gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

記事のタイトルを入力してください(必須)

2017-07-11 11:45:40 | 日記
他臓器との比較を行った実験報告はない.しかし,これまでの免疫抑制剤の投与
実験結果を参考にすれば,移植四肢は内臓器移植と比較して高い抗原性を有してい
ると考えられる.内臓器移植では移植後,FK506 を短期間投与したのみで中止後も
生着する免疫寛容が高率に獲得されるが,四肢移植ではこの現象はほとんど起こら
ず移植肢は拒絶される.また,免疫抑制剤の投与濃度を低下させると内臓器移植は
生着するが,その同じ濃度では移植四肢は拒絶されることである.Murrayらの報告
54)でも組織,臓器で最も高い抗原性を有しているのは皮膚で,次いで肺,肝,心,
腎の順と報告されている.
7)免疫寛容の導入
四肢移植実験で免疫寛容を獲得するには,免疫抑制剤の選択,MHC のマッチン
グ,キメリズムの成立がキーポイントである.これまで四肢移植は抗原性の強さが
問題で,レシピエントに免疫寛容が導入されたという報告は臓器移植と比較して極
めて少ない.1991 年,Kurokiら 41)は Lewis ラットから PVG への四肢移植モデルで,
FK506 を 0.64mg/kg で移植後 2 週間投与したところ,20%のレシピエントに免疫
寛容が得られ,移植肢が恒久的に生着したと報告した.寛容導入の機序として胸腺
における Clonal Deletion,またはClonal Anergy が成立するためと考察している.2001
年,Foster ら 19,20)はラット MHC Major Barrier 間で,移植前にドナー骨髄細胞移植
を行い,FK506 を投与することによって,まずレシピエント内にキメリズム(同一
14
個体内に異なる遺伝子を持つ細胞が共存する状態)を成立させる.その後に四肢移
植を行うと,高濃度のキメリズムを有するレシピエントは移植肢が薬剤なしでも生
着し,免疫寛容が導入されたことを報告した.2001 年,Lee ら 45)は,MHC が明確
な豚を用いて Minor Mismatch間で後肢移植を行い,移植後 12 日間 CS を投与する
ことにより,25 から 47 週間まで移植肢が生着したと報告している.MHC のマッチ
ングと免疫抑制剤の短期投与により長期の移植肢生着が得られたとする報告はラ
ットでも数編みられる.
8) GVHD (Graft Versus Host Disease)
四肢移植は移植片内に骨髄が含まれているため,GVHD の発生が危惧される.
1988 年,Hotokebuchi ら 29,30)はラット四肢移植モデルを用いて CS の長期投与を行
うと移植肢は生着するが,移植後 1 年では約半数に慢性 GVHD が生じたと報告し
ている.1989 年 Hewitt ら 5)は骨髄移植後に発症する急性,慢性 GVHD の症状として
皮膚,真皮の炎症と脱毛,肝,胃腸障害による体重減少が生じると報告した.しかし,
Foster ら 19,20)はレシピエントに高濃度のキメリズムが成立しても GVHD は軽度か
全く発症しないと報告している.四肢移植後の GVHD の発症については,その発
症機序や頻度について,いまだ不明な点が多く,今後の課題である.
9)大型動物を用いた四肢移植実験
ラットと高等動物には免疫システムに違いがあり,その主な機序は,血管内皮細
15
胞における Class II 抗原の発現がラットでは欠如していることにある.MHC が明確
な大型動物としては,最近豚が頻繁に用いられている.手同種移植を行ったルイビ
ル大学では,豚前肢の同種移植を行い,CS と MMF の複合投与により 10 匹中 3 匹
が移植後 90 日まで拒絶なく生着したと報告している 64).また,2001 年,Lee ら 45)
は,MHC が一致した豚間での後肢移植モデルでは,移植後 CS を 12 日間投与する
ことで生着し,レシピエントにはキメリズムが成立するとともにドナー特異的免疫
寛容が導入されることを報告している.
霊長類を用いた実験では,1986 年,Daniel ら 11)は,ヒヒ手同種移植を行い CS
とステロイドを用いて免疫抑制を行った.移植後 4 肢とも拒絶を受け,1 肢のみ 304
日まで生着したが,最終的には慢性拒絶と思われる反応で壊死した.1987 年 Stark
ら 60)は,ヒヒ手同種移植を行い,高濃度の CS(20mg/kg)を投与したが長期生着
したのは 1 肢のみであったと報告している.1992 年 Hovious ら 31)もヒヒを用いた
実験を行い,移植後 CS(25mg/kg)を投与したが 12 手中 10 手が拒絶され,霊長
類手同種移植は CS の単剤投与のみでは生着しないと述べている.
10) 遺伝子治療
これまで臓器移植の実験で試みられた遺伝子治療による免疫抑制には,IL-10,
IL-4,TGF 等が報告されている.しかし,現在最も注目されているのは,T 細胞の
抗原認識と活性化を促す二次シグナルの抑制に働く CTLA4-Ig遺伝子の導入であ
16
る.ラット肝,心移植では,本遺伝子治療で移植片の永久生着が得られたと報告し
ている.四肢移植実験では,Iwasaki,Minami 等がラットを用いて免疫抑制効果に
ついて報告している 33,34).
17
4.手同種移植の臨床応用,歴史,現況
1)エクアドルにおける初めての手同種移植
これまで 10 例の四肢同種移植臨床例が報告されている.初めての手同種移植は,
1964 年,南米エクアドルで行われた.論文報告はされているものの詳細は不十分で
ある.患者は,爆発事故で失った左手再建のために手の同種移植が行われた後,ア
ザチオプリンとステロイドの免疫抑制薬を投与されたが,急性拒絶反応を抑制する
のに不十分であったため,移植後 2 週間で移植手は拒絶壊死に陥った.術後の免疫
学的テストもされておらず,術後経過の情報にも乏しい.
2)新しい免疫抑制剤の開発
臓器移植が世界的に認められた治療法として一般的になりつつあるのは,免疫抑
制法の飛躍的進歩によると言っても過言ではない.免疫抑制剤による拒絶反応抑制
療法の確立は1960年代に遡る.古典的な免疫抑制剤であるアザチオプリン(AZA),
ステロイドは,確実な免疫抑制効果を示し,1962 年アメリカで腎移植後の AZA と
ステロイドの併用による移植免疫療法が確立された(第 1 世代免疫抑制療法).し
かし,これらの薬剤による生体腎移植 1 年生着率は約 70%であり,決して安定した
臨床成績とは言えなかった.
1980 年代になって強力な免疫抑制剤サイクロスポリン(CS)とタクロリムス
(FK506)が登場し,第 2 世代免疫抑制療法が確立された.臓器移植生着率は飛躍
18
的に向上し,腎移植では 1 年生着率は生体腎で 94%,死体腎で 82%に l 向上した.
これらの薬剤は,実験的研究で四肢同種移植においても優れた免疫抑制効果を有す
ることが証明され,諸外国では長期投与による薬剤の副作用は懸念されるものの,
手同種移植へ応用できるのではないかと判断され,以下の 9 症例に用いられ,症例
報告されている.
3)フランス例 12,15,16,17,21,35,36)
CS や FK506 を用いた新しい免疫抑制療法を手同種移植に初めて応用したのは,
フランス例である.1998 年 9 月 23 日,フランス,リヨンで各国から集まった手の
外科医,移植医等の移植チームによって 13 時間の手同種移植手術が行われた.本
例は,術後当初,急性拒絶反応は,FK506(15ng/ml),mycophenolic acid(2g/day),
predonine(20mg/day)などの免疫抑制剤によって抑制されていた.術後 2 度の拒絶反
応と高血糖,腎機能異常が認められ,その後の薬物療法やリハビリテーションに問
題が生じ,本人の希望で 2001 年 2 月 2 日,ロンドンの病院で再切断された.
2000 年 1 月 12 日,50 人の移植チームが,リヨンで両手同時移植に臨んだ.患者
は 33 歳男性であり,自宅で作成したロケットが爆発して両手を失った.フランス
では両手移植が最も移植適応があると判断しており,今後数例の移植を予定してい
る.
19
4)アメリカ例
1999 年 1 月 25 日,ルイビル大学 Jewish病院において,手移植チームによって利
き手である左手の同種移植手術が行われた.脳死ドナーからは肝・腎など移植臓器
が取り出された後,手が採取された.術後免疫抑制療法にも拘わらず,数度の皮膚
拒絶反応が生じたが,現在まで移植手は生着しており,機能的にも正中,尺骨神経
は順調に回復していて,両手で使わねばならないボタンの付け外しや移植手による
ボールの投球が可能となっている.免疫抑制剤は FK506(20ng/ml),MMF(1g/day),
Predonine(20mg/day)で急性拒絶反応を抑制していたが,3 度の拒絶が生じ,投与量
を増量して治療できた.本症例は,臨床報告やインターネットで詳細に術後経過が
紹介され,国際的にマスコミにも取り上げられ,今後の経過が注目されている.
2001 年 2 月 16 日,同病院において 2 例目の手移植術が行われた.患者は 36 歳男
性であり,手術は 18 人の手移植チームで行われた.手術は 13 時間を要し,免疫抑
制剤の投与により現在まで移植された手は生着している.
5) 中国例
1999 年 9 月 21 日,中国広州南方病院において同日,2 つの手同種移植術が行わ
れた.患者は 39 歳男性と 27 歳男性であるが,その後の術後経過詳細については報
告されていない.
20
6) オーストリア例 57)
2000 年 3 月 8 日,オーストリア,インスブルックにおいて世界で 2 例目の両手同
時移植が行われた.患者は 45 歳の警察官で,1994 年に爆発事故で両手を失った.2
つの移植チームが 17 時間かけて手移植手術を行い,現在まで免疫抑制剤の投与に
より両手とも生着している.物をつかむことなどの日常生活動作が改善しており,
患者の満足度は高いと報告されている.
7) マレーシア例
2000 年 5 月 18 日世界初の一卵性双生児間での乳児の前腕,手同種移植術が行わ
れた.患児は生後 1 ヶ月の女児で先天性に左上肢の高度の奇形があった.もう一人
の姉妹は巨大髄膜瘤により死亡したため健常であった左前腕,手を移植した.移植
後,免疫抑制剤は一切用いずに移植手は生着し,年齢的因子を考慮すると旺盛な神
経再生が期待され,上肢機能は健常に近いほど回復する可能性がある.術後約 2 年
を経過して,移植手の機能回復は良好とのことである.
8) イタリア例
2000 年 10 月,フランス,リヨンでの初の手同種移植チームの一員であった
Lanzetta 教授が,イタリアのモンザで 35 歳男性の右手移植術を 15 時間かけて行っ
た.詳細は不明である.
21
9) 成功例と失敗例
これまでに行われた手同種移植は計 10 症例である.1 例目は第 1 世代の免疫抑制
療法が確立した直後の移植症例であるため,移植手に対する有効な免疫抑制剤の投
与が行われず拒絶壊死に陥ったと考えられる.第 2 世代の薬剤である CS や FK506
を使用するようになったフランス例からは急性拒絶のコントロールは可能であり,
以後アメリカの 2 例の手同種移植でも移植手は生着している.移植手の機能回復に
ついては,アメリカ例等はリハビリテーションのプログラムを作成し,手の機能を
最大限に発揮するよう訓練が進んでいる.フランスの 1 例目は術後,数度の拒絶反
応発現のための免疫抑制集中療法の苦痛と手の機能回復が患者の期待とかけ離れ
ていたこと,更には移植した手が自分の手でなく,死人の手として,自分の視野の
中にあるなどの精神的問題のために切断した.手同種移植が患者の希望に合うよう
成功するためには,移植手の生着は最低条件であり,それに加えて優れた手の機能
回復を獲得しなければならない.そのためには,移植チームは移植専門医と手の外
科専門医の密な協力が不可欠である.更には,現在までの,臨床例の経験から,患
者の精神的問題に対して心理学的説明,治療があらたに必要となった.つまり,予
期せぬ拒絶反応に対する免疫抑制療法の苦痛,死人の手が自分についており,それ
が,嫌でも自分の目で見えるという現実に患者がいかに対応できるかという問題の
解決も必要となっている.
22
5.運動器同種移植の臨床応用
1)骨移植
四肢移植は,四肢を形成する各種構成体の複合組織移植であり,言い換えれば骨,
関節,神経,筋肉(腱),皮膚を同時に栄養血管を吻合して移植するものである.
逆に,各種構成体を別々個々に移植する臨床応用の試みもこれまで行われてきた.
同種骨は,冷凍保存されて既に細胞が生存していない状態での移植ではあるが,一
般的に臨床で広く応用されている.この同種骨は抗原提示性はほとんど無いものの,
移植床との骨癒合が不良であったり,病的骨折の危険性が高率であるため,長管骨
で荷重を支えるような機能は期待できない.その欠点を補うため骨細胞が生存した
まま同種移植する,つまり血管柄付き同種骨移植が 1988 年 Doiら 13)によって行わ
れた.患者は 2 歳の男児で,右先天性脛骨偽関節症で 2 回の手術を受けたが失敗に
終わり,母親の腓骨を血管柄付きで同種移植された.術後は CS 10mg/kg/dayで免疫
抑制されたが,血中濃度が移植後 2 週で一時的に減少し,移植骨は拒絶を受けた.
しかし,その後自家骨移植術を追加し,最終的に両端の骨癒合が得られ,現在は歩
行,走行など全く機能的問題もなく,また,免疫抑制療法,同種移植の合併症は認
めていない.
2)関節移植
1996 年,独の Hofmann ら 28)は,血管柄付き全膝関節同種移植を臨床応用し,現
23
在まで 4 例に施行した.症例は全例,人工膝関節では再建不可能な膝重度外傷であ
った.ドナーは脳死患者であり,大腿骨遠位から脛骨近位までの全膝関節を膝蓋骨
を含めた膝進展機構を温存したまま血管柄付きで同種移植を受けた.術後の免疫抑
制剤は CS 6mg/kg/週と Aza 1mg/kg/週を投与され,全例拒絶反応は抑制された.3
例は良好な成績であり,膝の可動性も 120 度以上で就業やスポーツが可能であった.
1 例は感染が再燃し,免疫抑制剤を中止せざるを得なかったため移植膝は拒絶され,
現在再移植を計画している.
3)神経移植
神経移植は,神経再生を促すのに重要な役割を果たす Schwann 細胞が移植床から
早期に栄養されて生存するため,血管柄付きではなく移植されるのが一般的である.
ただし,移植床が悪い場合や長距離の神経長を再建する場合は血管柄付きの方が神
経再生は良好であるという結論が得られている.同種移植の場合,神経再生を促す
のは移植神経内の Schwann 細胞であるが,軸索はレシピエントの軸索が基底膜内を
進展するため神経再生後に免疫抑制剤を投与中止しても再生軸索は温存される.血
管柄付きで同種移植を行えば,再生軸索の伸長は良好であるが,免疫抑制剤を中止
した後の軸索変化は高度であるという実験結果が報告されている.神経同種移植後
一過性に免疫抑制剤を投与した臨床例は,2001 年 Mackinnon ら 50)によって 7 例が
報告されている.自家移植では再建不可能な神経欠損例に対して,脳死患者から採
24
取した末梢神経を 7 日間 5 度で保存した後に移植した.移植後 CS または FK506,
Aza,ステロイドを 6 ヶ月のみ限定して投与したところ,6 例で運動機能と知覚が
回復したが,1 例で移植神経の拒絶が生じ,神経回復が得られなかった.
4)筋肉移植
現在まで筋肉を同種移植したという臨床報告はない.
25
6.手同種移植の臨床応用マニュアル
1)移植適応
手同種移植を受ける患者(レシピエント)は以下の条件を満たすことが望ましい.
(ア)年齢 移植時年齢は,内臓器移植と同様に 20~65 歳が適応と考えられる.
神経再生を必要とする場合は,年齢は若年者ほど好ましい.小児においては,イン
フォームド・コンセントの面から,四肢機能回復と生命の危険性との比較は,両親
といえどもその決定権は法的問題を生じる可能性があるので,手の同種移植は制限
するべきである.
(イ)切断原因 外傷切断のみが適応である.先天性手奇形,欠損は,血管,神経,
筋腱の欠損,異常を伴っている事が多く,移植手の機能的回復が困難と考えられる.
悪性腫瘍切除後の手欠損に対しては,移植後の免疫抑制剤投与が悪性腫瘍の再発や
新たな腫瘍出現が危惧されるため好ましくない.
(ウ)切断部位 両前腕切断で手外在筋筋腱移行部より末梢部の切断に最も適応が
ある.前腕切断の再接着の結果を考慮すると,手内在筋を司る尺骨神経,正中神経
の神経再支配が可能であり,橈骨神経を含めた手の知覚回復が得られるからである.
片側切断例にも手同種移植の適応はあるが,QOL の向上を考慮すると両側切断の方
が望ましい.上腕切断では神経回復が困難で,患者が移植肢の機能に満足できな可
能性が高い.指の移植は機能回復は良いが,免疫抑制剤の投与のリスクを考えれば
26
患者の QOL を改善するまでには至らないと考えられる.また,免疫学的にも移植
肢の量が少ない指の移植は,むしろ激しい拒絶反応を引き起こす可能性がある.
(エ)切断後経過年数と切断端の状態
上肢同種移植で最も機能的適応のある前腕末梢部切断に対する同種移植の機能的
予後を左右する因子として,レシピエント側の神経断端と前腕筋の状態が重要であ
る.レシピエント中枢側の筋肉,神経の条件が悪い場合には,神経,腱の端端縫合
が不可能で神経移植や腱移行術などの追加手術を必要とすることが,既に報告され
ている.従って,手切断から手同種移植までの期間は短いほど,また,切断手術の
内容が明確になっているほど,手同種移植手術は容易であり,機能的予後も良い.
(オ)既往歴 免疫抑制剤のリスクを考慮すると,糖尿病や易感染性,悪性腫瘍の
既往歴がある患者は禁忌である.また,消化管潰瘍や心筋梗塞,脳血管障害を有する
症例は適応を控えるべきである.手同種移植は,免疫抑制剤の連日投与や拒絶反応
に対する不安など患者に精神的苦痛を強いる可能性がある.そのため,術前の精神
科的評価は重要であり,精神疾患の既往症を有する患者は適応を控える.
(カ)臓器同種移植患者への手同種移植
腎移植などの同種移植患者へ手の同種移植を行う場合は追加免疫抑制療法が不
要なため,手同種移植の適応が広いとの意見がある.しかし,本邦における腎移植
は同朋間の同種移植が多く,免疫学的寛容導入も容易であり,また,臓器特異性の
27
問題もあり,腎移植が成功したからといって,同じ免疫抑制療法で手同種移植が成
功する確証はなく,不用意に適応を拡大すべきでない.更に,腎移植患者は長期に
わたって人工透析治療を受けており,前腕血管の状態は血管吻合には最悪であり,
吻合部血栓のため,移植手が壊死に陥る危険性は高いことが予測できる.
-移植前レシピントチェックリスト-
病歴聴取,理学所見,血圧測定
感染症検査:肝炎ウイルス,梅毒,HIV,ツベルクリン検査,喀痰,胃液,咽頭,
尿検査
血液検査:血液型,血液一般,生化学検査,血清検査(CRP,RA,ASO,抗核抗体,
免疫グロブリン),腫瘍マーカー:AFP,CEA,CA19- 9,CA125 など
組織適合検査:HLA タイピング,リンパ球クロスマッチテスト
内分泌学的検査:耐糖能(FBS,HbA1,HbA1c,OGTT),レニン活性,甲状腺ホルモン
など
生理機能検査:ECG,呼吸機能,心臓超音波検査
画像診断:胸腹部単純 X 線,健側手 MD 法,など
消化管検査:上部消化管内視鏡,便潜血反応,
手断端部評価:X 線,MRI,電気生理学的検査,
28
精神科検査:内臓器官の移植と違い,死人の手を移植し,その移植した手が常に
自分の目に触れることの異常観念を理解し,受け入れられるかの心理学的適応が
重要である.また,生涯にわたり,免疫抑制療剤を服用し続け,何回かの拒絶反
応の出現に伴う苦痛も了解していなければならない.この心理カウンセリングは
期間をあけて,数回は行う必要がある.1 回でも患者が移植手術を躊躇した場合に
は,手術は中止すべきである.
産婦人科検査(女性のみ)
2)ドナー手の選択
手同種移植のドナーは以下の条件を満たすことが望ましい.
(ア)ドナー選択
脳死移植,死体移植,いずれもドナーとしては可能であるが,脳死移植患者から
の移植が最も望ましい.移植手の中で最も虚血に弱い組織は筋肉である.手内在筋
の虚血再長時間は再接着手術の結果から考えると 8 時間が限界と予想される.移植
手術の準備などを考慮すると心臓死患者からの移植は虚血時間が 8 時間を越す可能
性が高く,手内在筋の機能回復が不良であると考えられる.脳死移植では虚血時間
は最短ですむため移植手の機能回復も良好と予想される.生体移植は,祖父,祖母か
ら孫への手移植を希望する
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 記事のタイトルを入力してく... | トップ | 記事のタイトルを入力してく... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。