自閉症の子の肩を強く抱き一歩一歩トイレのほうへ進んでいく。進みたくない。できるなら引き返したい。今ならまだ間に合う。そんな葛藤を心の中で激しくしていた。誰か他の人に頼もうと思えばできたと思う。でもそのときは責任感か、周りの目か、ただただ緊張感で頭が真っ白かとにかく冷静な判断ができない状態だった。こうなると自分の性格でもう先へ進むしか答えがなかった。
トイレに着いた。ついに来てしまった。一層気を吐き中に入って行く。そして自閉症の子を小便器の前に立たせてあげた。そこで10秒ぐらい様子をまず見る。何も行動はない。やはりそうか。。。自分がサポートをするしかないのか。必死にぐわぁーっと締め付けられる胸の力に耐える。そしてその子のズボンを下ろす。履いてる下着はおむつだった・・・。一瞬たじろいだ。考えてみればそうだよね。自分の意思で行動するのが難しいのだから当たり前だよね。おそるおそるおむつに触れ外す。手はもうよごれたと思った。自分の体に触れないように手は自分の体から離した。そしてその子の様子を見守る。数十秒後してくれた。ここまですればやってくれるんだね。その子が用を足し終えた。問題はここからだ。誰かがいつでもこのトイレに入ってくる状況。自分を落ち着かせながら、焦るな焦るなと言い聞かせながらここを触って洗ってこうしてとすぐにシュミレーション。考えを終えこの手でまずおむつを履かせた。そして次はズボンを履かせる。けどここで手を洗いに行かなければ。だがそのときだった。子共が一人入ってきた。自分は何をおもったのか今まで考えてたことが一気に吹き飛んだ。冷静さを失ったんだ。そのよごれた手でズボンを持ち履かせてしまった。子共が不思議そうに何やってるのかなと見ながらトイレから去って行った。トイレに残された自分はひどく気分が落ち込んだ。最悪。これで今日は無事では済まされない。外部に触れるズボンの外側をよごしたこの気持ちは計り知れないほど重く自分にのしかかった。ショックのあまりに動けない。けどここで立ち止まってはいられない。まただれかが来るかもしれない。うつむきそうになる自分にムチを打ちその子をトイレの洗い場へ連れていく。まず自分が水洗いをしてからその子の手を水洗い。その子の手を洗ってあげるときに水滴が顔、手、服にあちこち飛んだ。これもよごれたと思った。
落ち込んでる暇ではない。水洗いを終えその子の肩を抱きハンドソープのある洗い場へ連れていく。その子のズボンが自分のズボンに触れ、自分のズボンはよごれた。洗い場で自分の手をハンドソープでこすりそのままそのこの手をこすり、蛇口の取っ手をこすり洗い流した。トイレは終わった。でもあまりにも代償が大きかった。
バーベキューのほうへその子を連れて行きながら自問自答した。
「なんでおまえは参加したんだよ。なんでおれはこの子の担当になったんだよ。他の障害のある子は自力でできるのに。おれはほんとに運がない奴だよ。この子に罪がないことはわかってる。そんなのわかってる。でも、でも、あんまりじゃないか。こんなによごれたと思ったのははじめてだよ。自分が一番よごれてると思ってるものでよごれるなんて。おれはこの先どうなるんだよ。」
バーベキューに着きスタッフからありがとう、助かったと声を掛けられた。何だろう。このやるせない気持ちは。どこにぶつけたらいいんだ。
その子を預けた。もう頭は強迫で支配されていた。その子を膝の上に乗せ体を包んだそのスタッフもよごれたと思った。自分はもうよごれたところを増やしたくなかった。テーブルの前で立ってたんだけど、座っていいよといわれ抵抗あったんだけど仕方なく座った。もうこのイスも・・・。
息が止まりそう。平常心を保つのに必死。はるちゃんが自分に話しかけたけど、そっかと渾身の笑顔でうなずくだけ。
こんな状態の中でさらに追い打ちをかけるようなことが起こる。スタッフが自閉症の子の体を抱き寄せおしりをさわると異変に気づいた。すぐにおむつ替えないとと言い始めた。自分はもうできるならその場で首を振って、その場から消えたいと思った。バーベキューの近くにある小屋で処理を行うことになり、自分はトイレットロールとゴミ袋を持ってきてほしいと頼まれた。それを調達しようと小走りで走るけどとてつもなく体が重い。普段ならトイレにあるトイレットロールすら触るなんてできないけど、もう自分の体がある程度よごれていて麻痺してるので躊躇なくとった。ゴミ袋と一緒に小屋に持っていきスタッフに渡す。一人の子に3人スタッフが付き、服を脱がしている。見るとなぜか新しいおむつ以外に着替えも用意している。普通ならおむつだけでもいいはずなのに。こうなると自分の頭の中はわるいほうへどんどんエスカレートしていく。スタッフに終わった後ごみ袋を持っていってほしいから入り口にいてと言われた。そこに立ってるけど、これ以上はみてられない。背中を向け入り口の横の壁にもたれ事が終るのを待っていた。10分ほどかかり中に入るとその子は新しい衣服に着替えていた。そして横にはゴミ袋があった。スタッフからそのゴミ袋を渡され手に持った。おむつを替えたときの手でこの袋を触ったのだと考えると気が気じゃなかった。体から離して持つけど家庭ゴミのように大きい。歩くと前後左右にどうしても揺れて自分の体に触れる。頭が真っ白になり、おかしくなりそうだったけど歩みを止めずなんとかゴミ収集の場へ持っていった。洗い場でハンドソープで手を洗ったけどもう気休めにもならない。体のあちこちがよごれているのだからもはや・・・。もうだめだ・・・。汗もかいてきて体温も上がりアトピーで体がかゆくなってきた。一日シャワー浴びてないだけでだいぶ違う。体のあらゆるよごれてるところを触れたりこすり違うところを触る。これを繰り返し気がつけば頭から足まで全身がよごれた気持ちになった。全部。全部。おかしくなりそうだ。絶望。できるなら、できるなら発狂してこの森いっぱいに叫びたい。頭を抱えて地面に跪き叫びたい。こんな仕打ちがあるのか。どうして。どうして。耐えられないよ、もう。なんでだよ。なんでだよ。
洗い場に手をつき、しばらく倒れそうになる体を支えていた。
そのときだった。
トントンと自分の体を誰かに軽く叩かれた。振り返るとそこにはるちゃんがいた。
ちょっと恥ずかしそうに
はるちゃん:「 緑ちゃん 遊ぼう 」
そう言われた。
ハッと我に返った。
おれ:「ごめんごめん。約束だもんね。行こっか」
この手でふれられるだろうか。 大丈夫。 大丈夫。
はるちゃんと手をつなぎ、バーベキューの広場のほうへ向かいながら自分の心を静め気持ちを作ろうと懸命だった。今日は責任を果たさなければいけない。何があっても自分は自分の役割を果たさなければいけない。短い時間とはいえ子供たちにとって、はるちゃんにとって今日は二度とない大切な楽しい時間なのだから。この子の心の中に今日が楽しい日だったと残ってほしい。そのために精一杯はるちゃんが楽しく過ごしてくれるように。。。
はるちゃんが少しでも喜んでくれるようにおんぶして広場へ。心の中で 「よごしてごめんね」 そうつぶやいた。広場で一緒に地面にお絵描きして、一緒に森の中探検して、ベンチでたくさんはなした。途中、何度も何度も強迫に押しつぶされそうだった。でも目の前には、隣にははるちゃんがいてひまわりのような満面の笑みを浮かべてくれた。それを見ると支えだったんだ。今大切なものがなにかということを教えてくれたんだ。
でも時間だけは刻々と過ぎて行く。太陽から夕陽に姿を変え森の中は薄暗くなってきた。次第に鳥の鳴き声、カエルの鳴き声が辺りに響くようになった。
時間をみた。もう行かなければ。はるちゃんと広場に戻った。着替える時間が少ないのでその場で上だけバイトのユニフォームに着替えバンダナ巻いて気合いを入れた。準備している間はるちゃんは自分をじっと見ていた。着替え終わり同じ班のスタッフ、友達に挨拶した。そして最後はるちゃんに
おれ:「今日はありがとう。はるちゃんといて楽しい時間だったよ。また遊べるといいね。」
はるちゃん:「うん。ほんとに行っちゃうの? 明日は来ないの?」
おれ:「ん〜、ちょっとわかんないかな。緑ちゃん忙しくて。また会えるよ。きっと。」
はるちゃん:「そっか・・・。うん。」
「じゃあまたね」
そうお互いに手を振ったんだ。
前を向いた。忙しいなんて嘘さ。心の中ではもう決まっていた。二度とここに来ることはない。会うこともない。これで終わり。
でもはるちゃんは別れ際すごく残念そうな顔をしてた。薄暗い中でもその眼はとても寂しそうで、悲しそうだった。車に乗る前に振り返ると、遠くの小さいはるちゃんはまだそこにいてこっちを見ていた。そのときのことは今でも忘れない。
スタッフの車に乗り出発した。車内でふーっと一息ついた。あぶなかった。おれとしたことが。たった一人の子のために明日いくよと言うところだった。
でもあの子のあの顔・・・・・
離れてく森林公園を見ながら自分に言い聞かした。
これでよかったんだよね
これで
おれは何も間違ってないよね
そうだよね
トイレに着いた。ついに来てしまった。一層気を吐き中に入って行く。そして自閉症の子を小便器の前に立たせてあげた。そこで10秒ぐらい様子をまず見る。何も行動はない。やはりそうか。。。自分がサポートをするしかないのか。必死にぐわぁーっと締め付けられる胸の力に耐える。そしてその子のズボンを下ろす。履いてる下着はおむつだった・・・。一瞬たじろいだ。考えてみればそうだよね。自分の意思で行動するのが難しいのだから当たり前だよね。おそるおそるおむつに触れ外す。手はもうよごれたと思った。自分の体に触れないように手は自分の体から離した。そしてその子の様子を見守る。数十秒後してくれた。ここまですればやってくれるんだね。その子が用を足し終えた。問題はここからだ。誰かがいつでもこのトイレに入ってくる状況。自分を落ち着かせながら、焦るな焦るなと言い聞かせながらここを触って洗ってこうしてとすぐにシュミレーション。考えを終えこの手でまずおむつを履かせた。そして次はズボンを履かせる。けどここで手を洗いに行かなければ。だがそのときだった。子共が一人入ってきた。自分は何をおもったのか今まで考えてたことが一気に吹き飛んだ。冷静さを失ったんだ。そのよごれた手でズボンを持ち履かせてしまった。子共が不思議そうに何やってるのかなと見ながらトイレから去って行った。トイレに残された自分はひどく気分が落ち込んだ。最悪。これで今日は無事では済まされない。外部に触れるズボンの外側をよごしたこの気持ちは計り知れないほど重く自分にのしかかった。ショックのあまりに動けない。けどここで立ち止まってはいられない。まただれかが来るかもしれない。うつむきそうになる自分にムチを打ちその子をトイレの洗い場へ連れていく。まず自分が水洗いをしてからその子の手を水洗い。その子の手を洗ってあげるときに水滴が顔、手、服にあちこち飛んだ。これもよごれたと思った。
落ち込んでる暇ではない。水洗いを終えその子の肩を抱きハンドソープのある洗い場へ連れていく。その子のズボンが自分のズボンに触れ、自分のズボンはよごれた。洗い場で自分の手をハンドソープでこすりそのままそのこの手をこすり、蛇口の取っ手をこすり洗い流した。トイレは終わった。でもあまりにも代償が大きかった。
バーベキューのほうへその子を連れて行きながら自問自答した。
「なんでおまえは参加したんだよ。なんでおれはこの子の担当になったんだよ。他の障害のある子は自力でできるのに。おれはほんとに運がない奴だよ。この子に罪がないことはわかってる。そんなのわかってる。でも、でも、あんまりじゃないか。こんなによごれたと思ったのははじめてだよ。自分が一番よごれてると思ってるものでよごれるなんて。おれはこの先どうなるんだよ。」
バーベキューに着きスタッフからありがとう、助かったと声を掛けられた。何だろう。このやるせない気持ちは。どこにぶつけたらいいんだ。
その子を預けた。もう頭は強迫で支配されていた。その子を膝の上に乗せ体を包んだそのスタッフもよごれたと思った。自分はもうよごれたところを増やしたくなかった。テーブルの前で立ってたんだけど、座っていいよといわれ抵抗あったんだけど仕方なく座った。もうこのイスも・・・。
息が止まりそう。平常心を保つのに必死。はるちゃんが自分に話しかけたけど、そっかと渾身の笑顔でうなずくだけ。
こんな状態の中でさらに追い打ちをかけるようなことが起こる。スタッフが自閉症の子の体を抱き寄せおしりをさわると異変に気づいた。すぐにおむつ替えないとと言い始めた。自分はもうできるならその場で首を振って、その場から消えたいと思った。バーベキューの近くにある小屋で処理を行うことになり、自分はトイレットロールとゴミ袋を持ってきてほしいと頼まれた。それを調達しようと小走りで走るけどとてつもなく体が重い。普段ならトイレにあるトイレットロールすら触るなんてできないけど、もう自分の体がある程度よごれていて麻痺してるので躊躇なくとった。ゴミ袋と一緒に小屋に持っていきスタッフに渡す。一人の子に3人スタッフが付き、服を脱がしている。見るとなぜか新しいおむつ以外に着替えも用意している。普通ならおむつだけでもいいはずなのに。こうなると自分の頭の中はわるいほうへどんどんエスカレートしていく。スタッフに終わった後ごみ袋を持っていってほしいから入り口にいてと言われた。そこに立ってるけど、これ以上はみてられない。背中を向け入り口の横の壁にもたれ事が終るのを待っていた。10分ほどかかり中に入るとその子は新しい衣服に着替えていた。そして横にはゴミ袋があった。スタッフからそのゴミ袋を渡され手に持った。おむつを替えたときの手でこの袋を触ったのだと考えると気が気じゃなかった。体から離して持つけど家庭ゴミのように大きい。歩くと前後左右にどうしても揺れて自分の体に触れる。頭が真っ白になり、おかしくなりそうだったけど歩みを止めずなんとかゴミ収集の場へ持っていった。洗い場でハンドソープで手を洗ったけどもう気休めにもならない。体のあちこちがよごれているのだからもはや・・・。もうだめだ・・・。汗もかいてきて体温も上がりアトピーで体がかゆくなってきた。一日シャワー浴びてないだけでだいぶ違う。体のあらゆるよごれてるところを触れたりこすり違うところを触る。これを繰り返し気がつけば頭から足まで全身がよごれた気持ちになった。全部。全部。おかしくなりそうだ。絶望。できるなら、できるなら発狂してこの森いっぱいに叫びたい。頭を抱えて地面に跪き叫びたい。こんな仕打ちがあるのか。どうして。どうして。耐えられないよ、もう。なんでだよ。なんでだよ。
洗い場に手をつき、しばらく倒れそうになる体を支えていた。
そのときだった。
トントンと自分の体を誰かに軽く叩かれた。振り返るとそこにはるちゃんがいた。
ちょっと恥ずかしそうに
はるちゃん:「 緑ちゃん 遊ぼう 」
そう言われた。
ハッと我に返った。
おれ:「ごめんごめん。約束だもんね。行こっか」
この手でふれられるだろうか。 大丈夫。 大丈夫。
はるちゃんと手をつなぎ、バーベキューの広場のほうへ向かいながら自分の心を静め気持ちを作ろうと懸命だった。今日は責任を果たさなければいけない。何があっても自分は自分の役割を果たさなければいけない。短い時間とはいえ子供たちにとって、はるちゃんにとって今日は二度とない大切な楽しい時間なのだから。この子の心の中に今日が楽しい日だったと残ってほしい。そのために精一杯はるちゃんが楽しく過ごしてくれるように。。。
はるちゃんが少しでも喜んでくれるようにおんぶして広場へ。心の中で 「よごしてごめんね」 そうつぶやいた。広場で一緒に地面にお絵描きして、一緒に森の中探検して、ベンチでたくさんはなした。途中、何度も何度も強迫に押しつぶされそうだった。でも目の前には、隣にははるちゃんがいてひまわりのような満面の笑みを浮かべてくれた。それを見ると支えだったんだ。今大切なものがなにかということを教えてくれたんだ。
でも時間だけは刻々と過ぎて行く。太陽から夕陽に姿を変え森の中は薄暗くなってきた。次第に鳥の鳴き声、カエルの鳴き声が辺りに響くようになった。
時間をみた。もう行かなければ。はるちゃんと広場に戻った。着替える時間が少ないのでその場で上だけバイトのユニフォームに着替えバンダナ巻いて気合いを入れた。準備している間はるちゃんは自分をじっと見ていた。着替え終わり同じ班のスタッフ、友達に挨拶した。そして最後はるちゃんに
おれ:「今日はありがとう。はるちゃんといて楽しい時間だったよ。また遊べるといいね。」
はるちゃん:「うん。ほんとに行っちゃうの? 明日は来ないの?」
おれ:「ん〜、ちょっとわかんないかな。緑ちゃん忙しくて。また会えるよ。きっと。」
はるちゃん:「そっか・・・。うん。」
「じゃあまたね」
そうお互いに手を振ったんだ。
前を向いた。忙しいなんて嘘さ。心の中ではもう決まっていた。二度とここに来ることはない。会うこともない。これで終わり。
でもはるちゃんは別れ際すごく残念そうな顔をしてた。薄暗い中でもその眼はとても寂しそうで、悲しそうだった。車に乗る前に振り返ると、遠くの小さいはるちゃんはまだそこにいてこっちを見ていた。そのときのことは今でも忘れない。
スタッフの車に乗り出発した。車内でふーっと一息ついた。あぶなかった。おれとしたことが。たった一人の子のために明日いくよと言うところだった。
でもあの子のあの顔・・・・・
離れてく森林公園を見ながら自分に言い聞かした。
これでよかったんだよね
これで
おれは何も間違ってないよね
そうだよね









