もみさんの一日一冊遊書録(2011年9月1日 スタート!:メメント・モリ)   ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

6 070 半田滋「日本は戦争をするのか 集団的自衛権と自衛隊」(岩波新書:2014.5月)感想5

2017年05月15日 22時22分55秒 | 一日一冊読書開始
5月15日(月):  

203+14ページ     所要時間3:10     ブックオフ108円

著者59歳(1955生まれ)。栃木県宇都宮市生まれ。下野新聞社を経て、91年中日新聞社入社、東京新聞編集局社会部記者を経て、2007年8月より編集委員。11年1月より論説委員兼務。93年防衛庁防衛研究所特別課程修了。92年より防衛庁取材を担当。04年中国が東シナ海の日中中間線付近に建設を開始した春暁ガス田群をスクープした。07年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。著書に「『戦地』派遣 変わる自衛隊」(岩波新書、09年度日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞)などがある

前半、安倍首相に対して厳しい視線が示されていた。ちょうど国民を無視して集団的自衛権に向かって安倍が暴走を始めている時期に著された本なので、「安倍のいい加減さを記録・整理した資料として目を通して持っておこう」と思って読み始めた。感想4のつもりだった。しかし、半ばに差し掛かって自衛隊の目線で集団的自衛権に向かう流れが逆に照射され始めると、何かもやもやと変な気分になってきた。

特に、第二次朝鮮戦争がもし起こった場合、その影響・被害の甚大さを今の日本は受け止めきれない。だからと言って、防衛費を肥大させると、中国を刺激して、北朝鮮も交えて軍拡競争に歯止めが利かなくなる。「あんな貧乏な独裁国家の北朝鮮なんて大したことない、何かあればすぐに潰せるさ」と思っていたのだが、そうでもないのだ。北朝鮮の体制自体は崩壊するが、その前に死に物狂いで第二次朝鮮戦争になると、主戦場は朝鮮半島で、韓国軍と在韓米軍が共同して戦うのだが、一方で10万人規模の特殊部隊が日本に上陸するとこれがどうも手ごわい。向こうは失うものはない、こちらは失えないものだらけ。さらに九州・中国地方にスカッドミサイルが落ちる。原発に命中すれば、撒き散らされた放射能で西日本は壊滅。

そんな話に、「あれれ…?」と思っていると、どうも著者は自衛隊に対してかなりのシンパシーと豊富な知識・情報を持っている。今まで、安倍バカボンと自衛隊を同一視してしまっていたのだが、著者は政治家と自衛隊をはっきりと切り分けている。自衛隊の基礎知識、例えば給料は?結構高いよ!若年退職で結構退職金もあるし、天下りもあるかな…、PKO派遣先でもし死んだら、どう扱われるか?意外と自衛隊員に対して無関心で冷たい政治屋たちの姿勢などが興味深く紹介される。

さらに、これまでの自衛隊の歩みをある意味、いい加減な政治屋たちの判断で運命をかき乱される「当事者」「被害者」として、自衛隊の側から見た視点で描き出す。また、意外と無関心な政治屋たちに対して、運命をあずけきれない自衛隊の側からしたたかに、政治屋どもに対して逆シビリアンコントロールを仕掛けて、それがシステム的に定着してる実態などが紹介される。

また、外務省と防衛省が結構仲が悪い。常任理事国入りを目指す外務省に自衛隊を便利遣いされたくない防衛省が、外務省に反発する図式がある。安倍バカボンは、実は完全に外務省人脈と結びついている。狐ヅラのあの北岡何某も外務省系列だそうだ。

他にも、アメリカの日本でメシを食ってるジャパンハンドラーや米軍との連携、中国とのアフリカ、南スーダンやジブチでの綱引きなど盛りだくさんで知っていて知らなかったことがたくさんあって、短時間では読み切れていないけれど、最後のページまで言った段階で感想5になっていました。

安倍バカボンの姑息過ぎる思惑とは離れて、また人口に膾炙されている自衛隊のイメージからも離れて、政治に翻弄される「当事者」としての自衛隊に強いシンパシーを持ったジャーナリストが、「当事者」自衛隊の側から現代日本を照射し直した本として、本書はなかなか読み応えのある内容かな、と思いました。

【目次】第1章 不安定要因になった安倍首相/第2章 法治国家から人治国家へ/第3章 安保法制懇のトリック/第4章 「積極的平和主義」の罠/第5章 集団的自衛権の危険性/第6章 逆シビリアンコントロール

二人(福田首相と安倍首相)の考えは水と油ほども違う。98ページ *これは笑えた!福田康夫首相に1票!
自衛隊が暴走せず、むしろ自重しているように見えるのは、歴代の自民党政権が自衛隊の活動に憲法九条のタガをはめてきたからである。その結果、国内外の活動は「人助け」「国づくり」に限定され、高評価を積み上げてきた。政府見解が変われば、自衛隊も変わる。冷戦後、国内外の活動を通じて力を蓄えた自衛隊を生かすも殺すもせいじしだいである。198ページ

【内容情報】安倍晋三総理の悲願といわれる集団的自衛権。武器輸出の解禁や日本版NSCの創設、国家安全保障基本法をめぐる議論などを背景に、今、日本が急激に変わろうとしている。政府で何が議論されているのか。それはリアルな議論なのか。自衛隊はどう受け止めているのか。長年日本の防衛を取材してきた著者による渾身の一冊。
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