もみさんの一日一冊遊書録(2011年9月1日 スタート!:メメント・モリ)   ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

6 044 イ・チョルファン著・草彅剛訳「月の街 山の街」(ワニブックス:2011)感想3+

2017年04月06日 02時02分26秒 | 一日一冊読書開始
4月5日(水):  

191ページ    所要時間1:50     アマゾン258円(1+257)

翻訳者36歳(1974生まれ)。国民的人気グループ「SMAP」のメンバーとして多岐に渡る活動を繰り広げる傍ら、俳優としての活動も高く評価されており、数々の受賞を誇る。2001年からTV番組の企画を機に韓国語の勉強を始め、その後語学力を生かして「チョナン・カン」として韓国でも活動、日韓交流に大きく貢献している。 *ハン・ソッキュに影響されたそうだが、草彅剛さんやっぱりすごい!

本作を読んでいて、ある種の「なんだその程度の話で…」と思うことは正直言ってかなりあった。本作を「お涙頂戴」「一杯の掛蕎麦」と貶すこともできる。しかし、そんなことを考える気は俺には毛頭ない。むしろ、翻訳者の草彅剛さんに対する強い尊敬心・憧憬の念と「もう一度自分も韓国としっかりと向き合いたい」という思いと、自分に残された(人生の)時間を指折り数えてその少なさに消沈する思いが錯綜した。その意味では、普段と違う動揺を伴なう読書になった

相手を貶めるのではなく、それがベストセラーになる韓国の人々の心性・国民性を理解しようと考えるべきだと考えれば、答えは割合明快に出てくる。「韓国の人々は細やかな優しさを持つ。感受性が豊かである。弱さもあるが、人間として信用できる。特に、”愛”においてキリスト教の影響が日本よりも強い」という隣国に対する前向きな信頼感に気付くことができる。はにかみ、含羞は日本だけでなく、韓国にも当てはまる。俺自身の経験でもそれは確認済みだ。そんなことをぼんやり思いながら、読んでいたが、最後の「翻訳者あとがき」で草彅剛さん自身がしっかりとそこを押さえてくれていて、正直「参りました」という気分になった。曰く、

・翻訳する中で何度も感じたのは、この作品にはいい意味での違和感があるということ。略。「え、それってどうなんだろう」と思うくらい突拍子もなかったりするのですが、そこが韓国の魅力で、僕が韓国を好きな大きな理由でもあるのです。/日本では略、韓国の作品では万人には受け入れられにくいこともそのまま描いてしまう。だけど、僕は人の真意というものは正にそういうところに宿っていると思うのです。略、その違和感に自分がバシッとはまると、とてつもなく感動するのではないでしょうか。
・人が人を好きになるポイントや、人の可愛らしさって、その人の弱点やコンプレックスの中にあったりすると僕は思うんですけど、韓国の作品ではそれがうまく表現されている。略。/韓国のものや作品は僕をすごく成長させてくれます。無意識のうちに感じるところがあるというか、僕の本能で必要と感じているので、これからも韓国の人や作品に関わっていきたいですね。
・愛情深く、韓国ならではの魅力、”良い違和感”にあふれたこの作品を皆さんにも楽しんでいただけるとうれしいです。
以上190~191ページ

あと一言だけ、挿絵がすごく優しくて気に入りました。絵本としての魅力もある本だと思います。

【内容紹介1】「チョナン・カン」として日韓交流に大きく貢献してきたSMAPの草彅 剛さん初の翻訳本。 原作は韓国でシリーズ累計360万部という異例のベストセラーを記録。 「月の街」「山の街」と呼ばれる韓国の貧民街に住む、何も持っていなくても心に愛を持つ人々が織りなす、ささやかだけれども幸せを運ぶ実話集です。 翻訳出版にあたり数冊に及ぶ原作からストーリーを厳選して抜粋・収録。時代や国境を越えた感動を呼ぶ物語が凝縮されています。
【内容詳細2】韓国には「月の街」「山の街」と呼ばれる、貧しい人々が住む街があります。舗装されていない丘の斜面に密集する住宅地。急な階段を上って人々はそこへ帰っていきます。高い場所に位置し、月や山に近いことから、そう呼ばれるようになりました。この本は、そんな「月の街」「山の街」に住む人々のとても温かい物語の数々を収録したものです。
【著者紹介】
イチョルファン : 小説家、童話作家。長編小説に『月の街 山の街(原題・練炭の道)』など。韓国で驚異の大ベストセラー『月の街 山の街』は中国と台湾、『こんぼパン』は日本、『ソンイの黄色い傘』『ラクダおじいさんはどこへ行ったのか』は中国でそれぞれ翻訳出版されている。『月の街 山の街』は2009年、ミュージカルとしても上演され、第4回ミュージカルアワードで小劇場創作ミュージカル賞を受賞した。著者の作品のうち、『美しい別れ』『パパの松葉杖』は小学校の教科書に、『お父さんの傘』をはじめ7作品が中学校の国語の教科書に掲載された。
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