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2017-07-11 11:44:45 | 日記
急性拒絶反応の治療に初めて免疫抑制剤を用いた実験が報告されたのは,
Goldwyn23),Doi14)等の報告がある 1970 年後半である.第 1 世代薬と呼ばれる古典
的免疫抑制剤では,拒絶反応を抑制するよりも全身の副作用が強く,良好な結果は
得られなかった.四肢同種移植が臨床応用に現実性を持ってきたのは,1976 年に発
表された Cyclosporine(CS)6)と 1987 年に発表された FK50624)の優れた免疫抑制
効果による.以後この 2 剤を加えて新しい免疫抑制剤の登場,あるいは免疫抑制療
法の導入が四肢移植に応用され,数多くの実験的研究が行われて現在に至っている.
その結果について以下詳細に記す.
2)実験動物
移植実験で最もよく使用される動物は,主要組織適合抗原(MHC)が明確となっ
ていることが必須条件である.また,技術的に移植手術が容易な大きさの動物が選
択される.臓器移植の実験では,これまでほとんどがマウスやラットを使用してき
たが,四肢移植実験をするためにはマウスは小さすぎるため,その代用としてラッ
トが選択されてきた.近年,マウスを使用した実験が散見されるが 63),移植の成功
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率は低く,技術的に極めて困難である.犬の使用は微小血管吻合の技術が確立され
た 1960 年代には報告があるが,近年はみられない.1990 年代の後半からは,手同
種移植の臨床応用に併せるように大型動物での実験が報告されてきている.代表的
なのは MHC が明確である豚であり,限られた米国数施設からの報告がある 7),45),
64).現在でも実験動物の主流はラットであることに変わりはない.
3)免疫抑制剤
(ア)第 1 世代(前 CS 期)
四肢同種移植の実験に免疫抑制剤を使用した報告は,1960 年代に始まる.
Goldwyn23 ) らは,犬四肢移植モデル に代謝拮抗剤である Mercaptopurine と
Azathioprine(AZA)を用いたが,移植肢の生着延長はわずかであった.Doi14)は
MHC が明確なラットを用いて後肢同種移植を行って,AZA とステロイドを投与し
たが,移植肢の生着は 24 日までであった.その他,数編の実験報告があるが,薬
剤の副作用が重篤であり免疫抑制効果も不十分であるため,良好な結果は得られな
かった.
(イ)第 2 世代(CS 期)
1976 年,Borel ら 6)が導入した CS は,移植医学に変革をもたらした.CS は,
Trichoderma Polysporum Rifaiと Cylindrocarpon Incidum という2 種類の真菌からの代
謝産物として見出された.免疫応答の発現機序は,主に未成熟のヘルパーT 細胞の
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活性化を特異的に抑制することが知られている.従来の免疫抑制剤との最大の違い
は,急性拒絶反応の抑制率の向上と薬剤副作用の低下である.CS が,四肢移植実
験に導入されたのは 1982 年 Hewitt 等 5)の報告からである.MHC が異なるラット
の四肢移植モデルで CS を 20 日間投与したところ,101 日間の移植肢生着延長が得
られ,さらに 5 例中 3 例が,週 2 回の CS 投与継続で 400 日以上生着したと報告し
た.その後,Press59),Kim39),Fritz22)等の報告では,ラット移植肢は,CS を投与
しつづける限り拒絶を免れて生着するが,投与を中止すれば一定期間後に拒絶され
ることが明らかになった.AZA やステロイドでは生着不可能であった四肢移植が
CS によって安定して生着することが確認された.しかし,1995 年 Lee 等の報告 48)
では,移植肢は複合組織であり,副作用が重篤ではない低濃度の CS 単独投与では
最大の抗原性を有する皮膚の拒絶が回避できないとあり,それに対する CS の高濃
度投与量と副作用の発現が危惧される.
(ウ)第 3 世代(後 CS 期)
CS の免疫抑制効果を 100 倍以上に改良した薬剤が,1987 年に導入された FK50624)
である.この薬剤は,筑波市の土壌から分離した放射菌 Streptomyces Tsukubanesis
から単離された.免疫作用機序は CS に類似しており,特に IL2 の産生阻害作用が
強い.1989 年 Araiら 2)は,ラット四肢移植モデルで移植時に FK を 10,50mg/k g
投与すると,移植肢の生着が 40,93 日延長する事を報告した.1991 年 Kurokiら 42)
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は同様の実験系で FK と CS を比較し,投与量が 1/50 で同等の免疫抑制効果を得
られると報告し,更に FK を 2 週間投与しただけで 20%の移植肢が FK の継続投与
なしに恒久的に生着することを報告した.その後,Jones8,9),Fealy18),Muramatsu
ら 52)の報告でも CS を上回る FK の安定した移植肢の生着効果が追試されている.
しかし,FK の短期間の投与では,安定した免疫寛容の獲得は実験的にも不可能で
あり,投与中止後は最も抗原性が高い皮膚の拒絶は免れない.
最近注目される免疫抑制剤には,Mycophenolate Mofetil(MMF)4),64),Rapamycin18),
Deoxyspergualin(DSG)53),FTY72051)らがあり,四肢同種移植実験に用いられて
いる.しかしながら,これらの薬剤は,単剤投与のみでは急性拒絶反応を抑制する
には効果が不十分であり,高濃度の投与量が必要である.そのため重篤な副作用が
懸念され,CS,FK に他剤を併用使用してより高度の免疫抑制効果を得ることが試み
られている.32)
1993 年,Behaim ら 4)は,ラット後肢移植モデルを用いて MMF の
免疫抑制効果を検討しており,CS よりも高い免疫抑制効果を有し,移植後 32 週ま
で移植肢の生着が得られたと報告している.1998 年,Ustuner ら 64)は,豚四肢移植
モデルを用いて MMF と CS,FK506 の複合投与を行い,MMF-FK のコンビネーシ
ョンがより高い免疫抑制効果があり,安全性も高いと報告した.その結果を元に,
アメリカで行われた手同種移植例は FK-MMF のコンビネーションで治療されてい
る.1994 年,Fealy ら 18)は,ラット四肢移植モデルを用いて Rapamycin の免疫抑制
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効果を,1997 年,1998 年 Muramatsuら 51,53)は,DSG,FTY720 を同実験系で検討
しているが,何れも CS,FK に勝れる結果は得られておらず,CS,FK のコンビネー
ションの一薬剤として,これらを位置づけるべきだと結論している.今後更に CS,
FK を凌駕する免疫抑制剤の出現が待たれる.
4) 免疫抑制剤以外の免疫抑制法
これまでレシピエントに対する移植免疫抑制法として初めて行われたのは全身
の X 線照射である.1995 年,Lee ら 48)は,ラット四肢移植モデルで移植 2 日前に
レシピエントにガンマ線を照射すると移植片の生着延長が得られたと報告した.し
かし,本法では当然レシピエントの X 線障害が危惧される.
最近は Monoclonal抗体が注目され,四肢移植実験にも応用されている 62).2001 年,
Ozer ら 55 ) は , 拒絶反応 で は 重 要 な 役 割 を 演 じ る intercellular adhesion
molecule-1(ICAM-1),lymphocyte function-associated molecule-1(LFA-1)を選択的に遮
断する抗 ICAM-1 抗体,抗 LFA-1 抗体をラット四肢移植に応用したが,単体ではい
ずれも免疫抑制効果が不十分であったと報告している.
移植肢に対する移植前処置についても数編の報告がある 1,3).2000 年 Lee ら 46)は,
移植肢内で拒絶の最初の標的になるのは骨髄と考えられるため,骨髄細胞をレシピ
エント由来細胞で置き換えた後に移植する実験を行った.その結果,骨髄を入れ替
えたキメラ移植四肢は拒絶反応が減少し,生着が延長することを報告した.移植四肢
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には,移植前数時間の虚血時間内に色々な前処置が可能であるため今後研究の余地
が残されている.
5) 移植四肢の機能的評価
移植四肢が,どこまで機能回復するかは重要な課題である.これまでの実験では,
ラット四肢移植モデルを用いた報告が多い.1987 年,Guzman-Stein ら 25)は,移植
四肢の筋肉の再支配,皮膚の知覚回復,正常な骨癒合と骨成長の可能性を報告した.
同様な報告は,Kuroki40),Foster ら 19,20)によっても追試されており,ラット後肢移
植モデルで移植肢が生着し,坐骨神経を縫合しておけばほぼ正常な後肢機能が回復
すると結論付けた.1988 年 Samulack ら 11)のヒヒ同種手移植実験では,生着手に知
覚と運動機能の回復が得られたと報告している.
6)移植肢の抗原性
移植肢がどれほどの抗原性を有しているかは,Randolph ら 49)の詳細な研究があ
る.ラット移植肢の構成体について個別に抗原性を比較した結果では,細胞性免疫
応答を引き起こすのは筋肉が最高で,次に皮膚,骨で,興味あることに四肢全体は骨
単体以下であった.液性免疫応答では,皮膚,骨,四肢,筋の順に抗原性が高いと
報告されている.最近の研究では,移植片の抗原性は組織の手術侵襲に関係すると
考えられており,四肢全体を移植した方が,各組織別々に,移植するよりも抗原性が
低いと推測される.
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