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2017-07-11 11:44:14 | 日記
手同種移植ガイドライン
(作成 2002 年 8 月 10 日)
日本手の外科学会倫理委員会同種移植部会作成
委 員 長:土井一輝(山口県厚生連小郡第一総合病院院長)
委 員:三浪明男(北海道大学医学部整形外科学教授)
別府諸兄(聖マリアンナ医科大学整形外科教授)
多田浩一(関西労災病院整形外科副院長)
平田 仁(三重大学医学部整形外科学講師)
岩崎倫政(北海道大学医学部整形外科学助手)
村松慶一(山口大学医学部整形外科学助手)
アドバイザー:糸満盛憲(北里大学整形外科教授)
玉井 進(奈良マイクロサージャリ―・手の外科研究所所長)
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目次
序文
手とは
手ならびに運動器同種移植の実験的研究
同種移植の臨床応用―その歴史と現況
運動器同種移植の臨床応用
同種移植の臨床応用マニュアル
参考文献
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1.序文
手は,日常生活において外界および人などの対象物との触覚器官であり,また,
脳の命令に従い具体的動作を行う運動器官でもある.外傷や悪性腫瘍,先天異常に
より,この手を失ったり,欠いたりすれば,人としての生活は大きく制限される.
手の欠損の代用として,義手が多く用いられている.現在の義手は,材質や構造
の進歩により能動義手だけでなく,電動義手が開発されているが,機能面,整容面
(外観)からみて,実際の手には程遠いものであり,患者にとって満足のいくもの
でない.
義手以外の解決法として他の人から手を移植する四肢同種移植が開発され,近年,
世界で 10 例以上の手同種移植成功例が報告されている.これは,もともと切断し
た自分の手や指を再接着するために必要な 1mm 以下の血管吻合技術である微小血
管吻合術と同種移植の際に必ずおこる拒絶反応の予防,治療のための免疫抑制療法
の進歩によるものである.特に,1980 年代,移植医学に登場したサイクロスポリン
6)やタクロリムス(FK506)24)は臓器移植の臨床成績を飛躍的に向上させた.本邦
においても,1997 年「臓器の移植に関する法律(平成 9 年法律第 104 号)」の成立後
は,脳死患者をドナーとした移植が始まり,各臓器ともに安定した生着率が報告さ
れているのは周知のとおりである.しかし,免疫抑制療法には術後,感染や悪性腫
瘍の発生など致命的な副作用があることは以前から知られており,新しい免疫抑制
療法によってもこれらの問題は解決できていない.現在,臨床で行われている腎,
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肝,心肺移植などは生命維持器官の移植であるため,致命的副作用を伴う免疫抑制
剤の使用は認められているが,生命維持器官でない四肢運動器官(関節,手など)
の同種移植では,免疫抑制剤の使用に関して多くの問題が提起され,論争の的にな
っている 26,27),37,38),44),47),56).
一方,平成 12 年度厚生省社会福祉行政業務報告によると,外傷,悪性腫瘍など
で上肢の切断を余儀なくされ,義手を作成した人は 2,233 人(身体障害者福祉法に
基づいて製作した人のみ)である.この中には義手以上の機能,整容面での向上を
求めて,手の同種移植を希望している人は少なくない.諸外国で,手の同種移植の
成功例が増加し,マスコミなどで報道されるに伴い,本邦においても,手の同種移
植を希望する人が出てくることは容易に推測できる.
日本手の外科学会は過去において手の同種移植の実験的研究の発表や検討を重
ねてきた経緯があり 61),本邦の学会においては,最も手の同種移植に関する科学的
業績を持っていることから,近い将来において,本邦にて行われる手の同種移植の
検討資料として,ガイドラインを作成することにした.
本ガイドラインでは,これまでの手を含めた四肢運動器(四肢全体,関節,骨,
神経など)同種移植の実験的研究と臨床応用の歴史と現況について紹介する.
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2.手とは
手は,上肢の機能上,必要不可欠な組織である.手の無い上肢はほとんどその機
能を失うため義手を使用しなければならない.言い換えれば,上腕や前腕は手の機
能を発揮させるための器官であり,手の土台といえる.手は顔とともに最も人目に
つきやすいところで身体の社会的部分(social part of the body)とも呼ばれ,その洗
練された美しさ,形や動きが芸術の世界に取り入れられている.また,手指の形の
色々な組み合わせによって意思を伝達することができる(上羽康夫著 65).
手は 23 の骨,28 の筋肉,3 本の主要神経,2 本の主要動脈,腱,静脈,軟部組織
から構成されている.骨は,8 個の手根骨,5 個の中手骨,14 個の指骨からなる.
手の力源である筋肉は,前腕に筋腹を持つ手外在筋と手の中にあって,各指に個別
に機能を与える手内在筋からなる.神経は正中,尺骨,橈骨神経からなり,手関節,
手指の運動や知覚を司っている.橈骨,尺骨動脈は手の血液供給に重要な役目を果
たす.これらの構成組織がお互いに円滑に共同して働くことにより,重量物を保持
するような粗大運動から,字を書く,箸を使うなどの繊細な巧緻運動まで幅広い運
動機能を発揮する.
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3.手ならびに運動器同種移植の実験的研究
1)歴史的背景
四肢同種移植の試みは意外と古く,最初の記述は紀元後 348 年,双子の聖者
“Cosmas と Damien”の話まで遡る 5).彼等は,内科医と外科医で四肢移植にも関与
したが,ローマ帝国の皇帝ディオクレティアヌスによって危険とみなされ死刑とな
った.1270 年の伝説では,聖者“Cosmas と Damien”が再び現れ,足が黒色に壊死し
ていた患者の足を取替え治療したとある.
それまでは夢物語であった四肢移植を医学的に可能な手術となし得たのは,19
世紀初頭からの血管外科技術の進歩にほかならない.1908 年 Carrel10)は,初めて犬
後肢移植モデルを完成させている.しかし,その後は拒絶反応の病態が未知であっ
たため進歩しなかった.移植について関心がもたれたのは皮膚同種移植である.
1930 年代に一卵性双生児間の皮膚移植は拒絶されないことが分かり,免疫学的寛容
発見の幕開けとなった.第 2 次世界大戦中,火傷した兵士に対する同種皮膚移植の
結果から,急性拒絶反応の経過やメカニズムが解明され,移植医学は確実に進歩し
た.
1960 年代に入って,四肢同種移植の実験は,実験モデルの確立と急性拒絶反応の
治療を中心に進歩してきた.1973 年 Lapchinsky43)は犬後肢移植モデルを用いて血
液交換によって免疫寛容を導くという実験を報告し,1976 年 Poole 等 58)は,初め
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て主要組織適合抗原(以下 MHC; Major Histocompatibity Complex)が明確な純系ラ
ットを使用し,抗ドナー血清を用いた寛容導入実験を行っている.この頃から
Microsurgery の技術が移植実験にも導入され,ラット等の小動物でも後肢移植モデ
ルを用いた実験系が確立した.
急性拒絶反応の治療に初めて免疫抑制剤を用いた実験が報告されたのは,
Goldwyn23),Doi14)等の報告がある 1970 年後半である.第 1 世代薬と呼ばれる古典
的免疫抑制剤では,拒絶反応を抑制するよりも
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