何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

四方山祭・四方山話 その弐

2016-08-18 23:30:05 | 自然
「四方山祭・四方山話 その壱」より

「山の日制定記念式典」に御臨席される皇太子ご夫妻に敬宮様が同行された今回のご訪問であったが、敬宮様が地方公務にご出席されるのは初めてのことだという。
「山の日」式典らしく御三方お揃いと見受けられるアウトドアのシャツで溌剌と公務されているお姿を拝見し、哀しさを覚えたと書けば奇異な感じもするが、「哀しさ」あるいは「お気の毒」という印象をもったことは否定できない。

一言で云えば、「鍵のかかった部屋」ならぬ「鍵のかかった空間」とでもいうべきか。

健脚な皇太子御夫妻や遠泳で5キロ泳がれる敬宮様ならば、自然散策路どころか上高地を囲む四方の山々を歩かれることも可能であろうが、そのような自由は許されてはいない。この日も式典の後、河童橋を歩かれるのでは?という情報もあったようだが、警備の都合や観光客へのご配慮であろう、結局河童橋を歩かれることはなかった。
明神池までにある幾つかのビューポイントは御覧になったようだが、梓川のせせらぎに耳をすませながら歩く心地よさも、岳沢伏流水に泳ぐイワナを見つける楽しみも、経験されぬまま上高地を後にされた。

多くの伴を引き連れ金満ぶりを発揮できるような大名行列を好む者もいるだろうが、自然を愛する皇太子御一家が、砂煙と排気ガスを撒き散らす車で上高地を’’通過’’されることを好まれるとは思い難い。
「日本百名山」(深田久弥)を愛読し数々の山に登りながらも、多くの登山者で賑わう槍穂をご遠慮されるご配慮や、上高地をご訪問されながら観光客を気遣い河童橋に立つことすらされない皇太子御一家をまぢかで拝見し、なんと御不自由な生活かと胸が痛んだ。
雅子妃殿下のご病気が公表された頃、その生活につき「情報遮断のような状態」と説明されたことがあったと記憶している。
もちろん身柄が拘束されているわけではないが、一時も自由がない空間に生きておられるのを垣間見ることで、その言葉を思い出すとともにニューヨーク三部作の一つである「鍵のかかった部屋」(ポール・オールスター)という題名が思い浮んだのだ。

モスクワの幼稚園に入園し、ニューヨークの小学校に入学し、高校・大学・大学院をアメリカとイギリスで過され、その後は外交官として世界を飛び回り仕事をされていた雅子品殿下。御成婚前の29年の人生のうちの半分以上の時間を海外で生活されていた雅子妃殿下。
それが、住まいを一歩出ることも、ご訪問先で散策することも、自由には出来ない生活になられた。
御成婚前の雅子妃殿下の空間的広がりを考えれば、この御不自由な生活が情報遮断「鍵の掛かった部屋(空間)」に思えて哀しくなったのだが、居合わせた人々も一様に「ご不自由なことでお気の毒だね」と言っていた。
にもかかわらず千代田側という人間は、まるで男児を産まぬ女には、ご褒美である海外公務など以ての他だと言わんばかりに「そんなにも海外に行きたいのか」と言い放つことで、問題を刷り替え雅子妃殿下を貶めていったのだ。

妙にハイテンションになった山pとは対照的に、私は「人にとっての真の幸せとは何か」などと考えながら歩いていたのだが、明神池での敬宮様のお写真を後日拝見し、救われたような気もしている。


上高地ルミエスタホテル「上高地通信」より 
http://www.lemeiesta.com/blog/2016/08/entry-1252.php

この、この日一番の笑顔を敬宮様にもたらせたのは、霊験あらたかな穂高神社の穂高見神だと信じている。
というのも、各紙「皇太子御一家は明神池を散策された」とばかり報道しているが、明神池は穂高神社奥宮の拝所の奥に広がる鏡のように透明感のある美しい池のことであるため、明神池を散策というのは必ずしも正確な表現とは思えないからだ。


そして、この穂高神社奥宮に接している「嘉門次小屋」の方が撮られた写真こそが、眩いばかりの敬宮様の笑顔だが、この「嘉門次小屋」も実は皇室に縁がある。嘉門次小屋といえば、初代・上條嘉門次氏が「日本アルプス」を世界に知らしめたW・ウェストンを案内したことで有名だが、実は山の宮様といわれた秩父宮殿下が奥穂から槍へ縦走された折も案内役を務めている。

穂高見神と山の宮様に導かれての、敬宮様の笑顔だと拝察している。
そして、これからも八百万の神々や皇室の御先祖様が、皇太子御一家を守って下さるように祈っている。


ちなみに、私が今年どうしても奥穂に登りたかった理由も穂高見神にあり、ワンコのために奥穂の頂上の穂高神社の嶺宮にお参りしたかったからだが、そのあたりについては、又つづく。
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