『ありがとうございます(笑)』
フッと笑うサラに呆れ、彼が抱き込んだ・・・その手に笑む彼女が触れて外の景色を楽しむのだった。
ドライブだと笑む彼女は窓を開けて頭を凭れた・・・風に靡く髪・・・心地好さ気な顔に笑む二階堂もいた。
地下へ滑り込む・・・寺嶋がドアを開け二階堂へ封筒を手渡した。
専用エレベーターに入ると、一礼した寺嶋は乗らずに別れた。
『(笑)悪い。顔は隠したい』
上着を被せ抱き込む二階堂が呟く。
『後で教えてくれる?』
『分かった。声も出すな』
頷く事に笑み顔の場所は中から塞ぐサラに笑み、優しく押し出す二階堂に連れ歩かれるのだった。
『ご用意は済んでおります』
『他は?』
『先ほど外出されました。明日は昼に出られるとお聞きしてます』
『(笑)サンキュ。全て不要』
『かしこまりました・・・』
少しの会話で歩かされ、開かれた場所を進むと後ろは閉ざされたようだった。
フッと抱き上げられて自分が運ばれる可笑しさに笑うサラだった。
肩へ手を置き二階堂を見つめた・・・何処へ運ぶと辺りを眺めるサラに笑みを浮かべた。
間接照明だけで室内は照らされていた・・・窓際に明かりはなく、遥か先に見える街の明かりは不思議と優しい色合いだった事に笑いながら眺めた。
不思議な空間のようで、二階堂の頭に凭れて眺めた。
『聞かないでいいのか?』
『ん(笑)。この景色で満足・・・
あれが何処かは分からないけど(笑)あの明かりの下では優しい事が多くありそうな気がして嬉しい気もする・・・遠目だから優しい明かりに見えるのかな?』
呟く彼女をそっと下ろして一緒に眺めた・・・
『淡いオレンジは橋だから?』
『 ・・・』
『あの下に居ても(笑)目は疲れないよね・・・』
きっとと笑って呟くサラ・・・ずっと眺めたままで声にする彼女に口を引いて笑みを浮かべた。
不意に気づくサラ・・・微かにガラスに写る自分の姿に驚いた。
いつの間にか彼に凭れて話していた・・・丁寧に自分の手は彼を捉え・・・自分から抱きついていた姿が見えた。
『ん?何を見た?』
『自分に・・・驚いただけ・・・』
そっと離れようとしたサラを抱き締めた二階堂もいた。
『嫌われてないと思える(笑)』
『嫌ってたら、もっと逃げてるけど?』
『だな(笑)。次は大学だ・・・何の専攻にしてる?』
『あー特に(笑)。
先生が取り合えずって選んだから、それでって(笑)
これから書類を眺めて準備するんだもん・・・(笑)今度、教えてあげるね。
で・・・何でここに? あっ(笑)卒業祝いの食事だったよね・・・ありがとう(笑)皆で食べれて嬉しかった』
『いーや(笑)』
『聞いていい?』
『何を?』
『また・・・刻むの?』
『 ・・・』
これだと手を見せたサラに笑み返し、それかと笑う二階堂もいた。
『(笑)会えたらな・・・
住む場所を替えるだろ?決まったか?』
『探してくれてる(笑)』
『南川?』
そうだと笑うサラに口を引いて見返す二階堂だった。