ウェールズ野鳥便り

ウェールズの野鳥たちを紹介するブログです

アカゲラ

2011-05-26 10:38:22 | 日記
 今回紹介する鳥は、キツツキの仲間のアカゲラです。白と黒のまだら模様にお尻の赤い部分が特徴です。写真のように、後頭部に赤い色が入っているのは雄で、この部分が黒いと雌になります。私は雄の後頭部の赤い模様がどうしてもリボンをしているように見えてしまうのですが、皆さんはいかがでしょうか?

 このアカゲラは英国だけではなく、ヨーロッパにも広く分布し、日本にも同じ種類がいます。日本と英国のアカゲラは、ほぼ同じ色をいていますし、好む生息環境も同じなので、ウェールズの森の中でアカゲラを観察していても、ふと日本でアカゲラを見ているような錯覚を感じることもしばしばです。

 ウェールズ・アファンの人たちに、私がアカゲラの絵が完成したときに見てもらったことがあります。その際にアカゲラはウェールズ・アファンでは最近増え始めてきた鳥なんだよと教わりました。

 以前、ムナジロカワガラスのときにも触れましたが、ウェールズ・アファンは炭坑採掘時に谷の中の森がほぼなくなり、文字通りの禿げ山になりました。その後、炭坑が閉鎖されてから植林運動が始まり、少しずつ木を拠り所にする鳥たちが戻ってきました。しかし、アカゲラのように木に穴を掘って巣を作る鳥が現れたのは木の幹が太くなった約30年前で、数が増えて今のように安定してみられるようになったのは成熟した木々が増え始めたほんの約20年前のことだそうです。

私は今年で38歳になりましたが、私の生きている時間の中で、人の努力によって生き物が戻ってきたという事例を知ると、私自身が生きている間に鳥たちにできることは何だろうと考えてしまいます。できることは少ないかもしれませんが、一羽でも鳥が棲みやすくなるようなライフスタイルを目指したいと思います。
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ノスリ

2011-05-19 11:11:59 | 日記
 先日、今までの連載の原稿を読み直していて、まだ一度も猛禽類を紹介していないことに気がつきました。もちろんウェールズ・アファン森林公園で毎日長距離を歩いていて、タカの仲間を見ることもよくありますが、その中でも今回は一番見つけやすいノスリというタカを紹介します。

 大きさは以前紹介したハシボソガラスと同じくらいで、図鑑では全長が46-58cmと書いてあります。1羽ごとに色彩が異なっていて、毎日10km以上山の中を歩いていると、以前に見たことのあるノスリかどうかがわかることもしばしばです。全身がほぼ真っ黒なもの、胸に白っぽい帯状の模様があるもの、ちょっと赤茶色の背中をしたものなどがその例で、今、私が確実に見分けられているのは、7個体です。
 
 日本にも同じ種類のノスリがいますが、日本のノスリは英国のノスリに比べると色彩に個体差の変異が少なくて、個体差をはっきりと認識できることはあまりありませんので、ウェールズで毎日猛禽類の個体識別を楽しんでいます。
 
 今回写真で紹介しているのは、私が観察しているノスリの中で一番体が大きい個体なので、私の短いレンズでも比較的大きく撮影ができます。英国の普通のノスリの翼開長(※注)は130cm前後ですが、おそらくこのノスリは150cmくらいあると思われます。最初にこのノスリを見たときは、ウェールズでは本来生息していないイヌワシという大型の猛禽類かもしれないと、胸がドキドキしたくらいです。

 このノスリの縄張りは広大なウェールズ・アファン森林公園の南端にあり、会いに行くには約1時間半歩く必要があります。お気に入りの止まり木があって、そこでじっと獲物を待っている姿を見ることができます。

 私が宿泊しているすぐ裏の森にもノスリが棲んでいますし、別の場所のノスリに会えるのも十分楽しいのですが、この一番大きなノスリにどうしても会いたくなるときがあります。

 縄張りに到着してしばらくすると、ふわりと風に乗って現れることの多いこのノスリは、私のウェールズ滞在をそっと見守ってくれている、そんな一羽です。

※注:翼を最大に広げたときの、右の翼先端から左の翼先端まで)


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キクイタダキ

2011-05-12 15:18:54 | 日記
 以前、ミソサザイという鳥が全長9〜10.5cmと本当に小さい鳥であることをお話しいたしましたが、図鑑の記載でそれよりも小さい鳥がいます。それが今回ご紹介するキクイタダキです。

 この鳥はなんと8.5cm。もちろん、すべての鳥がぴったり8.5cmではないですが、定規で改めて8.5cmを計ると、手のひらにちょこんと乗ってしまう大きさです。針葉樹の森を好み、細い枝先で停空飛翔などをしながら飛び回って、小さな虫を捕らえて食べています。動きが速いので、なかなか写真には撮れない鳥の一つです。掲載した写真も偶然に撮れた一枚です(笑)。

 漢字で書くと「菊戴」。頭のてっぺんの黄色い羽根が菊の花びらを連想させたのでしょう。英名ではGoldcrest(ゴールドクレスト。金色の冠)。両方の国で、頭の黄色が名前の由来です。雄の冠には少しオレンジ色があるのですが、これはなかなか見られません。

 ウェールズの古本屋さんで買った英国の子供向け野鳥図鑑によれば、この鳥も冬の寒さには弱いらしく、英国内に生息しているキクイタダキのうち、およそ3分の一は死んでしまうと書いてありましたが、今年2月にウェールズ・アファンにやってきたときに、秋に観察したキクイタダキの数とはさほど変わらない印象でした。ミソサザイは地上付近で餌を探すのでまともに雪の影響を受けたのでしょうが、キクイタダキは針葉樹の枝に雪が積もっても枝の下側から餌を見つけ出すことができますし、森の多いアファン森林公園では餌にあまり困らなかったのでしょう。

 キクイタダキは日本にもいますが、比較的標高の高い山を好みます。2010年、私は山梨県牛首山で、雄のキクイタダキに会いました。そのときはちょうど求愛行動中で、なかなか見られないオレンジ色の冠羽がばっちり見られました。
 今、ウェールズのキクイタダキは求愛行動真っ盛り。時々そのオレンジ色を見られることで、日本の牛首山とウェールズの森がつながります。

 鳥の観察の続けていられる理由の一つに、個々の“点”だった思い出がつながって“線”になるおもしろさがあります。私の場合、線の思い出を今度は組み上げて“絵を描く”という難しさがやってきます。でも、それさえも楽しもうという気持ちにさせてくれる、そんなウェールズでの滞在です。
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ハクセキレイ

2011-05-09 20:31:42 | 日記
 私の宿舎から100mほどのところに、アファン森林公園に隣接した農場を所有しているタルゥおじさんの家があります。彼の家が私の一番近いお隣さんになります。彼の農場にもたくさんの鳥がいるので、時々農場にお邪魔しております。見慣れぬ日本人が何度も自分の大切な農場のわきを通るのも気持ち悪いだろうと思って、こちらから挨拶に伺ったのですが、それがとてもうれしかったようで、以来本当に親切にしてくださいます。

 こちらに来て間もない肌寒い11月、そんな彼の家の屋根には、体が白黒の模様で尾の長いハクセキレイという鳥がよく止まっていたので、それを観察しにおじさんの家の近くによく出かけていました。見に行ったときにちょうどおじさんが玄関から出てきたので、鳥の観察のために家に向かって双眼鏡やカメラのレンズを向けてしまうことを謝りましたが、

「そんなの気にしなくて良いのに。でも、君みたいな人がいるとこちらも気持ちいいね」

と、笑っていました。
そして、

「家の屋根になぜ来るか知っているかい? あのね、うちの家の屋根は黒いから太陽が出ているときは牧場の草の上よりも温かくて、虫も集まってくるからそれを狙っているんだよ」

と、袖をまだ通していなかったつなぎの作業着を整えながら話してくれました。なるほど、と思いました。

 4月になって気温も上がり、タルゥおじさんの家の屋根でなくても虫たちがたくさんいるようになって、ハクセキレイは牧草地で餌を採る姿を見ることが多くなりました。先日おじさんに偶然別の場所で会ったときには、どうやら納屋で巣を作ったようだと話していました。

 優しい人のところには、やはり鳥も季節を問わず居たいようです。
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ハシボソガラス

2011-04-28 10:54:46 | 日記


 私の宿舎のすぐ裏はキャンプサイトになっています。冬期は閉鎖していましたが4月からオープンしていて、週末になるとたくさんの人が訪れます。月曜日の朝にはキャンパーたちの残り物があるらしく、誰もいなくなった草地の上にはいろいろな鳥たちがやってきますが、今日はそのなかのハシボソガラスを紹介します。

 この鳥は日本にも同じ種類がいます。日本と英国にいるもので種類が同じでも色が多少違うという点を何度かお話ししてきましたが、今回紹介するハシボソガラスは、色も大きさも一緒です。声もほぼ同じ、鳴くときに頭を上下させる行動も同じです。畑や牧場など開けた場所を好み、のんびりとした性格の鳥です。ハシボソガラスは目が優しく、女性的な感じがします。カラスというと街中の厄介者としてよく日本では話題になりますが、それはハシブトガラスという別の種類であることが多いです。

 ちなみにハシブトガラスは英国には生息していないため、こちらのバードウォッチャーにハシブトガラスは東京に行けばたくさん見られるよというと、うやましそうな顔をしますね。

 月曜日の早朝、ゆっくりとキャンプサイトの芝生の上を歩きながら食べ物を探しているハシボソガラスの姿を見かけます。こちらでの滞在も2ヶ月をすぎて、このハシボソガラスも私に慣れたようで、当初は飛び立って逃げてしまっていたのが、今はずっと餌を探し続けるようになりました。

 このキャンプサイトにやってくるハシボソガラスは2羽だけです。というのは、この2羽は私の宿舎の横にあるカラマツの木に営巣をしている夫婦がここをしっかり縄張りとして守っているのがわかったからです。

 先ほど、性格はのんびりとしていると言ったばかりなのですが、春になって巣に卵を産んだせいか、夫婦も外敵に対して果敢に向かっていくようになりました。キャンプサイトに時々ワタリガラスがやってくるのですが、体が二周りほど大きいワタリガラスにも攻撃をしますし、猛禽類が空を飛ぶとしきりに鳴いて警戒をします。不思議なのは猛禽類よりもワタリガラスへの攻撃のほうが激しいことです。これの理由が私はまだわからないので、もうしばらく観察を続けてみたいと思っています。

 いづれにしても、守るべきものができると強くなるのですね。
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