ニューヨークで広告代理店を経営するハワード。彼の手腕で会社は業績を伸ばし、公私ともに順風満帆な人生を送っていた。ところが突然、6歳の愛娘が不治の病でこの世を去る。ハワードは深い悲しみで自暴自棄となり、仕事を放り出して自宅に閉じこもる日々。ハワードに頼り切りだった会社は急速に傾き始める。残された同僚役員ホイット、サイモン、クレアはそれぞれの事情も相まって、ハワードをどうにかして救わなければと思っていた。そんな時、ある奇策を思いつく。やがてハワードの前に、性別も年齢もバラバラな3人の奇妙な舞台俳優が現われるのだったが…。
映画館 ★★★★
主演のウィル・スミスを筆頭に、エドワード・ノートン、女優陣もケイト・ウィンスレット、キーラ・ナイトレイ、ナオミ・ハリス、ヘレン・ミレンと、二作品撮れそうな作品です。それも97分という比較的短い尺で。すごく贅沢な感じです。
バリバリやり手の広告代理店経営者が愛娘を病気で亡くした後に「抜け殻」になってしまい、その再生がテーマなので少々重いのですが、いわゆるハートウォーミングな映画でした。
主人公は「愛」「時間」「死」についてすごくこだわりを持っていて、会社がイケイケの時もその3つのことについて社員に訓辞していました。そのことで、友人でも有る3人の重役たちがヘレン・ミレンやキーラ・ナイトレイなどの舞台俳優たち3人にそれぞれ「愛」「時間」「死」を司る精霊(?)となって主人公の前に現れ助言をする。。。私はこの時点で「クリスマスキャロル」を思い出しましたが(笑)もっともあれは「過去現在未来」の精霊でしたが。
主人公を復活させようとする3人の友人&重役たちも、3人の精霊役たちと打ち合わせなどで触れ合ううちに、それぞれの抱えている問題が露呈し、主人公よりも彼ら自身が心の救済を受けていきます。そういう意味では3人の舞台俳優たちは本当に精霊だったのかもしれません(笑)ラストシーンで主人公を橋の上から3人が見守るシーンが有りますが、あれはそれこそ主人公の幻想だと思います。
原題の「COLLATERAL BEAUTY」はセリフの中に出てきます。「ちょっとしたおまけ」「ちょっとしたいいこと」みたいな訳し方でした。邦題の「素晴らしきかな、人生」は往年の名作「素晴らしき哉、人生」のまんまパクリなので、ちょっといただけません。それこそ「愛、時間・・・そして死」でいいと思いました。