徒然草紙

読書が大好きな行政書士の思索の日々

大鴉の啼く冬

2017-07-23 14:45:00 | 読書

 『大鴉の啼く冬』はイギリスの作家アン・クリーブスのミステリー・シリーズ「シェトランド四重奏」の第1作です。シェトランド諸島はイギリスとノルウェーを挟む北海で両国の「橋渡しをしているような場所に位置する島々です。名前だけは知っていましたが、そこがどのような場所であるかは本書を読むまで知りませんでした。

 本書によれば「誰かに知られずにはおならもできない土地」とのこと。それだけ人間関係が濃密な土地であるということなのでしょう。そのような土地でひとりの女子高生が殺害されます。しかも被害者が殺害されたのは、8年前にひとりの少女が行方不明になったのと同じ場所でした。警察は二つの事件に関係があるとして現場近くに住むひとりの老人を逮捕するのですが・・・。

 『大鴉の啼く冬』はいわゆる心理サスペンスではなく、海に浮かぶ孤島という閉ざされた空間で起きた殺人事件を主人公のひとりである警部が試行錯誤を繰り返しながら解決していく正統派ミステリーです。

  犯人は誰なのかという純粋な謎解きの興味とシェトランド諸島の冬の描写と、そこに暮らす人々の物語とが一体となって最後まで面白く読むことができました。

 物語は四人の登場人物の視点から描かれます。そのうちのひとりがジミー・ペレス警部。シェトランド諸島のなかでも「とりわけ僻地であるフェア島」の出身で事件に関係する多くの人々とは子供の頃からの知り合いという人物。こういうところにも閉ざされた空間である海の孤島といった設定が感じられます。彼は捜査にあたっては堅実で思い込みだけで動くことはしません。離婚歴があり、子供はいません。幼い頃にいじめにあった経験がありますが、そのことが彼の人間性に影を落としているということはないみたいです。精神的にバランスの取れた登場人物だと思いました。「シェトランド四重奏」シリーズのなかで今後、彼がどのような役割を果たすこととなるのかまだわかりませんが、読んでいて親しみが持てました。クルト・ウ゛ァランダーとは違った魅力を持つ登場人物です。

読んでみようと思うミステリーのシリーズがまたひとつ増えてしまいました。

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