木柄屋日記

思いつくままあれこれと

第八十三歩…静かな残雪の涸沢、そして沢山の再会

2017-05-18 02:19:14 | 山歩き
やっぱり山っていろいろあるなぁ。



先週の土日は久しぶりに上高地でのとある講習会。
ならばと、一週間の休みを取って講習会の前三日間を山歩きに充てることに。

今回の山行で迷った候補は2つ。一つは常念山脈縦走、もう一つは涸沢から涸沢岳または北穂高岳のピストン。
結局、常念縦走は体力不足と資金不足(下山口からのアクセス悪くタクシー代高い…)で却下、穂高行きに決定です。


がっつりの雪山装備でアカンダナからバスで上高地へ。天気は予報通りの曇天で、穂高も焼岳もすっぽりと雲の中。
GW開けの上高地は下り坂の天気もあって人影もまばら、静かな山歩きが楽しめそうです。
7:30、見えぬ穂高を見上げながら一歩を踏み出します。

歩きはじめて10分、小梨平を抜けたあたりから、私の頭の上に「ん?」「ん?」としきりに?マークが。
「なんだか足首が変だぞ…」
捻ったような、打ち身のような違和感が… でも本人には全く思い当たる節がありません。




?マークのまま梓川を横目に小一時間で明神へ。ここで一つ目のうれしい再会。
一昨年、小梨平でテントが隣同士となり、誘われて一晩酒を酌み交わしたご老人とばったり。
山って広いようで狭いなぁ。




徳澤までの道のりで足首の違和感は完全に痛みに。「なんだと思う?足首…」とサルに語りかけ、
想定通り無視を返されます。この辺りから歩みも徐々にのろのろと。


横尾に到着しても痛みは止まず。小休憩で様子を見ようと山荘でコーヒーを頼んでいると、鳴り出した山荘のレシーバー。
「本谷橋上部で岩盤の崩落、冬道を一部塞いだ可能性あり」「状況により横尾から上の入山を規制する可能性あり」
との情報が。「ありゃりゃ…」と小休憩を大休憩に切り替えまったり待機。
やっぱり山っていろいろあるなぁ。

そうこうする間に「入山規制は行わない、現在迂回路設置中」との連絡が入り出発。時刻はいつの間にか12:00近く。




足首の痛みはよくなるどころか更に悪化、一歩ごとに「ズキン!」と来るほど。
屏風岩を巻こうとしているところで、下ってくる県警の山岳警備隊に遭遇。上の状況を聞くと、
「崩落は冬道をぎりぎり塞いでいない、現在反対斜面に迂回路を付けている。ただし雪崩と違い崩落は間を置かず
再び起こることもあり、反対の斜面もちょっといやらしい。間もなく天候も崩れるので今日は無理しないことを勧める」
との的確なアドバイス。
この時私に湧き上がった感情は、「なんだよぉ、足止めかよぉ…」ではなく「よかった、助かった…」。
渡りに船のアドバイスと、そそくさと横尾まで足を引き摺り引き返しました。


山荘でカレーをいただき、まったりとテントを設営し終えたタイミングで雨が。そしてその後ずっと本降り。
この日は、トイレ以外一歩もテントを出ることなくシュラフにくるまり本を読んで過ごしました。



翌朝も8時ごろまで本降り。「雨の撤収はいやだなぁ…」と低めのテンションで今日明日の行程を再検討。
天候は昨日に引き続き下り坂で終日強い風の予報、3000m付近では風速25m強の風が吹き続けるとのこと。
横尾から蝶ヶ岳に登り、テン泊して長壁尾根で徳澤に下りるルートも検討したけれど、稜線上での風を考え却下。
やはり当初の目的通り涸沢を目指し、明日の朝の状況を見て上へのピストンを強行するか判断することに。


ようやく雨が上がり、水気で重量1.5倍増しのテントをそのままスタッフバッグに詰め込んで、
10:00、昨日の道を再び涸沢に向け出発。


足首の痛みは若干残っているものの、歩行の支障にならないぐらいに回復した感触。「うん、なんとかいけそう。」
「昨日の痛みはなんだったんだろう。もしも痛みもなくスッタカスッタカ歩いていたら、崩落に巻き込まれていたとか…
誰かに守ってもらっていたのかもなぁ…」などと、ちょっとスピリチュアルなことを考えながら歩きます。


本谷橋から雪渓歩き。昨日横尾のテン場で一緒になった、槍ヶ岳をピストンしてきたという若者が、
今日は取って返して穂高に向かうようで、サクサク私を追い抜いて行きました。「そのタフさ、どうか分けてください…」


デブリの中を縫いながら高度を上げます。アイゼンを装着すると歩む速さが半減してしまうので、
行けるところまでツボ足で。


昨日の崩落場所が見えてきました。そこそこの規模で崩れています。
反対斜面に迂回路を切ってありましたが、見上げるとこっちはこっちで雪崩が起きてもおかしくないような上部斜面、
狭い谷筋を真っ直ぐ一気に歩き抜けます。


斜度が徐々にきつくなり、息が上がり、100歩歩いては立ち止まり、歩みに合わせて「つらい、しんどい、つらい、しんどい」と
同義語を延々と呟きながら登ります。


だって小屋が見えているのに全然到着しないんです…。


14:00、ようやく涸沢に到着。視界はご覧のとおり…。


休む間もなく天候が悪化する前にとテント設営。悪天に備えてしっかりと。
でもすでにこの時点で結構な強風、設営を諦めて小屋泊に切り替える登山者も何組か。


ようやく一息。遅い昼飯代わりのおでんを。寒いのに無理して頼んだ生ビールとセットで。


この日のテントは6張。GWピークで350張と聞いていたので、平日とはいえもう少し賑やかだと想定してたけど…。
少しずつ風が強まってきて、寂しさと不安が顔をもたげます。




16:00、雪渓を登る今日最後の登山者たち。そしてそれを見守る遭対協のオヤジさん。
それからしばらくすると、テントを雨が叩き始めました。



そして夜。 雨、あられ、暴風、雷が涸沢にやってきて一晩居座りました。
さすがに稲光と雷鳴をそう遠くはない場所に感じた時は、「こりゃぁ一旦小屋に逃げておいたほうがいいかなぁ…」
とずいぶん悩み、とても怖い時間を過ごしました。
それでも疲れと眠気には勝てないようで、読みかけの本を枕元に転がしていつの間にか眠りについてしまいました。



翌朝。


5:00、明け方に雨あられは止んだものの、風は依然として強く空はどんより…。
常念方面は雲の流れが早く、時折切れ間から朝の光が。






モルゲンに染まる穂高もお預けです。


穂高も少しずつ雲が切れてきて、一人二人とザイテン脇や北穂沢に取り付く登山者が現れ始めました。
でも、「この風で更に上を目指すのは私のスキルと経験では無理、連日の雨で雪のコンディションもよくないはず…」
と早々に判断し、まったりと朝飯の準備に掛かります。最終的に奥穂へ3人、北穂へ2人が向かっていきました。

そして7:30過ぎ、下山仕度を始めた私に、ようやく涸沢はご褒美の展望を見せてくれました。

前穂から、


奥穂、


そして北穂、どこを向いても雪崩ていない斜面がないぐらいデブリだらけです。












ほけーっと眺めていただけで3回ほどの荷上げと荷下ろしが。GWで消費した食材の補充日だったようです。




8:30、さあ帰りましょう。


下りながら、


後ろ髪を引かれ振り返り、


振り切って前を向くも、


また振り返り、


デブリの中をザクザク進み、






森を抜けて、




屏風を巻いて、


再び横尾へ。




徳澤ではちょっと洒落込んで舶来ビールなどを煽り、


14:00、上高地にゴール。
空は曇天に戻ってしまっていましたが、ケショウヤナギの淡いグリーンが迎えてくれました。



その後一度山を下り二つ目のうれしい再会へ。絶賛単身赴任中のひつぢさんと松本駅前で一杯やりました。
急にお誘いしたにもかかわらず、「喜んで!」とメールを返してくれ、とても楽しい夜を過ごすことができました。
どうもありがとう、次は山で天幕越しの酒盛りを。

そして土日で再び上高地へ。ここで三つ目のうれしい再会。とある講習会で一年ぶりや二年ぶりに再会した仲間、
また初めて出合った仲間たちととても有意義な時間を過ごすことが出来ました。


うーん、やっぱり山っていろいろあるなぁ。だからまた歩きに行くんだろうなぁ。


『山登り・ハイキング』 ジャンルのランキング
コメント (4)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 天日干し… | トップ | 木柄屋写真館…いい一日 »
最近の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (カワjoh)
2017-05-18 10:53:16
昨秋の涸沢テン泊を思い出しながら読みました。
ホントご褒美があるからこそ歩くんですよねえ♪
たとえおでんの大根が半煮えであっても(笑)
Unknown (osatoh)
2017-05-18 20:59:30
デブリ、ハンパない量ですね。汗
木曽駒の千畳敷カール、綺麗なもんでした。
下山後の松本での飲み会、楽しそう♪
次は僕が急襲します。(笑)
Unknown (ひつぢ)
2017-05-19 22:09:57
足首の痛み、きっと災害から守ってくれた。と思います。やっぱり無事の下山が何より大事
思った山に登れなかったことは残念だったと思いますが、それでも楽しそうに見えます(笑)
愛のある撮影がそう思わせるんでしょうね(^^)/
Unknown (木柄屋)
2017-05-21 20:44:11
皆さま:

これで皆さん別宅(テント)持ち、今年は皆で稜線歩けるかなぁ。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。