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2015-03-23 11:38:38 | 日記
はすれども、姿は見えず」だった。
 
 ふと足元を見ると、テングチョウが日光浴をしていた。これも1週間ほど前から姿を見かけるのだが、なかなか動きがチョコマカとしていて、撮影のチャンスがなかった。(写真1)
(写真1)
 頭の先から「天狗の鼻」のような口吻が飛び出しているからテングチョウである。見ていると、何とすぐ傍にある馬酔木(アセビ)の樹に咲いた花から吸蜜している。馬酔木は、南側にあるサンサーラ脇の雑木林のものは、陽当たりがよく先週咲いたが、ここはやや遅れて咲いた。
 見ていると、2匹(頭)のテングチョウが、馬酔木の花にやってきて、そのうち空中戦を始めたので、吸蜜だけでなく求愛もしているのだろう。テングチョウが馬酔木の花で吸蜜するとは知らなかった。(写真2)
(写真2)
 テングチョウを追いかけたり、庭の雑草の花を撮影したり、家内がテーブル岩の上に敷いた新聞紙に並べられている、見事なシイタケの撮影をしているうちに時間がたった。

 母屋に戻り、新聞を読みながら少し早めの食事をした。マックス・ウェーバーの伝記を読むと、若い頃自炊をしたことがあり、夕食に「牛肉450グラムと卵4個を食った」とあった。それに比べると私の食事は「卵2個と牛肉200グラム」がメインで、大したことないな、と思う。
 食後、今日は晴れていて陽光がさんさんと注いでいるので、ベランダに出て日光浴をしながら「中央公論」4月号の「ピケティの罠」という特集記事を読もうと思い立った。

 庭を見下ろしてみると、先日までつぼみだった梅が花を咲かせ始めていて、まだ冬枯れた木々のなかで、唯一白色が目立っている。近づいてみると、梅の花から吸蜜するハナアブの一種が忙しく動いていた。(写真3)
(写真3)
  ベランダの八角テーブルに就いて、ピケティの論文を読みながら、ふと庭の梅の樹に目をやると鳥がとまっている。(写真4)
 ベランダの柵の隙間から、気づかれないようにこっそり写真を撮影した。
(写真4)
 せわしない鳥で、しょっちゅう飛び立っては梅の小枝をつついている。まるで花びらでもつまんでいるように花枝が揺れる。恐らく花に来た虫をついばんでいるのであろう。

 咲いた梅の枝にとまる鳥というと、てっきりウグイスだと思いこんだ。
 「鳴き声をあげないかな…」と思ったが、ついに鳴かずに馬酔木の近くにある、つぼみだけの木の枝に飛んで移動した。ここはまだ虫がいないので、つぼみを喰っているのだろうかと思った。それではウグイスとしてはおかしい。

 この鳥は木の枝にとまる際に、足を縮めて枝にうずくまるような止まり方をする。だから目立ちにくい。シルエットでしか撮影できなかったが、写真5のようになる。
(写真5)

 天候がよかったせいもあり、今日は短時間に100枚近くの写真を撮影した。24枚撮り35ミリフィルムに換算すると、4本も撮影したことになる。昔なら、フィルム代に現像・プリント代で軽く1万円を突破するところだが、今はそれがほとんどタダでできる。便利な世の中になったものだ。

 「ピケティ特集」を読み終え、仕事場に戻って「野鳥図鑑」をめくったら、ウグイスではなく、腹にある特徴的な斑紋からみて、ヒヨドリのようだ。
 ヒヨドリは虫でも木の実でも野菜でも食べる雑食性の鳥で、いつもは灰色の背中しか見ていないので、こんなくちばしや羽根の模様をしているとは知らなかった。沢山撮影した写真の中に、梅の太い枝に留まったものがあった。(写真6)
 要は「梅にウグイス」という先入観があるから、たまたま梅の木の枝にやってきた小さめのヒヨドリを遠見して、「ウグイス?」と思っただけのことだった。双眼鏡がなかったので、もし望遠撮影していなかったら、ウグイスだと思いこんでしまうところだった…。
(写真6)
 まるで眼の下から頬にかけて、褐色の耳がぶら下がっているように見える。

 図鑑には学名と英語名が載っているので、それを見たら、
 ウグイス=〔ラ〕Cettia diphone、〔英〕Bush Warbler
 ヒヨドリ=〔ラ〕Hypsipetes amaurotis、Brown-eared Bulbul
とあった。

 ウグイスの英名「ブッシュ・ウォブラー」のWarblerの方はSongsterともいい、「鳴く鳥の総称」だと「永野・生物学用語辞典」にはある。
 属名のCettiaは、語義が「岩波生物学辞典」や「平嶋・生物学名命名法辞典」を見てもよくわからない(載っていない)。(ご存知の方に、ご教示いただきたいものだ。)
 Cetusならギリシア語のKetos(クジラ)に由来し、「鯨類」を意味する。
 種名のdiphoneはdi-(二つの)、と鳴き声(phone)を組み合わせたもので、「ホー」という長音と「ケキョ」という短音の特徴から来たものであろう。

 ヒヨドリは上記「用語辞典」にも、「命名法辞典」にも項目がない。
 英語名のブルブルは「英和辞典」によると、ペルシア語由来で、「夜鳴きウグイス(ナイチンゲール)」の一種だという。Brown-earedというのは、鳥に耳があるわけがなく、頬が茶褐色をしているのを「耳」に見立てたものだろう。
 ラテン語の属名は意味がよく分からない。ギリシア神話に「ヒプシペ」という王女が出てくる話があるが、あるいはそれと関係があるかもしれない。
 種名のamaurotisは「黒内症amaurosis」と語根が一緒で、ギリシア語のamauros(暗い)に由来していると思われる。但し、夜行性を意味するのか、色が灰黒色であることに由来するのかはわからない。

 梶島孝雄『資料・日本動物史』は優れた本で、ヒヨドリの日本固有種は一種だったが、室町時代に中国産のシマヒヨドリが輸入され、江戸中期にジャワ産のコシジロヒヨドリとヒヨドリ科シロガシラが輸入されたと記している。掲載されている図版で見るかぎり、今日、撮影したのは日本固有のヒヨドリのようである。
 この本に「学名の起こり」まできちんと説明が載っていたらなあ、と思う。

6.【カラスどう鳴く?】
 2/18(水)の夕方、木漏れ日を浴びて宝石のように光る、葉に置く玉露を観察していたら、頭上から突如としてけたたましいカラスの鳴き声がした。小川の向にヒノキの高木があり、その頂上から鳴き声がする。それが「カアカア」でなく、K音がなく「アア、アア」と聞こえる。

 「こんな妙な鳴き声を出すカラスも珍しいな…」と思ってそのまま聞いていると30メートル離れた前庭の木立にある、やはりこれもヒノキの梢から、それに応答するカラスの鳴き声がする。と思うと、さらに山側からもう一羽、別のカラスが同じように鳴き始めた。
 一羽が鳴いている時は他の二羽は鳴きやんでいるので、どうも「交信」しているように思われる。
 面白いから動画で音声も入れて記録しようと、望遠撮影のためにカメラを取り出したら、相手は360度視野があり、敏感な動物だから気配を察して、バタバタと飛び去った。

 確か『さえずり言語起原論』という本を持っていたはずだが、と「蔵書目録」をチェックしたら果たしてあったが、書棚の位置が記入してなかった。ありそうなところを大探ししても見つからない。はて?と何気なく、机脇のサイドワゴンを動かしたら、その奥の本棚にあった。
 岡ノ谷一夫『さえずり言語起原論:新版・小鳥の歌からヒトの言語へ』(岩波科学ライブラリー、2010)という本だった。

 夜は久しぶりに外食に出かけたので、ショルダーバッグにこの本を入れて行った。いつものCocosだが、7時半なのに客がまばらだった。私の食べ物は「ハンバーグステーキ・トリオ」と決まっている。赤ワインを注文しようと見たら、円安なのにカリフォルニア産で、カベルネ・ソービニョン種を用いた赤ワイン「グレイ・フォックス2013年」の750mlボトルが、たった1000円でチリ産よりも安い。帰りは家内が運転するから、彼女は飲めない。
 で、一人でボトル1/3以上を空けてしまった。味はけっこうよい。10年前は、チリ産が安くてカリフォルニア産が高かったのに、どうしてこうなったのかよく分からない。

 食事しながら持っていった本を10ページほど読んだ。序章の部分だが、全体の要点がここに書いてあった。
 鳥の鳴き声には2種類あり、短く固有の鳴き方をするものが「地鳴き」で、これに対してメロディーのように長く歌のような鳴き方を「さえずり」というそうだ。この人は慶応の文学部心理学の卒業だから、解剖生理学には弱く、鳥の「鳴管」(哺乳類の声帯にあたる)が、「左右の気管支にある」と書いてある。それなら2個あることになる。気管の下部、気管分岐部の直上にあると書けばよいものを。
 ヒトでも声帯は一対ある。ただ気管壁の喉頭部の左右にあるだけだ。一対で一個になっている。

 地鳴きというのはニワトリでいうと「コッコ、コッコ」という鳴き方。「さえずり」というのは「コケコッコー、コケコッコー」という鳴き方をいうらしい。
 それで鳴き方はいずれも、基本形が脳の構造上あらかじめ種特異的に決まっている。ことに地鳴きはそうで、これは遺伝的に規定されているので、練習が不要だそうだ。これはヒトの言語についての「ソシュール=チョムスキー理論」を踏まえて書いているな、と思い先を読むと果たしてそうだった。だが、鳥の脳を操作する実験で証明されたという。

 鳥が「さえずり」を学習するには男性ホルモン「アンドロゲン」の内分泌が必要なのだそうだ。ヒトの場合、これが分泌されるようになると声変わりが起こり、第二次性徴が現れる。鳥の脳も哺乳類と同じように、右脳と左脳に機能が分かれており、左脳はさえずりの意味を理解するのに欠かせないという。右脳は地鳴きを理解する際に働く。
 読んだばかりのことを、ワインを飲みながら家内に話すと、彼女が面白いことを言った。

 毎朝、サンサーラの脇の樹にカラスの一群れが集まって、うるさく鳴きあった後に、てんでバラバラな方向に飛んで行くが、あれはきっとその日の相談をしているのではないか…
 そろそろウグイスが鳴き始める季節だけど、最初の鳴き声は「チ、チ、チ」でとてもウグイスとは思えない。あれがきっと地鳴きで、やがて「さえずり」を練習して、「ケキョ、ケキョ」から「ホー、ホケキョ」に進んで行く…、というような話だった。
 孤立した観察(オブザベーション)があって、ある仮説的な理論が出ると、それらがまとまった「体系的知識」として組織化されていくのが面白い。
 がぜん興味が湧いた。

 種特異的な「地鳴き」には緊急シグナル的な意味があり、「さえずり」には求愛とかコミュニケーションとしての意味があるという。それならこれは「原始的な言語」ではないか、こういう脳の仕組みから、ヒトの言語のように、左右の大脳半球が機能的に分化して、複雑な言語システムが発達したのではないか、という理論である。

 「さえずり」がヒトの言語と相同で、学習という後天性因子により発達するとすれば、鳥のさえずりにも「方言」があっておかしくない。関東と関西で、「箸」と「橋」、「雲」と「蜘蛛」を発音する際に、アクセント(日本語は強弱アクセントでなく高低アクセント)が置かれる位置は異なっている。だったら関東のカラスが「カアカア」と鳴き、関西のカラスが「アア、アア」と鳴いてもおかしくない。もっともカラスの姿をしっかり見ていないので、種名が確定しないが、ごみ捨て場によく来ている大きなハシブトガラスではないかと思った。

 ネアンデルタール人は儀式だけでなく、歌を歌っていたということは、S.ミズンが『歌うネアンデルタール』(早川書房、2006/6)に書いている。ヒトの言語障害とからむ遺伝子として第7染色体の長腕3.1領域にあるFOX-P2遺伝子の異常が知られているが、ネアンデルタールでこの遺伝子がどうなっているのかは、書いてない。
 小鳥の歌が人間の歌や言語と相同であれば、FOX-P2相同の遺伝子が染色体上に見つかるはずだと思う。これは文学部系の心理学者には無理で、生物学生理学系の研究者の協力を必要とするだろう。これは岡ノ谷による本の、残りの章に書いてあるかないか…。

 適当に酔っぱらって勘定をすませ、途中まで帰ったところで、まだ2/3ほど残ったワインのボトルを忘れてきたことに気づき、Uターンしてもらった。客が少なくて、テーブルはまだ片づけられておらず、ボトルはそのままだった。明日の晩は、二人で残りを空けることにしよう。
 ところで、皆さんのお住まいの近くでは、カラスはどう鳴きますか?

7.【修復腎移植NOW】
 日経の連載小説「禁断のスカルペル」がヤマ場に差しかかっている。小説は人の感情に直接訴えるだけに、書きようによっては論説よりも影響力がある。昔、NHKラジオの連続ドラマ、菊田一夫原作「君の名は」が放送された時は、午後8時からの時間帯は「女湯が空になる」といわれたほど、人気があった。
 3/19のロータリでの卓話の後、ホテルのコーヒーハウスで、数人の方と談話会になったが、日経の小説が非常に興味を持って読まれているのがわかった。事実と小説との違いについて、いろいろ質問を受けた。

 「修復腎」に関する厚労省官僚の考え方も、かなり変化してきたようだ。
 1/14に開催された「第42回、厚生科学審議会・臓器移植委員会」の議事録を読むと、
1) 事務局が、臓器提供件数の全体的減少ことに「心停止」下での臓器提供(主に腎臓)が減少していることの問題提起が初めてなされている。
2) 委員のひとりが徳島大永廣教授から広島大栗栖薫教授(脳神経外科)に交代している、
などが着目される。
 また3/11「日経」は、「レシピエントの優先度選択ミス」について「日本臓器移植ネットワーク」に厚労省が「初の立ち入り調査」を行ったと報じたが、これも従来の両者の蜜月関係からすると信じがたい話である。

 もともと「ネットワーク」は、それ以前に機能していた地域ブロックの自主的ネットワークを、東京女子医大の太田和夫教授を追い落とす形で、やくざのボスのような小紫芳夫と厚生省トップが談合して「一元的中央統制組織」として発足させたものである。
 そのいきさつは木村良一『移植医療を築いた二人の男:その光と影』(産経新聞社、2002/8)に詳しい。

 3/18に実施された「修復腎移植臨床研究」の親族間腎移植第3例目は、東京のある大学病院で妹から兄への腎提供が、小径腎がんの存在のため、「臨床研究」を行っていないその大学病院では不可能と分かり、宇和島徳洲会病院へ紹介されて実施の運びとなったという。
 この病院は、腎移植の実施数では日本一の病院だと思われる。(個人手術例数1000例以上というのは、宇和島の万波誠医師が日本一である。)
 その大学病院が、患者に宇和島での手術を勧めたというのは、もう実質的には「修復腎移植」が承認されたということであろう。

 幸い、これまで日本移植学会を牛耳り、理事長として修復腎移植禁止という旗印を掲げてきた、阪大の高原史朗教授は、この3月末で定年となり民間透析病院に移るそうだ。
 後任の理事長に誰がなるのかわからないが、反対派のもう一人の旗手、『日本の臓器移植:現役腎移植医のジハード』(河出書房新社、2009/5)を書いて「病気腎移植」絶対反対を唱えた東邦大の相川厚教授も、いまや「厚労省・臓器移植委員会」での発言は孤立気味である。

 作家・ジャーナリストの麻野涼(高橋幸春)さんも、修復腎移植のその後の進展を踏まえたNF新作を「東洋経済」社から出版準備中だという。
 この出版社の「週刊東洋経済」3/21号、「医学部・医者:ウラとオモテ」という特集はきわめて面白い。医師志望の受験生必読だと思う。
 
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2015-03-23 11:37:40 | 日記
G-mail、G-Newsの両方に「G-アラート」をかけてあるが、他からは情報が入らなかった。
 複数の執刀医に取材した結果、以下のようなメディアが報道していない事情が明らかとなった。これは遺伝性の多発性嚢胞腎のため腎不全に陥った男性(53)に対して、その妹(45)から腎提供が行われたもので、患者の人工透析歴は約3年。
 3/20(金)、午前のドナー、レシピエントの状態は安定しており順調な回復過程にあるという。
「産経」は3/20の夜になってネットで報じた。
http://www.sankei.com/region/news/150320/rgn1503200068-n1.html
 関西版の紙面には3/21現在、報じられていない。

 東京に住む妹が、兄のかかっている大学病院に腎提供を申し出たところ、術前のスクリーニング検査(CT、血管造影など)で小さな腎がん(腎細胞がん=RCC)が見つかった。医学的には小さなRCCを切除すれば、移植に用いても安全であることははっきりしているが、何しろ日本移植学会がプッシュして、2007年、厚労省は「修復腎移植を禁止する」という局長通達を出している。

 この通達が生きている以上、いまあちこちの私立・公立・国立の大学病院で内視鏡手術がらみの不祥事が多発していることもあり、病院としてはこの手術はやれない。
 唯一、これが行えるのは正規に「臨床研究」として、この手術を営々としておこなっている宇和島徳洲会病院である。そこで、大学病院の泌尿器科から万波誠医師の方へ紹介があり、1週間前に兄と妹が宇和島の病院に入院し、手術に備えていろいろな検査を受けた。

 腎臓摘出手術は開腹で行われたが、直系約1cmの充実性、色調やや淡褐色の丸い腫瘍があり、肉眼的にはRCCと考えられたという。念のため周囲幅1cmを含めて切除したが、手術中の迅速病理検査では「断端にがん組織なし」だったという。妹の腎臓には「多発性嚢胞腎」の所見はなかったそうだ。
 この兄は有名な企業のオーナーで、「歩く広告塔」になる決意をしていて、「実名を公表してもらって構わない」と言っているそうだが、「医師の守秘義務」違反だと、日本移植学会の某幹部たちに非難の口実を与えてもまずいので、さすがに病院は記者会見でそれを公表しなかったようだ。

 聞くところによると、日本移植学会の心ある主な会員は、十分な医学的根拠もなく「修復腎移植」の禁止を厚労省に要求したことについて、後悔しているそうだ。
 厚労省の担当者も、あの局長通達は「間違いだった」と内心では思っているのだが、この局長がまだ他の部局に現役で残っている。そこで「役人のおきて」により、彼が現役でいるうちは「通達の撤回」をしかねているのだという。
 バカな話だ。このTという当時の局長は、慶応大医学部卒の優秀な人材で、「末は事務次官」という下馬評があったのだが、結局その出世コースを棒にふってしまった。

 「癩予防法」によるハンセン病患者の強制隔離を止めさせるために、官僚としてもっとも尽力したのが京大医学部卒の大谷藤郎で、厚生省医務局長として法廃止運動を行った。法が実際に廃止されたのは、彼が定年退官して8年後の1991年である。(大谷藤郎『らい予防法廃止の歴史』、勁草書房, 1996)
 その前に、「日本皮膚科学会」は横浜市での総会の際に患者に対する「謝罪声明」を決議しているし、厚労省幹部は全国の「癩療養所」を歴訪し、患者に対する謝罪活動を行っている。

 厚労省が「病腎移植禁止通達」を出したために、「臨床研究」という実施病院の持ち出しになる形でしか修復腎移植ができなくなった。このために、この8年間に年間2,000個、合計1万6,000個の腎臓がみすみす失われた。これが実際に移植に使われていたら、身の回りにも「移植経験者」がいて、その話を聞くことで日本人の臓器移植に対する理解はよほど進んでいただろう。メディアが「脳死移植◯例目」と騒ぐ必要もなくなったかも知れないと思うと、T氏の「禁止」判断の罪は重い。

 人は誰でも間違いをおかす。重要なことは間違いに気づいたら速やかにあらためることだ。「役人の無謬神話」など、誰も信じていない。T氏は「歴史の法廷」で重罪に問われたくなかったら、面子など捨てて医師の原点に立ち戻り、局長通達撤回を省内で呼びかけるべきだろう。日本移植学会もそろそろ「謝罪声明」の用意に入った方がよかろう。

 ちなみに日本皮膚科学会の「謝罪声明」をまとめたのは、横浜市立大医学部昭和34年卒の同大皮膚科教授中嶋弘である。中嶋さんは、京大医学部卒の浜松医大山田瑞穂教授と並んで「皮膚悪性リンパ腫」研究会の主要メンバーだったので、旧知の人である。

4.【STAP細胞の正体】
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150320/k10010022211000.html
 NHKが3/20の正午になって、こんなニュースを流しているのにびっくりした。
 実は「STAP細胞の正体は、死にかけて大食細胞(マクロファージ)に喰われたリンパ球が発する自家蛍光を誤認したもので、STAP細胞は初めから存在していない」という話を、3/19のお昼に、広島西ロータリークラブ例会の「卓話」講演としてしゃべったばかりだった、からだ。
 まさかそんな話が、今さらNHKのニュースとして取りあげられるとは思わなかった。

 これについては<アベノミクスの第三の矢は折れた>というタイトルで、以下のような話をした。
<昨年の1月末に、鳴り物入りで理研が記者会見して発表したSTAP細胞と、それに続いて起こったSTAP騒動については、まだ皆さまのご記憶に新しいと思いますので、多くは述べません。
 事件そのものは、きわめて単純です。

 脾臓という臓器から分化した体細胞を分離して、オレンジジュース程度のpHの酢で処理すると、初期化された「STAP細胞」ができる。このSTAP細胞を別の培地でさらに培養すると分裂能力を持った「STAP幹細胞」ができる。
 このSTAP幹細胞を発生の途中にあるマウスの受精卵に注射すると、生まれたマウスには元の親マウス由来の細胞とSTAP幹細胞由来の細胞とがモザイクになっている。
 このマウスが「キメラマウス」です。STAP細胞からキメラマウスができた。
 これが昨年1月29日に雑誌「ネイチャー」に発表された論文に書いてあることです。

 ところが、論文発表の直後から、世界の11箇所以上の研究室から「STAP幹細胞」がつくれない、という疑問の声があがり、さらに論文の文章や図表に盗用や使い回しなど、不正が沢山あることが次々と判明しました。
 今では、この事件は科学における「世界三大不正」の一つと見なされております。

 不正の手口は単純です。まず「STAP細胞」なるものは存在しなかったわけです。
 脾臓から取り出した細胞をバラバラにして培養液の中で1週間も培養すると、途中で弱って死ぬ細胞が出てきます。この死にかけた細胞は、混じっているマクロファージ(大食細胞)に食べられてしまう。
 これは大きな細胞質をもった細胞で、リンパ球のような小さな細胞なら、5個でも10個でも食べてしまいます。食べられた細胞は死ぬ時に蛍光を発します。これは蛍光顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いると観察できます。ここまでは、どんな素人がやってもこうなります。

 細胞生物学の基礎知識も経験もない小保方さんは、この光る細胞を、STAP細胞の集まり・集塊と勘違いしてしまったわけです。ですから、彼女が「STAP細胞はあります。200回も作成しました」といったのは、この細胞集塊のことです。
 ところが、STAP細胞はいくらやっても分裂・増殖しない。マクロファージに食われて死ぬ直前の細胞なのだから、当たり前のことです。これが分裂能力をもったSTAP幹細胞にならないと、実験は成功したといえない。それにはマウスの受精卵に移植してキメラマウスができることを示さなければいけない。

 この受精卵にSTAP幹細胞を移植して、キメラマウスを作成する実験を担当したのが、今は山梨大教授になっている若山照彦さんです。ところが彼が小保方さんから渡されたのは、STAP幹細胞とは縁もゆかりもない、ES細胞だったのです。
 つまりSTAP細胞とSTAP幹細胞は全く別の細胞でした。
 このことは、3つの独立した調査グループ、若山氏が依頼した東大グループ、NHKが依頼した別の東大グループ、理研の調査グループ、これら3グループによる遺伝子解析の結果、もともと若山研にあったES細胞が小保方研究室に運ばれ、冷凍保存されており、これが「STAP幹細胞」として渡されたものの正体だ、と判明しました。
 つまり「細胞のすり替え」が行われていたのです。

 この事件の影響は深刻です。文科省の権威も理研の栄光も泥にまみれ、理研を「特別な研究機関」にするという方針を可能にする「理研特別措置法」の国会提出の見通しが立たなくなりました。
 つまりアベノミクスの第三の矢は折れたわけです。

 米政府はバイオへの研究費投資をすでに中止しています。その理由はバイオ研究分野の研究者やベンチャーには、いかがわしい研究や再現性のない論文が多いために、科学研究費の補助金がムダになっている、というものであります。

 日本もこれを契機に、もっと熟慮して前に進んだ方がよい、と私は考えます。>

3/21の「毎日」は理研がSTAP細胞の検証費用に約8,400万円の「運営交付金」(国費)を使ったことを報じている。この金は理研が早期にネットで指摘された疑惑を独自に検証していれば、必要のなかった金である。
 その点で「IROIRO」が取りあげている、市民の声は興味深い。
 http://irorio.jp/gt1999/20150321/215526/

 その後、3/21「朝日」報道によると、またも理学部系生命科学者の大規模論文不正が確定したようだ。
 http://www.asahi.com/articles/ASH3N648DH3NTIPE036.html

 バイオサイエンス分野の不正・インチキは今後も多発するであろうことを予言しておこう。
 根源は、榎木英介『博士漂流時代』が指摘したように、需要のないところに博士を大量生産したこと、研究費を「競争的資金」によってしか獲得できないようなシステムを造り上げた点にある。この二つが不正の温床であり、これを変えないと事態は改善されないだろう。

5.【梅にウグイス】
 今年はウグイスの初音が遅く、ひな祭りの頃家内が「ケキョ、ケキョ」という下手な鳴き声を聞いたそうだ。昨日は「ホッ、ケキョ」という不完全のさえずりを聞いた。
 昼前、用足しに仕事場の外の庭に出ると、西の林から「ホー、ホケキョ」という初めて完全なウグイスのさえずりが聞こえた。樹上にいるのを撮影しようと、カメラを構えて探したが「声はすれども、姿は見えず」だった。
 
 ふ
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2015-03-23 11:36:48 | 日記
3-23-2014鹿鳴荘便り【1. 書評など、2.お詫び、3.臨床研究15例目、4.STAP細胞の正体、5.梅にウグイス、6. カラスどう鳴く?、7. 修復腎移植NOW】
1.【書評など】
1)書評=エフロブ「買いたい新書」の書評にNo.261:シンシアリー「韓国人が暴く黒韓史」を取りあげました。
 3月6日、日本外務省の韓国に関する従来の記載「基本的な価値や利益を共有する最も重要な隣国」が、「最も重要な隣国」に変更されたことが明らかになった。これは敵国であっても当てはまり、日韓関係は今や瀬戸際まで悪化したといえます。韓国人を理解する必要が今ほど切迫した時はないでしょう。
 本のタイトルはどぎついのですが、たんなる「嫌韓本」ではありません。著者は韓国生まれ、韓国在住の歯科医で、これまで『恥韓論』、『沈韓論』という新書を出している。彼の最大の功績は日韓併合10年後に、朝鮮の実態調査をした米国人アレン・ アイルランドの著書「THE NEW KOREA」(1939、「対訳」:桜の花出版, 2013)の存在を指摘し、「日帝統治下朝鮮」の実情を明らかにしたことでしょう。
 本書の読み所は第2章「<民族正統性>の亡者が<反日>を生んだ」にあると思います。
 詳細は以下をお読み下さい。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1426827342

 私は著者の指摘を読んで、初めて「反日」が劣等感の現れであり、これは日本国としては、いかんともしがたい、と納得できた。日本も「鬼畜米英」と言っていた頃は、本音ではやたら「舶来」をありがたがる、劣等感の塊だったこととひき比べると、今の韓国がよくわかります。

 2)献本お礼=「医薬経済」3/15号のご恵送を受けた。お礼申し上げます。
 「薬価基準の歴史No.12」に「医師は薬を売り、歯科医師は金(きん)を売り、薬剤師は雑貨を売る」と書いてある。うまいこと言うなと思ったら、なんとこれはGHQの公衆衛生福祉局長サムス准将による、日本の医療に対する批評だそうだ。日本の医師免許に国家試験と、免許取得後にインターンとして実地修練を義務づける、新制度を導入した人物です。
 幕末に長出島に来た、オランダ商館の武官カッテンディーケは、日本人医師の診療実態を見て、「日本では医者は薬代しか請求しない」と驚いている(『長海軍伝習所の日々』、東洋文庫)。
 モノには金を払うが、情報とか技術料はタダだと思っている国民だから、「医薬分業」といってもそう簡単にいかないのは、こういう長い歴史があるからだろう。

 鍛冶孝雄「読む医療:医師が書いた本の斜め読み」がSTAP細胞事件を取りあげていて、榎木英介『嘘と絶望の生命科学』(文春新書)を好意的に紹介している。要は理学部、農学部、水産学部そつのバイオ系博士を作りすぎ、研究費獲得のための「論文生産労働者」が沢山生まれたことが、STAP事件の背景要因といえる。これが改善されない限りSTAP事件は「氷山の一角」となるであろう、ということだ。
 
2.【お詫びと釈明】
 3/2号の【便り】が10MBを超えたことについて、広島市の高校の先輩土井田さんや向日市の豊田先生から「光ファイバーに回線を換えたら」とか「PDFファイルにしたら」とかいろいろアドバイスをいただいた。巨大ファイルでずいぶんご迷惑をおかけしたのだな、と痛感しました。深くお詫びいたします。
 
 次ぎにこれについて、釈明させて下さい。
 まず通信回線について。1980年代の終わりに、私はある企業と「病理画像伝送」の研究をしていました。「テレパソ1000」という普通の電話回線を使う専用装置を開発したのですが、画像圧縮技術もデジタル・アナログ変換技術もまだ未発達で、1枚のカラー顕微鏡画像の伝送に1分もかかっていました。
 その頃、NTTはデジタル専用回線として「ISDN64」というメタル回線を、売り出していました。ところが1992年頃、私は「NEWSWEEK」で、アメリカの電話会社が「ADSLモデム」を開発したという記事を読みました。

 ADSLについて、Collinsの「Science」辞書はこう説明しています。
<Asymmetric Digital Subscriber Line(ないしLoop, Link)の略で、既存の銅製電話回線を用いて、データ通信を行う際の規準。ADSLはケーブルテレビと競争して、動画と電話のサービスを同時に行うために「US電話会社」が開発した。1996年までに高速インターネット・アクセスの(光ファイバー)代替選択肢として発達しつつある。>

ところが日本では、専用メタル回線であるISDN64を売るために、NTTは意図的にADSLモデムが使えないようにしていました。(韓国がITで日本の先を行ったのは、ISDNなど飛ばしていきなりADSLモデムを採用したからだ、と私は思っています。)

 1997年春、この雑木林の中に家を建てて引っ越してきた時は、まだ電話回線しか利用できなかった。それでFAXとPC用に専用の電話回線を引き、MACノート内蔵のモデムでインターネットにアクセスし、「ティンブクトゥ」という遠隔操作ソフトを使って、大学研究室のパソコンとデータのやり取りをしていました。

 その後、ケーブルテレビが利用できるようになりましたが、「やがてADSLモデムで同じことができる」と思っていたので、これはパス。
 2005年に大学を辞める時、自宅から30メートル離れたところに書庫兼仕事場を新築しました。その時にADSLモデムを採用し、有線LANを構築しました。その後、無線ルーターも付けたので、仕事場のPCは無線と有線、両方の回路でネット接続が可能になりました。敷地内ならWIFIのLANが可能です。

 その頃、町村合併が行われ隣町の大和町というところは、「全戸に光ファイバーを敷設」という条件で三原市に合併しましたが、JA出身の町長がいた福富町は、そういう条件も付けず東広島市に合併。それで三原市大和町と大きな情報格差がつきました。
 今は電話線に平行に光ファイバーの線が家のすぐ傍を走っていますが、今さらちょっと引く気になれないのが、正直なところです。
 パソコンの処理速度が落ちているのは確かですが、これはあまりにも多くのファイルをデスクトップに置いてあるからで、大掃除してなお遅ければ、メモリを増設しようと思っています。
(500GBの内臓HDにはまだ400GB以上の未使用域があります。)

 ついで「ファイルをPDFに変換する」という方法を教えていただきました。
 ところが私のWORDは2008年版で、この「ファイルを別名で保存→ファイル形式PDF」で保存すると、どういうわけか、3.5MBのファイルが55.4MBに増大してしまいます。
 「Photoshopを使えば簡単だ」というアドバイスもいただきましたが、iMacで利用していたこのソフトを再インストールする時に失敗して、そのまま放置してあります。
 
 いろいろ実験したところ、WORDのファイル保存メニューから「WEBページとして保存」を選択するとHTMLファイルになることがわかりました。これだと3.5MBのWORDファイルがわずか156KBに圧縮されます。
 このファイルをクリックすると、ネット・ブラウザが立ち上がり、添付の画像も質は劣化しているが、ちゃんと所定の位置にあり、「いいな」と思いました。
 ところが、画面を読みやすくするため文字を大きくし、文字行を短くするために、画面幅を縮めた後で、いったん閉じてもう一度クリックしたら、画像だけが見えなくなりました。

 どうも従来のように、1枚の画像を200KB程度に縮小し、全体のファイルサイズを4MB以下に落とすしか、当面の解決策はないようです。武田さんがブログにアップした際に、画像カラーバランスに乱れが生じなければよいのですが…

3.【修復腎移植 (病腎移植)、第15例目】
 3/18(水)の午後から宇和島徳洲会病院で、修復腎移植「臨床研究」第15例目(親族間移植第3例目)にあたる腎移植手術が行われた。翌日これを報じたメディアは愛媛新聞だけである。
 http://www.ehime-np.co.jp/rensai/zokibaibai/ren101201503194072.html

 G-mail、G-Newsの両方に「G-アラート」をかけてあるが、他からは情報が入らなかった。
 複数の執刀医に取材した結果、以下のようなメディアが報道していない事情が明らかとなった。これ
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2015-03-23 11:28:54 | 日記
各位へ:(転載自由です)。
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 何だかすぐに1週間が経つような気がする。
 先週は、広島ペンクラブの例会にロータリークラブでの講演ととても忙しかった。

 ペンクラブでは何と84歳の女性新入会員の紹介があった。声もお顔も若々しく、とてもそんな年には見えない。
 食事中に別な同人誌の編集者が、その方が書いたという投稿原稿を見てほしいと、400字詰め原稿用紙に鉛筆書きで、丁寧にかかれた原稿を持ってきた。
 なんとアインシュタイン特殊相対性理論から導き出された、有名なE=mc2という超有名な方程式の意味論が述べられている。

 質量とエネルギーの相互変換を現した方程式で、これをもとにシラードが「核分裂の連鎖反応」というアイデアを思いついたために、原子爆弾が可能となったのだが、宇宙創成時に存在した資源的エネルギーを制御することはまだ不可能だということを、福島原発事故は証明した。

 それにしても84歳で、みずみずしい脳をもち、詩の同人誌にこの内容を書くだけの理解力があるとは、素晴らしい。
 こういう人こそ「敬老の精神」に値するといえるだろう…

 今回は、
 1.書評など=
 シンシアリー『韓国人が暴く黒韓史』と「医薬経済」3/15号について、

 2.お詫びと釈明=
 10MGの巨大ファイル送信問題について、

 3.修復腎移植の臨床研究第15例目(親族間移植3例目)=
 について、

 4.STAP細胞の正体=
 小保方晴子が、「死にかけた細胞は自家蛍光を発するということを、知らなかった」と告白したことについて、

 5.梅にウグイス=
 これは写真つきです。

 6.カラスどう鳴く?=
 カラスの鳴き声にも方言があるのではないか、ということについて

 7.修復腎移植NOW=
 修復腎移植の現状についてのサーベイ。
 高松高裁の裁判については、次回に取りあげます。

 以上7つの話題を取りあげました。「3月は去る」といいますが、わが家は梅、他の地は桜が咲き始めたようですね。
 広島に出たら花粉症のせいか、やたらマスクの人が目立ちました。

-- 難波紘二
鹿鳴荘病理研究所
739-2303 東広島市福富町久芳685-7
TEL/FAX=082-435-2216 自宅TEL= -2215
「病気は自然の実験である」
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