徒然草紙

読書が大好きな行政書士の思索の日々

白夜に惑う夏

2017-08-10 16:31:47 | 読書
 イギリスのミステリー作家、アン・クリーブスの「シェトランド四重奏」シリーズの2作目になります。前作の『大鴉の啼く冬』の舞台が風雪の吹きすさぶ陰鬱な季節だったのに対して、本作は観光客で賑わう夏のシェトランド諸島が舞台となります。真夜中の太陽が地表を照らす白夜の季節です。夜中でも夕暮れ時の暗さにしかならない土地では、「誰もがすこし頭がおかしくなる。」と作者は主人公のジミー・ペレス警部に思わせています。冬の陰鬱な暗さに比べて夏は明るすぎるからだと。他にも、夜になっても暗くならないせいで、体の調子がおかしくなる、といったことを言う人物も登場します。私は白夜というものを経験したことがありませんが、実際はどうなのでしょうか。
 
 さて、そんな季節のシェトランド諸島を訪れていたひとりの男が道化師の仮面を付けた首つり死体となって発見されます。死因は他殺でした。ペレス警部は前作でもタッグを組んだイギリス本土のロイ・テイラー警部とともに捜査に取り掛かりますが、そのさなかに2件目の殺人事件が発生します。さらに、2件目の殺人事件が発生した同じ場所で人骨が発見されたのです。はたして、2件の殺人事件は同一犯人によるものなのか。発見された人骨との間に関連はあるのか。真相を探り続けるペレス警部が突き止めたものとは?
 
 今回の事件もカギは、シェトランド諸島という閉ざされた空間に住む人々の人間関係にあります。あまりにも濃密で隠し所がないがゆえに、かえって誰もが秘密を持つ。そのなかには犯罪に関係するようなことも含まれているかもしれないが、あえて立ち入ることはしない。シェトランド諸島に住む人々はこのような不文律を守って暮らしている。それが、何かの拍子に崩れた場合に何が起きるのか、というのが本作のポイントなのでしょう。実際のシェトランド諸島で、このような人間関係があるのかどうかはわかりませんが、ストーリーの展開にはすごく説得力があります。犯人がわかった時にはとても切なくなりました。
 
 シリーズ2作目になりますと、主な登場人物たちの性格もよく見えてきて、謎解きとは別に彼らの今後が気になってきます。次の作品が楽しみです。
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