ウェールズ野鳥便り

ウェールズの野鳥たちを紹介するブログです

カササギ

2011-07-07 16:21:52 | 日記
 
  

 英国全体では普通の鳥でも、ウェールズ・アファン森林公園では少ない種類がいくつかいます。今回ご紹介するカササギはその一つで、森林公園の面積48平方マイルのなかに、2つがいが生息しているのみです。ロンドンの街の中でも数多く生息していることを思えば、ウェールズ・アファン森林公園の広大な敷地に、たったの2つがいという数字は非常に少ない印象です。カササギは平らな草地を好む習性があるのですが、森林地帯で斜面の多いウェールズ・アファンは、本来カササギに適した生息環境ではないため、多くは生息しないのでしょう。餌探しも大変なようで、行動範囲もとても広くなっています。

 カササギはカラスの仲間で、全長が約45cm。尾が長くて、写真のように白黒模様が特徴です。カチャカチャと大きな声で鳴くため、声がすれば見つけることは難しくありません。日本には主に九州北部に生息していますが、これは江戸時代に朝鮮半島から持ち込まれたものの子孫のようです。近年、北海道や四国などでも繁殖が確認されています。

 以前、動物画の勉強をするために英国東北部のサンダーランドという港町の大学に留学していたころには、カササギが多く生息していて、キャンパス内の木に巣を作っていました。ある年の春、そのカササギの巣の近くに猛禽類のハイタカも巣を作り始めたことがありました。カササギの夫婦は、ハイタカの巣が自分たちの巣の近くにあるのが嫌なようで、執拗にハイタカに威嚇や攻撃を繰り返し、最終的にはハイタカの巣を壊してしまいました。

 「鳥のように自由に生きたい」という人が時々いますが、鳥の世界は、そんなに自由でもなく、いろいろ大変だなと思った出来事でした。
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カワアイサ

2011-06-28 11:12:49 | 日記
 ウェールズ・アファンは、英国内では珍しく深い谷があります。そのため、水鳥の記録は少なく、水辺ではだいたいムナジロカワガラスが主役ですが、カモの仲間のカワアイサも姿を見せます。カワアイサは全長58-68cm、翼開長は78−94cmにもなる大型のカモで、潜水をして巧みに水中を泳いで魚を捕らえて食べています。日本にも全く同じ種類がいます。ウェールズ地方全体ではあまり見かけない鳥らしいのですが、ここアファンでは、年中姿が見られ、数つがいが繁殖しているそうです。

アファンの谷を流れる川は、昔は炭坑があったことで非常に汚れた川でしたが、現在は清らかな流れがよみがえって魚も戻ってきたことで、カワアイサも生息できるようになったというわけです。

 しかし、アファンの谷がカワアイサの生息に適している理由は、単に川に魚がいるということだけではなく、急峻な谷に沿って森が続いているということが大きな理由のようです。

 カワアイサは森の中の大きな石や倒木の下の隙間、樹洞などに巣を作り、卵から孵った雛はすぐに巣を出て親鳥とともにすぐに川へ向かいます。急斜面によってキツネなどの天敵が近づきにくく、川と森が近いことで巣立った雛を安全な川へ早く到着させることができるという条件に、アファンの谷が非常に適しているらしいのです。水辺の鳥を観察していると、ついつい水環境ばかりが気になってしまいますが、彼らの一年の生態に目を向けると、森と川の関係という広い視点で環境を見つめることができるようになります。

 鳥たちの生活を通して自然を見ると、鳥が鳥だけで生きているわけではないことがわかり、とても楽しい私です。
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アカトビ

2011-06-17 17:28:18 | 日記

 

 2010年秋からウェールズに滞在していますが、その年はほとんど見られず、2011年になってから頻繁に見られるように鳥がいます。アカトビという鳥です。ワシやタカなどと同じ猛禽類ですが、トビの仲間は死んだ動物やゴミなどをあさるスカベンジャーなので、日本ではトビの仲間はあまり人気のない鳥です。しかし、イギリスではこのアカトビは一度絶滅しかかった鳥だからでしょうか、とても人気があり、アカトビを見た日にその報告を森林公園のレンジャーたちにすると、とてもうれしそうな顔をします。

 アカトビの復活プロジェクトは、まず英国内の野鳥保護団体がケージの中で人工繁殖をさせて数を増やし、英国内に数カ所の野生化リハビリステーションを開設。放鳥前には、森林局や地方自治体、国立公園、教育委員会などが連携し合って地域住民へのアカトビ復活準備説明会やワークショップを進めました。

 この結果、放鳥されたアカトビは地域の人たちにも大切に見守られ、今では英国内全域で徐々に増えている状況です。英国内では、ほかにもオジロワシやミサゴ、ハイイロチュウヒなどの猛禽類復活プロジェクトが行われていますが、アカトビ再導入が一番成功しているため、言わば「猛禽類保護のシンボル的存在」となっているようです。

 ウェールズ・アファンでは、ビジターセンターから遠い所ですが巣の場所が1つわかっています。しかし、今年は以前よりも観察例が増えていることから、レンジャーたちはもう1つがい新しく入ってきた可能性もあると言っています。できれば一緒に巣探しをしたいのですが、滞在目的の作画作業を続けなければならないことと帰国が迫っていることで、それには時間を割けないのが本当に残念です。

 次回、ウェールズ・アファンに来られるときは、ぜひ定点観測をする時間を確保して、新しいつがいの確認の手伝いができたらと思っています。
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ホシムクドリ

2011-06-09 14:59:50 | 日記
 
 今回ご紹介するホシムクドリは、その名前の通り、黒っぽい全身に細かい白い点がたくさんちりばめられていて、夜空に一面の星を見るかのような模様の鳥です。遠目には黒っぽく見える地味な鳥ですが、双眼鏡で観察すると嘴が黄色と全身の黒い羽が実は光の加減によって緑色や紫の金属光沢があって、本当にきれいです。英国では非常に多い鳥でロンドンでもごく普通に見られますが、日本では冬に時折見られる程度の珍しい鳥です。

 さて、先ほどホシムクドリは英国では多い鳥と書いたばかりですが、実はこの鳥はウェールズ・アファンでは数が少ないのです。人工的な開けたところを好むホシムクドリですから、森林面積が広く、民家が少ないことが理由と考えられます。なので、街へ週一回買い出しに出たときにスーパーの駐車場などでホシムクドリを見つけるとドキドキしてしまい、ついつい立ち止まって見とれてしまいます。野鳥を楽しむことが定着している英国ですが、さすがに、「スーパーの駐車場で普通種のホシムクドリをじっとニコニコと見ている日本人」は、やはりウェールズの人には奇妙に見えるのでしょうか、買い出しに車を出してくれているレンジャー(森林管理員)さんにもちょっと距離を置かれてしまいます。でも、仕方ないですよね、見たいものは見たいですから(笑)。

 アファンではあまり見ないホシムクドリですが、4月に30〜50羽の群れがいくつも見られた日がほんの数日だけありました。レンジャーさんに聞くと、英国内で冬に見られるホシムクドリの中には、スカンジナビア半島からやってきているものがいて、おそらく私の見たものは繁殖地に戻る群れを見つけたのだろうとのことでした。

 短期間だけ観光で来ただけでは気がつくことができなかったかもしれないホシムクドリのウェールズ・アファンでの生態。長期に滞在しているメリットを感じました。いろいろたいへんなこともありますが、こういう発見をしたときに「ああ、やはり来てよかったな」と思います。
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ヒガラ

2011-06-02 10:19:05 | 日記



 今回紹介するヒガラは、以前紹介したアオガラに非常に近い大きさで行動もよく似ている鳥です。しかし、アオガラが広葉樹の木々で餌を採ることが多いのに対し、ヒガラは針葉樹の木々で餌を探していることが多いので、逆光や鳥との距離が遠くて姿がよく見えない状態であっても樹種を見ることでヒガラなのか、それともアオガラなのかを、おおよそ検討をすることができます。もちろん、予測と違って外れてしまうこともありますが…。



 日本にも同じ種類のヒガラが生息していますが、比較的山地に生息していることなどから、日本人にはあまり馴染みがない鳥かもしれません。しかし、英国ではごく普通にどこにでもいる鳥で、庭に設置した野鳥の餌台にも頻繁にやってくる人気のある鳥の一つです。ウェールズ・アファンのビジターセンターの餌台にも冬の間はたくさんの個体がひっきりなしにやってきていました。

 アオガラ同様、体の小さいヒガラは、ほかの鳥が餌台に来ているときは順番待ちをしなければなりません。しかし、アオガラに比べると行動が「やんちゃ坊主」な感じで、軽々と餌台の周りを飛び回っては、ちょっとした隙にも餌を食べにやってきていることが多かったのは、じっと待っているアオガラと違って興味深いものでした。



 しかし、それがいつもうまくいくとは限らず、体が大きくて餌台の独占欲が強いゴジュウカラがいると知らずに餌台に乗っかるとゴジュウカラに追い払われるシーンを何度も見ました。掲載した写真は、それを偶然にとらえたものです。

 春になると徐々にヒガラが餌台にやってくる機会や時間も減ってきて、初夏になるとほとんど見られなくなりました。近くを散策すると、石垣の小さな穴を巣にしているヒガラの夫婦を見つけました。耳を澄ますと、チイチイと雛の声がしました。立派に子育てをしている様子です。彼らを今、やんちゃ坊主なんて呼んだら、怒られてしまいますね。
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