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2017-07-11 12:37:40 | 日記

熊本機能病院ホーム > 診療科 > 整形外科(研究成果)
診療科

整形外科(研究成果)
研究一覧
神経再生誘導チューブ RNTC06の有用性について
神経再生誘導チューブ RNTC06の有用性について
熊本機能病院 整形外科 中島 英親
末梢神経断裂後の間隙を埋めるための治療法
末梢神経断裂後の間隙を埋めるための治療法として、下記3つがある。
神経移植は数多く施行されていますが、神経伸展は珍しいと思われる。
神経移植
人工神経
神経伸展
これらは落合先生たちの創外固定型伸長器のシェーマである。
ノブを1回転させると1mm伸長される。動物実験では10mm前後伸長が可能であった。
創外固定型伸長器のシェーマ
A:創外固定型神経伸長器のシェーマ。ノブ(矢頭)を1回転させると神経断端が1mm伸長される。
B:神経伸長のシェーマ。神経伸長距離(X)は、神経の欠損長より7.8mm(Y)長く行い、神経断端を2mm切除後縫合した。
神経欠損部架橋材料である人工神経の特徴
生体適用性がよく、内腔への瘢痕組織の侵入を妨げること
生体吸収性が神経欠損部の架橋形成まで残存すること
再生神経が接着できるような表面積が大きく、軸索の伸展しやすい表面形状を持つこと
圧迫されても狭窄しない力学的強度をもつこと
栄養を補給できるよう物質透過性がよく、内腔へ血管が侵入可能であること
人工神経の素材としては、ポリグリコール(PGA)酸共重合体や生物由来のコラーゲンを使用している。
神経再生誘導チューブ
吸収性縫合糸として臨床使用されているポリグリコール酸(PGA)糸を編んで成形した筒状の外面をコラーゲンでコーティング処理をし、筒内面にはコラーゲンスポンジが充填されている神経再生誘導チューブである。
コラーゲンスポンジが充填されている神経再生誘導チューブ
神経再生誘導チューブの構成
神経再生誘導チューブ
神経再生誘導チューブ

断面の走査型電子顕微鏡写真
断面の走査型電子顕微鏡写真
医療機器として実績のある原材料の組み合わせ
生体内分解・吸収性材料から構成される
数か月で分解・吸収される
神経再生誘導チューブのサイズ構成
チューブのサイズは、内径が0.5mmから4.0mmまでで、長さはすべて50mmとなっている。
A:内径 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
B:長さ 50 50 50 50 50 50 50 50
(単位:mm)
神経再生誘導チューブの使用方法
使用方法は、チューブを適当な長さに切断し、
生理食塩水に10分~1時間程度漬けたあとに神経と接合する。
1
切断

神経欠損長+5~10mmを目安に
RNTC06を適当な長さに切断
2
漬ける

PGAの色が変わる程度にRNTC06を
生理食塩水に10分~1時間程度漬ける
4
接合2

中枢側、末梢側同様に接合する。
3
接合

RNTC06と神経を8-0~10-0の
縫合糸で接合する。
症例

まず症例の切開部に目印をつける
神経が切断されて形成された神経腫を切断すると、神経欠損ができる
そこに人工神経を置き、神経等縫合する
判定基準
SW法の判定基準は以下の通り。
SW法
優 良 不良
正常:1.65-2.83
軽度触覚低下:3.22-3.61 防御知覚低下:3.84-4.31 防御知覚欠如:4.56-6.65
症例概要(当院8症例)
熊本機能病院における8症例の概要は以下の通り。
SW法の結果は優か良であったが、2PDはstaticもmovingも不良例がある。
症例
1
2
3
4
5
6
7
8
症例 年齢 性別 期間 再建神経 移植径(mm) 移植長(mm) 術前 4週 8週 12週 24週 36週 SW s2PD m2PD
症例 年齢 性別 期間 再建神経 移植径(mm) 移植長(mm) 術前 4週 8週 12週 24週 36週 SW s2PD m2PD
1 62 男性 4か月 右示指橈側指神経 1.5 20 5.18 4.74 4.31 4.31 4.31 4.31 良 不良 不良
2 20 女性 18か月 左中指尺側指神経 0.5 30 4.56 4.56 4.08 3.84 3.22 3.61 優 不良 優
3 33 男性 4か月 右示指橈側指神経 2.5 38 5.88 4.56 4.74 4.17 4.31 3.61 優 良 良
4 35 女性 0日 左母指橈側指神経 1 27 4.93 4.56 4.56 3.61 4.08 3.61 優 優 優
5 50 男性 7日 左示指橈側指神経 0.5 7 5.88 5.88 4.17 3.61 4.08 3.22 優 優 優
6 52 女性 2.5か月 左母指尺側指神経 2 27 5.07 6.1 5.07 5.46 4.74 4.17 良 優 優
7 55 男性 2日 右尺骨神経知覚枝 2 25 5.46 4.74 4.17 4.17 4.31 4.31 良 不良 不良
8 37 男性 21日 左橈骨神経知覚枝 2 23 5.18 4.56 5.18 5.07 4.56 4.31 良 優 優
SW法による評価
SW法による評価グラフ。改善しているのが分かる。
SW法による評価
有効性の解析 副次評価項目 SW法 改善率 FAS
人工神経群と自家遊離神経移植軍の改善率の推移。共に変わりはない。
  優 良 不良 良以上(改善率) 改善率の差
〔RNTC06群-自家遊離神経移植群〕
(95%信頼区間)
4週時 RNTC06郡 4 5 49 9(15.5%) -17.8%
-56.7% ~ 21.0%
自家遊離神経移植郡 1 1 4 2(33.3%)
8週時 RNTC06郡 7 16 35 23(39.7%) 6.3%
-33.4% ~ 46.1%
自家遊離神経移植郡 1 1 4 2(33.3%)
12週時 RNTC06郡 8 22 28 30(51.7%) -14.9%
-54.8% ~ 24.9%
自家遊離神経移植郡 2 2 2 4(66.7%)
24週時 RNTC06郡 13 22 22 35(61.4%) -5.3%
-45.0% ~ 34.5%
自家遊離神経移植郡 2 2 2 4(66.7%)
36週時 RNTC06郡 22 26 9 48(84.2%) 17.5%
-21.3% ~ 56.4%
自家遊離神経移植郡 2 2 2 4(66.7%)
SW法 改善率の推移
SNAPの測定結果
逆行性、順行性ともに+であったものは2症例で、逆行性のみが2症例であった。
症例 年齢 性別 期間 再建神経 SNAP
逆行性 順行性
1 62 男性 4か月 右示指橈側指神経 + -
2 20 女性 18か月 左中指尺側指神経 + +
3 33 男性 4か月 右示指橈側指神経 未実施
4 35 女性 0日 左母指橈側指神経 + 未実施
5 50 男性 7日 左示指橈側指神経 + +
6 52 女性 2.5か月 左母指尺側指神経 - -
7 55 男性 2日 右尺骨神経知覚枝 - -
8 37 男性 21日 左橈骨神経知覚枝 未実施
症例1:右示指橈側指神経
右示指橈側指神経の図解
右示指橈側指神経の記録
症例2:左中指尺側指神経
左中指尺側指神経の図解
左中指尺側指神経の記録
症例4:左母指橈側指神経
左母指橈側指神経の図解
左母指橈側指神経の記録
症例5:左示指橈側指神経
左示指橈側指神経の図解
左示指橈側指神経の記録
症例6:左母指尺側指神経
左母指尺側指神経の図解
左母指尺側指神経の記録
症例7:右尺骨神経知覚枝
右尺骨神経知覚枝の図解
右尺骨神経知覚枝の記録
運動神経(尺骨神経)損傷に用いた神経再生誘導チューブ
症例 年齢 性別 病名 神経の欠損 手術日 経過観察期間
1 20 男性 右尺骨神経損傷(肘) 13mm H26.6.2 1年6ヶ月
2 67 男性 右尺骨神経損傷
(手関節より中枢5cm) 15mm H26.10.31 1年9ヶ月
症例1:右尺骨神経再建
●尺側手根屈筋(随意収縮時)

手術日:平成26年06月02日
 
右尺骨神経再建 尺側手根屈筋(随意収縮時)の図解
測定日:平成27年07月06日
(1年1か月後)
右尺骨神経再建 尺側手根屈筋(随意収縮時)のグラフ
測定日:平成28年01月21日
(1年7か月後)
右尺骨神経再建 尺側手根屈筋(随意収縮時)のグラフ
随意収縮に伴う多相性の波形が減少傾向にある。
●第一背側骨間筋(随意収縮時)

手術日:平成26年06月02日
 
右尺骨神経再建 第一背側骨間筋(随意収縮時)の図解
測定日:平成27年07月06日
(1年1か月後)
右尺骨神経再建 第一背側骨間筋(随意収縮時)のグラフ
測定日:平成28年03月24日
(1年9か月後)
右尺骨神経再建 第一背側骨間筋(随意収縮時)のグラフ
持続時間が長く低振幅ではあるが、MUPが確認出来るようになった。
症例2:右尺骨神経再建
●第一背側骨間筋(随意収縮時)

手術日:平成26年10月31日
 
右尺骨神経再建 第一背側骨間筋(随意収縮時)の図解
測定日:平成27年10月01日
(11か月後)
右尺骨神経再建 第一背側骨間筋(随意収縮時)のグラフ
測定日:平成28年04月28日
(1年6か月後)
右尺骨神経再建 第一背側骨間筋(随意収縮時)のグラフ
随意収縮に伴うMUPが低振幅ながら確認されるようになった。
神経再生誘導チューブの融解
Echoにてtubeが確認できるか、吸収されているかを調べ、8症例とも12週までにtubeが分解・吸収され確認できなかった。
何週でどのくらい融解したかわかるグラフ
超音波検査所見よりRNTC06の残存状態を3段階のスコアに分けて分類。
RNTC06がはっきり確認できる、確認できる、残存している
RNTC06がやや不明瞭な状態で確認できる、分解が進んできている
RNTC06が確認できない、吸収されたと思われる
4, 8, 12, 24においてそれぞれのスコアを平均し、下記グラフに表記した。
融解スコア平均グラフ
CRPS(complex regional pain syndrome) type Ⅱ (causalgia)
これに対するPGA-collagentubeの応用は稲田らによって施行され比較的良好な結果が出ている。今回も患者さんに神経縫合後に知覚が回復する過程でおこる不快な痛みやしびれがRNTC06(人工神経)での再建で起こらなかった。また、神経が再生していく過程でもTinel’s signが伸びていく現象が見られなかった。このため患者さんの満足度は高く、術後のリハビリテーションも順調であった。しかしこの現象の機序はわかっていない。
まとめ
当科における神経再生誘導チューブRNTC06の臨床試験成績および東洋紡の治験を参照した
RNTC06はsemmes-weinstein法では優位な改善を示した。
SNAPは6症例に施行し、4症例で導出できた。
長さ40mmまでの欠損の指の知覚再建には良いと思われる。知覚再建後、不快しびれやtinel’s signもなく患者の満足度も高かった。
運動神経(尺骨神経)にナーブリッジを用いた2例はMUPが出てきて改善傾向にあった。
RNTC06による知覚再建は、CRPS typeⅡへの応用が期待される。
熊本機能病院 整形外科 中島 英親
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