もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

170402 中国映画『ヘブン・アンド・アース 天地英雄』(何平(フー・ピン)監督)を観た。感想4

2017年04月02日 19時18分49秒 | 映画・映像
4月2日(日):    

録画してあった中国映画『ヘブン・アンド・アース 天地英雄』(何平(フー・ピン)監督)を観た。残念ながら日本語吹き替え版なので中井貴一が折角苦心した中国語を聴くことができなかったが、筋立てはとてもよく分かった(最後のワンシーンだけは?だったが)。

中国人の俳優陣は、違和感のない親しみのもてる良い感じの俳優ばかりだった。その中で、中井貴一もしっかりと存在感のある演技をしていた。さすが我らが中井貴一である。見せ場の殺陣なかなか見応えがありなかなかの映画だった。この映画は、中井貴一の履歴を決して汚すものではないと断言できる。

4か月にわたる撮影の裏事情を知りながら観ると、「ごく自然に見られているシーンも、実は大変な苦労や時間、いきさつの中で撮られてるんだ」と、格別の味わいを覚えた。いろいろ揉めたりごたごたがあっても最後にはそれなりの映画に仕上がっていくものなんだなあと思った。

ストーリーは以下の通り。時は紀元700年、13歳で遣唐使として唐に渡り25年の長期間、軍事技術を学び研鑽を重ねた日本人来栖旅人(くるすたびと:準主役)が、皇帝から帰国につながる最後の任務として、西域のお尋ね者「無敵の李隊長(主役)」を殺すことを命じられる。李隊長は、婦女子を含めて捕虜を皆殺しにせよという朝廷の命に逆らって捕虜を逃がしたことでお尋ね者になった。シルクロードのキャラバンの護衛を仕事にして生きていた。そんな中、李の護衛するキャラバンとヒロインを連れた来栖旅人が出合い、長安までキャラバンを護るために命を狙う者同士が協力し合うことになる。このキャラバンは、西域の仏教諸国を支配する上で絶対的な意味を持つ<(奇跡を起こす)仏舎利>を運んでいたのだ。西域支配を目指す突厥(トルコ族)のハーンが、馬賊の親玉の安(アン:準主役)を手先にして執拗にキャラバンを付け狙い、最後には古城を舞台に攻城戦を展開する。来栖旅人も含めキャラバンは全滅するが、<仏舎利>に手を触れて奪おうとした安(アン)も突厥の将軍も奇跡により命を落とす。その後、何故か<仏舎利>はいきなり???長安に無事届いていて、そののち唐は広大な西域諸国も版図に含めて大繁栄期を迎えるという終わり方だった。

筋立ての展開に意味不明な部分もあるが、それが中国人の感性では自然なのかもしれない。むしろそういう違和感を感じる部分が予想していたよりも少なかったことの方が意外だったかもしれない。

最後にこの映画を観る上で一番のポイントは、「ほぼ全編が実際に辺境のシンチャンウイグル自治区で撮影されている」事実を知っておくことだろう。あと、この撮影中にアメリカで9.11同時多発テロが起こり、米軍によるアフガニスタン攻撃が始まったことも、何かの感慨を覚えさせてくれる。もう一つ、最後に近いシーンで来栖旅人が「自分は『日本人』だ」と李隊長に伝えるシーンがあるが、『日本』という言葉が生まれたのが、まさにこの少し前の天武・持統朝の時である。火薬っていつはつめいされたんだろう?

追記:もう一回見直して、最後のシーンの?は、生き残った李隊長がヒロインとともに長安に仏舎利を送り届けたことで赦免され、復権して、再度西域に派遣されることになった、と理解すべきなのかな…と思った。ちなみに、映画に登場する坊さんは、実はチョウ・ユンという女優さんである。
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