待ちに待ったHAPUNAに行ってきた。
ちょっとおしゃれしようと思ったけど、いつもどおり290円で買い込んだタンクトップ。全身ユニクロで固めた。友達はなんだかいいところのお嬢さん。はは、気合入れすぎ。
品川プリンスホテルは数少ないエンターティメントホテル。プリンスシアターとアクアスタジアムという映画館と水族館を持っている。最初見たときは違和感というかなんだかおもしろいなと思った。
ちょっとあの加賀屋を思い出したんだ。大学時代に石川県七尾市の和倉温泉に外国人観光客をどのように誘致しているか調査しに行った。調査という名目で加賀屋の中に入り施設を回った。自分たちの宝塚のような劇団を持ち、音楽では演奏者を雇い美しい音楽を奏でていた。目がくらむぐらいこれでもかというエンターティメントを入れ込んでいた。 見た目のごく日本の旅館とは全く違うギャップ。失礼ながら小岩にあるお風呂屋さんの「湯宴ランド」が豪華になったみたいだ。大衆的な全国をまわっている役者の芝居がみれる。小さい頃からよく芝居好きな母親に連れて行ってもらった。「女形」と「おひねり」を初めて知ったのはそこだった。調査という名目で加賀屋の社長や従業員におもてなしなどの話を聞け、温泉には無料で入らせてもらった。勉強になった。でもそんなことは途中からどうでもよくなった。周りの旅館、市役所から話を聞き加賀屋の周りに与える影響力が一番の収穫だった。光と影。これがあるんだね。
品川駅の目の前にそびえ立つプリンスホテルがある。青白くキラキラしてちょっとした芸術品みたいだ。見慣れたとはいえいつ見てもきれいだ。きょうは映画「HACHI」をプリンスシアターで観てから行く予定だったけど、友達がお金を節約したいということでなしになった。自分もどっか節約したいと思ってたから賛成。レストランが開く5時半まで少し時間があるのでロビーのソファに座った。食べ物を頭の中に浮かべてる。そしたらついつい口があんぐり開く。
食べ物ちゃんが待っている・・・。目の前に届く距離にいる・・・。
自分はもう人間じゃないな。「赤ずきん」に出てくるオオカミだ (?)
レストランが開いた。中に入った。
ドキ、ドキ、ドキ。
。。。。。。。。。。
久しぶりだね。
変わっていない。
あの頃のままだ。
スタッフに招待され席に座った。最高の席だ。アッパーラウンジの席。水盤が近くにある。アッパーラウンジの中でも4、5席しかない数少ない独立した席だ。隣に席もテーブルもない。偶然にしてはできすぎだ。食べ物の神様、ありがとう。
レストランを見渡す。東京ビックサイトの一つの会場をまるまる使ったような吸い込まれていく煌びやかな空間。見上げる大きなワインタワー。そして和洋中80種類の豪華な料理。
料理・外の景色を使わずともこのインパクト。
まさに
「ビュッフェの皇帝」という名に相応しい。
勝手に名前をつけた。
荷物を置く台を用意してくれ、何かあったときによごれないよう布を掛けてくれた。こういう細かい配慮もうれしい。
料理をどうぞとスタッフから言われ ビュッフェコーナーに入った。
ローストビーフ、パスタ、魚料理、中華・・・たくさんありすぎて言えない。どれも丹誠込めて作られたということが伝わってくる。
席に料理を運び友達と「いただきます」
ピカピカのナイフ、フォーク。そんなのは使わない。
はし一本勝負!
一口目はお決まりのローストビーフ。
ハグ。。。
。。。。。。。(泣)
こんなやわらかいローストビーフは今まで食べたことがない。
って何回も来てたべてるけど。友達も一口目ローストビーフを食べて驚いた顔をした。
やはりこんなにやわらかいローストビーフは初めてだって。めっちゃはしゃいでる。連れてきてよかった。まあ、節約思考の友達をここに連れてくるのは最初で最後にするけど。お店の設定の主導権は時間があるおれだから、今回も引っ張ってきてしまった。
はじめに飛ばしすぎて30分で半分の40種類ぐらいを食べてお腹一杯。時間は決められていないのでゆっくり休憩。目の前で寿司を食べてる友達がうらやましい。まだ和食に到達してないんですけど。
ソファ席でくつろぎながらぼけーっと他愛ない話をする。でも、ときより目は中央にある過去座った席に移る。
そう、今日HAPUNAに来たのは単に豪華な料理を食べにきたのではない。
ここはIと語り合った空間。特別な場所だから。
このHAPUNAに来るきっかけはIだった。ホテルでまだ働いていた頃必ず行こうとしつこく誘われて行った。はいはい、時間あるときねって感じだった。ホテルのビュッフェはある程度いろんなところを行ったから驚くことはないと思ってた。でもこの空間を初めて見たときの衝撃は忘れない。
「圧巻」
その一言。全部自分がこの空間にのまれた。歩くのもおぼつかないぐらい一歩一歩踏みしめたのを覚えている。
それから二人で三回は来たな。同じレストランに配属されて生命の危機を感じさせる過酷な勤務。唯一腹を割って話せるやつであり仲だった。ここで一緒に料理を食べながら語り合った。
目に浮かぶんだ。
唇をかみしめ、両手をテーブル上で組む姿が。
Iにどうしたら、どうしたらこの仕事を続けていけるんだと相談してる姿が。
あの頃悩み苦しんでるおれが確かにそこにいたんだ。
HAPUNAのスタッフを客観的に見てもわかる。ビュッフェを何十人というスタッフでスタンバイ・片づけをしているのを最後まで残っていればそれを見れる。他のホテルも同じ。勤めていたところは規模はHAPUNAまでは行かないが、大きく40〜50種類を提供するビュッフェだった。それを朝と夜1人でスタンバイ・片づけをしていたのは異常だとしか思えようがない。自分自身が押しつぶされるようなプレッシャーと毎日闘った。先輩につけこまれないよう最終的には時間に1人で終わらせられるようになった。他の泊まりの班の先輩は必ず手伝ってくれるのだが、それはあえて頑なに断った。その理由を先輩に説明し理解してくれた。間に合わないときにだけ手伝ってくれるようにお願いした。そう、もう一つの班の先輩は手伝ってくれないからだ。1人で終わらせる技術を身につけるしかなかった。それしかつけこまれない方法はなかった。あらゆる無駄を省き、台車の位置から何から何まで準備しシュミレーションし実行した。つけこまれる、元職場で言うと「やられる」と言う。やられないためには必死だった。毎日24時間以上、33時間以上寝ないで会社にいて働き続けた。家に帰るまでも気が抜けない。落ちたらもうその日帰れないのだから。
最近久しぶりにIと連絡を取り合った。元気にやってるそうだ。泊まりは体調面で外してもらい今日勤で入っている。体大事にしろよ。不況の影響か新入社員の配属はレストランにゼロだそうだ。でも、去年私たちが過去最高の新入社員5人が配属されたからおそらくそれほど必要ないのだろう。ただレストランはとてつもなく混んでると言う。でも実はそれについて私は知ってた。ネットであるランキングを見たのだ。口コミなどいろんな情報のランキングが氾濫する中、評価ではなく純粋な数字のランキング。ホテルというのは比べるものではないと思っているが、最近暇だったとき数年ぶりかつい見てしまった。そしたら驚いた。今年上半期、勤めていたホテル、グループホテルが一位、二位を独占してた。すごいな。何だこれ。上位を常にキープしてたことは知ってたけど。
職を離れたので話せるが勤めていたホテルは、プリンスと同じ形態。西武グループのように電鉄を持っている。でもそこのような多くのホテルを持っていない。主にシティホテル、リゾートホテル、ビジネスホテルを一つずつしか持っていない。都内屈指の規模と人気を誇るシティとリゾートホテルのたった2つがそれを獲得したのだ。屈指といっても東京には帝国、オータニ、オークラをはじめとするホテル御三家。京王、メトロポリタンなど様々な素晴らしいホテルが存在する。外資系ではリッツカールトン、ペニンシュラ、ハイアット、マンダリン、ウェスティンなど五つ星の高級ホテルが数多く並ぶ。最近ではホテルの飽和状態で不況の東京に「シャングリ・ラ ホテル」が進出してきたのは記憶に新しい。こんな状態なのに。すごい強気な価格を打ち出し驚いた。テレビでも取り上げていた。こんな中でこのランクを獲得するのはすごいとしかいいようがない。この不況の中各ホテルが様々なアイデア、プランを出してお客様を呼び込もうと血眼になってる中。廃業などの駆け込みなのかと思ったけどまだ一年以上時間があるから違う。改めてすごいホテルなのだと思った。でもすぐに複雑な気持ちになった。そのホテルの中には過酷な環境の下で働いているスタッフがいること。それが数字を支えてる一つの要因であることを忘れてはいけない。
おなかが落ち着き第二陣ということで和食を取りに行った。テーブルに戻ってきたら友達の様子がおかしかった。え?なになに?
近くの水盤にはしを落としたのだ。はッ?何やってるの?超うけるし。二人で大笑い。こんなのは恥ずかしくてスタッフにいえないよ。スタッフに気づかれて取ってもらったら目立つし、どう見てもうちらが落としたとしか思いようがない。笑いが止まらない。そしたらはしゃいでる友達がもうひとつ今度はテーブルに下にはしを落とした。
おいおい・・・。まずい。近くにいるスタッフがそれに気づいた。そしてすぐにはしを持ってきてくれた。水盤にはしが落ちているのをきづかれないか二人でドギマギした。でも大丈夫だった。
っなわけないじゃん。スタッフの目の動きを注意深く観察した。見逃さなかったよ。一瞬水盤に目が移ったところを。おそらく社員さんだ。私たちに恥をかかせない冷静な対応。お客様に恥をかかせないのもまたホテルマン。
品川プリンスではもう一つエピソードがある。以前IとこのHAPUNAに行き整理券をもらい別館のカフェで連絡を待ちながら時間をつぶしてた。予約が既にいっぱいですぐに入るのは無理だったから。一時間後連絡が入りカフェを出てレストランの前に行ったときに見覚えがある人がいたのだ。あれ?今さっきいたカフェのキャッシャーにいた黒服のスタッフだ。スッスッと私たちに寄り「お客様」とスっと紙をさしだされた。それは大事な整理券だった。カフェに忘れたのだ。これがないと入れない。「助かりました。ありがとうございます」感謝感謝。黒服のスタッフは普通にやってくれたけど私にはそれは長年の経験などが凝縮されてることを想像させるような事だった。別館のカフェはかなり遠くにあり上の階だ。この広く細かく入り組んでるところをお客が通る最短ルートで足早で来たのにもういる。息一つ乱れていない。いや、見せてないのだ。おそらく裏をものすごい速さで駆けないと私たちに追いつかない。それを先回りしているなんて。そして忘れたという私たちにとってとても恥ずかしいことをこの黒服はそれを感じさせずゆっくり寄り紳士にスッと差し出してくれたのだ。周りからみたらなんてこともない光景。とても勉強になった。素晴らしいホテルマンはお客様がレストランの漢字などの名前を間違って言っていても、恥をかかせないよう言い直さない。それをそのまま復唱して案内する。お客様が転んだときには自然に素早く前に立ちその姿を周りに見せないようにする。このようなことはマニュアルでも何でもない。個人個人のスタッフがその場その場でお客様を第一に考える行動だ。
そのような経験があり、また来たいホテルだと思ったんだ。
心もいっぱいになり、いよいよデザート。ショーケースから好きなだけケーキをスタッフからとってもらいルンルン。アイス、シュークリームも濃厚。
幸せ・・・。
素敵なディナーだね。
新しい時をここに刻んだ。
またくるよ
http://www.princehotels.co.jp/shinagawa/restaurant/hapuna/index.html