もみさんの一日一冊遊書録(2011年9月1日 スタート!:メメント・モリ)   ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

6 069 小熊英二「日本という国(よりみちパン!セ)」(理論社:2006)感想5 ※3回目

2017年05月15日 01時53分45秒 | 一日一冊読書開始
5月14日(日):  

189ページ     所要時間3:20     ブックオフ105円

著者44歳(1962生まれ)。

3回目(4回目かも?)の通し読み。初回が2008.1.10./2回目が2011.11.23.とメモがある。

中学生以上を読者と位置付けてるので、内容は非常に精選され読みやすい言葉で書かれている。ただ、読み終えた後、世界と日本に対する見え方が、その前と大きく変わっていることに気づく。大きな字で、少ないページ数で書かれてるのに読み手を大きく変えてしまう力を持つ本である。その意味で、類書のない?戦後日本を理解するテキストと言える。

アメリカは、在日米軍基地について、日本以外の国々に対してはアメリカ本国をはじめ、「在日米軍基地は、日本の軍事大国化を抑えるための重しとして置いているのだ!」と説明している。そして、日本人にだけ「日本を守るために存在しているのだぞよ」と言っている。そんな在日米軍基地に存在を認めるだけでなく、沖縄を人身御供に差し出し、さらには途方もなく莫大な「思いやり予算」を出してやってるのに、トランプの馬鹿に「米軍基地タダ乗り」のフェイクニュースまで流されてる日本人・日本政府はどこまでお人好しの馬鹿なのか!5月16日、追加

本書は、本質的に大事なことにフォーカスして書かれている。大事なことの基準は、ホンネ、「実はね…」と、類書のない角度からの指摘を中心に据えて書かれている。三島由紀夫は憲法九条の改正を「アメリカの思う壺」と言っていたそうだ。アメリカに反発しないで、韓国や中国、アジアに威張ろうとする日本の右翼は、根本的にねじれていて変である。北朝鮮の脅威論も冷静に見れば、まったくもってナンセンス。etc.

戦後日本の歩みは、アメリカの都合に乗っかる形でうまく立ち回ってきたが、それはアジアの国々との戦後処理を自発的にせず、アメリカ任せにして来たということである。その付けは、1990年代に東西冷戦が消滅してから大きく日本にのしかかっている。アメリカの対日要求(特に米軍基地と自衛隊)も大きく変わってきている。にもかかわらず、「戦後(処理)」ときちんと向き合ってこなかった日本は、アジアからの信頼も得られないし、本来縮小されるべき国内米軍基地をいまだに「思いやり予算」で支えながら、アメリカから顎で便利遣いされている。そのことのおかしさ、変さに誰も声をあげないことの異常さに気づくべきだよ!

緻密に追えば、もつれた糸のような印象を受ける戦後日本の歩みを、バッサリと斬って、「実はこんなに単純なことなんですよ。それなのに、適切な捉え方や対応ができずに、今こんなにこんがらがってるように見えてるんですよ。おかしいよね!市民の立場で政府やアメリカをもっときちんと監視して、できるところから見直していこうよ。」というスタンスの本である。

戦後日本の歩みを本当に中学生でもわかるぐらい気持ちいいほど、バッサリとたたき斬って、他書だと紛れてしまう「戦後」日本のホンネを見せてくれる内容である。折に触れて、立ち戻るべき座標のような本である。しかも、読みやすい!

【目次】◆第1部 明治の日本のはじまり  :第1章 なんで学校に行かなくちゃいけないの /第2章 「侵略される国」から「侵略する国」へ /第3章 学歴社会ができるまで
◆第2部 戦後日本の道のりと現代 :第4章 戦争がもたらした惨禍 /第5章 占領改革と憲法 /第6章 アメリカの<家来>になった日本 /第7章 これからの日本は

【内容紹介】ぼくたちがいま暮らしているのは、「日本」という国。あたりまえすぎて、考えたことなんてないかもしれないけど、じゃあ、「日本」って、いったいいつ、だれによって、なんのために、どんなふうに作り出されたのか、きみは知っている? みずから「学ぶ」ことの意味とそのための技法に触れながら、いまにつながる「歴史」を知り、未来を探るために描かれる、刺激的な近代史。///近代日本のはじまりから、学歴社会の成立、戦後のアメリカやアジアとの関係、そして憲法改正から自衛隊の海外派遣まで、いまの日本を考えるうえで欠かせない基礎知識を、ひとつながりの見取り図としてやさしく提示する。この国に生きるすべての人、必携の書!

※以下に、前回の読書時のブログ記事を再掲する。

80冊目 小熊英二「日本という国 よりみちパン!セ」(理論社;2006) 評価5
2011年11月24日 06時08分42秒 | 一日一冊読書開始

(2011年)11月23日(水):

189ページ  所要時間4:00

著者44歳。4年ほど前に読んだ本の再読。その時の感想は「憲法九条を変えようとする自民党など保守政治家・右翼・靖国参拝の連中とアメリカ!が如何に偽りで信用できないか!。日本に駄目だしの本。/憲法九条の真の価値と意義を具体的に教えてくれる。アジアの国々に対する戦後保障を誤魔化してアメリカにしがみついている愚。冷戦の終わりと日本経済の停滞が重なる!」(2008.1.10)というものだった。

再読してみて、基本的な感想は変わらないが、外的環境があまりにも変化し過ぎている!。小泉・安倍の自民党政権に絶望していた4年前と異なり、イラク特措法失効、米海軍給油特措法失効、政権交代して民主党政権となり、アメリカも好戦的なブッシュ共和党政権から想像もしなかった黒人のオバマ民主党政権となり、リーマンショックEUのユーロ崩壊による世界的自由主義経済体制の危機の露顕、中国の強烈な軍備拡張と膨張主義の顕示による尖閣諸島への確信犯的侵犯行為、国家の行方を左右するTPP参加問題及び東アジア・東南アジア地域の海洋の安全保障関与へのアメリカの強い意志表明(中国に対する牽制!)、そして何よりもマグニチュード9の東日本大震災及び想像だにできなかったチェルノブイリ級の福島第一原発事故、そして被災者救済保護と無責任な東京電力の賠償責任問題、まもなく日本の原発全停止ととりあえず火力でつないで自然エネルギーの模索など、国内外の状況の変化があまりにも大き過ぎて<隔世の感>がある。

冷戦後の戦後保障・アジア諸国との信頼関係の強化問題、米軍基地縮小(思いやり予算)問題など大事な問題意識が、全く深められないままに、目前の焦眉の問題に政府も国民も気を取られる。この状況の中で、本書を自分なりに丁寧に読み込みながら、既に大きな状況的パラダイムの変化の中で、4年前と同じ気分で、本書の内容にあいづちを打ちにくかったというのが事実である。思えば、4年前の状況ですら、平穏・平和に思えて懐かしい。 

※ただ、だからこそ、本書の価値は、時代が取り組むべき本当の課題をきちんと記録した著書として、<必ず立ち返るべきテキスト>としての役割を持つと考える。本書は、決して14歳の読者に向けられたものではない。むしろ、日本に住む分別ある大人を相手にして書かれている。馬鹿な読み手は著者に「左派」の論客という愚にもつかないレッテルを貼って満足するかもしれないが、断じてそれは誤解だ。著者の実証主義的事実を踏まえた論説は、緻密な事実に基づく座標軸があって、右翼の批判も意に介さない軸足の全くぶれない説得力と勇気ある発言である。

著者の主張は、いつか必ず再び重要な問題として復活するだろうが、しばらくはお休みということになるのだろう。この著者は緻密な調査・研究・洞察で信頼するに足る実証的評論家である。左翼・左派なんて情緒的レッテルは、ゴミ箱に捨ててしまえ!。現状をありのままに分析・解説してくれているのだ。

俺はこの著者を支持することで、俺自身の矜持を大切にしたいと思う。何やら、本来の著作の内容に、十分言及できなかったのは遺憾だが、どうかご勘弁下さい。さらに酒精の摂取による乱文もご容赦下さい。それにしても私たちは、何という変化の激しい時代に生きているんでしょうね。わずか4年ですよ…。 

※是非、大人の方に本書を読んで頂きたい。お願いします。
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