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2017-07-11 12:08:55 | 日記
適応〉
切断指を再接着するか、断端形成するかは、


1.損傷程度

2.切断部位

3.阻血時間

4.社会的要因(年齢・職業・モチベーションetc)

など多くのファクターが関与している。



1.損傷程度

〈鋭利切断〉
挫滅や引き抜き切断より成功しやすく機能も良い。



〈挫滅切断〉
挫滅があっても末梢側が温存されている場合はデブリドマンを施行することにより再接着術は可能となる。



〈引き抜き切断〉
血管が広範囲に挫滅されている場合は、たとえ血管移植をおこなっても生着は困難な場合も多く、たとえ生着してもその機能は不良となるのでその適応は慎重となるべきである。



〈多重切断〉
予後不良となり適応から外れる。

※全体が圧挫されているような指や熱も加わって切断された指も再接着は困難であることが多い。



2.切断部位
〈母指切断〉と〈多数指切断〉
再接着術の絶対適応である。

⇒母指は手の中で最も重要な指であり、手の機能のおおよそ40%を占めている。



〈単指切断〉
切断が遠位(玉井zone2,3程度)であれば機能予後は良くなるので再接着の適応となる。
※ただし、あまりにも遠位では技術的に難しくなり適応から外れる。



〈玉井のzone分類〉

f:id:fullfull43110:20150505194610j:plain



〈指尖部の切断〉

f:id:fullfull43110:20150506171357j:plain





〈基節部での切断〉
一般的に術後機能が不良であり、労働者など手を良く使用する患者においては適応を慎重とする。



〈下肢切断〉
義肢の機能は良好で、再接着肢の機能不良が生じることが知られている。
→小児以外に再接着の適応なし



〈上肢切断〉
・前腕遠位の切断肢再接着術の機能予後は良好である為、適応となる。
・前腕近位部切断や上腕切断については、機能予後不良となることも多く、義肢の機能が再接着肢より良い場合もある為、その辺りについても考慮する必要がある。





3.阻血時間
阻血時間というのは組織の血行がなく酸素供給がない状態を示す。
阻血時間が長くなれば、その予後も悪くなる。

温阻血のほうが酸素消費量も多く、活性酸素も多く発生するので、冷却にて保存する必要がある(しかし凍らせてはいけない)。

通常は常温下で6-8時間の阻血が限界とされ、0℃~4℃に保存された場合は12~24 時間の阻血に耐え得るとされているが、長時間の阻血後でも再接着に成功する症例も多く報告されている。







4.社会的要因
若年者では如何なる切断も再接着の適応となる。
しかし60才以上の高齢者の場合では、神経再生が一般的に不良で長期間のリハビリが必要なことを考慮する必要あり。
⇒患者自身に強い意思がある場合にのみ適応とする。

女性や接客業では外観上から単指切断でも適応とする。


※以下のような患者は再接着の適応にはならない。

① 前腕近位切断で阻血時間が6時間を越える
② 生命を脅かす合併損傷がある。
③ 多部位切断
④ 高度汚染
⑤ 全身合併症がある
⑥ 自傷行為、精神病患者





〈再接着による問題〉
1.replantation toxemia(再接着中毒症)
長時間(6 時間以上)の温阻血におかれた切断肢を再接着した場合、
壊死筋からの代謝産物が体循環に入り、ショックを含む全身状態への悪影響を生じた状態。
具体的には、再接着術直後の高K血症による心停止、代謝性アシドーシス、ミオグロビン血症による腎不全などを生じる。
近位切断(筋量が多い為)や挫滅や汚染が高度な切断肢・指で生じやすい。



2.阻血再還流障害

不十分な適応と外科的手技により生じることがある。


3.Sepsis(敗血症)

例え生着したとしても局所感染から敗血症を併発することがある。


4.Non-functional limb(無機能肢)

敗血症を併発し、長期の経過で廃用肢となる場合がある。

⇒結果的に再切断術を余儀なくされる可能性もある為、再接着術の是非については慎重に考えていく必要がある。









〈再接着の実際〉



1.切断部位の評価と前準備
切断部位は洗浄しデブリドマンを行う。拡大鏡を用いて、損傷範囲を評価し、再接着術に適しているかどうか判断する。

※損傷組織は血栓形成を促し、その結果壊死に陥ってしまうこととなるので、できるだけ完全に切除する必要がある。





2.切断中枢部の展開

※展開とは、デブリドマン、動脈と神経の剥離同定、骨断端の剥離展開と形成、伸筋腱・屈筋腱の剥離展開のこと。



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3.骨接合

※骨折部は血管神経の端端吻合のために1cm までの短縮を許容する。



骨固定にはC-wire (K-wire)固定あるいはplate 固定が行われる。



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4.腱縫合

骨固定が終了したら次に背側の伸筋腱を縫合し、続いて屈筋腱を縫合する。
伸筋腱は術後療法の要となるので出来るだけ腱移植によるaugumentationを加えた方が良い。

また、屈筋腱も術後の早期可動域訓練に耐えうるように、力学的に確実な方法を選択する。
※現在最も汎用されているのはYoshizuⅠ法(Kessler-Tsuge 法)



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⇒これらのマクロ手術が終了したら、いよいよ顕微鏡下のマイクロサージャリーへと移る。





5.動脈吻合と神経縫合

手術顕微鏡を用いて動脈吻合を行う。
そして、神経縫合を動脈吻合に続いておこなう。
※吻合したら、クランプを開放する前にフィブリン糊を1滴たらして補強する。



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6.静脈吻合

静脈は動脈よりも細く、またもろい為、術後に血栓形成をきたしやすい。
慎重に行う必要がある。



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7.創閉鎖と固定

最後に皮膚を閉鎖する。
皮膚の一次損傷と腫脹のために植皮が必要になることも多い。



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8.術後管理

切断指は損傷している血管を吻合している為、血栓形成の危険性は高い。
⇒抗凝固療法が必要となることもある。
※以前は静脈からの全身投与を施行していたが、近年は経動脈投与をすることもある。









〈症例〉

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玉井zone IV(基節部での切断、腱損傷のzone II nomans land に相当する)での切断は従来、機能予後が悪いとされてきた。
※長期間のリハビリテーションをしても高度の関節拘縮と腱の癒着が生じるため。



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しかし、近年開発された手指PIP関節に対する可動式創外固定器であるCompass PIP joint hinge(CPJH)を再接着術後に装着することで、関節拘縮、腱癒着が回避され、高い機能が獲得されるようになってきている。



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【References】

・Microsurgery による再建-歴史、切断肢指の治療、血管損傷の治療

・切断肢指の治療

・第39回 日本血管外科学会学術総会 マイクロサージャリー(微小外科)の実際







fullfull43110 2年前
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