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リタイアーのよもやま話

獣の奏者

2017-04-20 20:56:11 | 読書

獣の奏者

上橋菜穂子

講談社

を一気に読み終えた。

前に「精霊の守人」の読んだが、似た
イメージである。

大人の童話と言えると思う。

ストーリーは、主人公の少女エリンが成長して
展開されるが、どうしてどうして、哲学的だ。

 
特に、個人的に衝撃的な文章に出会った。

これである。

 

クリウは書物を開き、ぱらぱらとめく
ってみせた。

 

「これは、わたしがいま書いている本。
二つの隊商都市が辿ってきた歴史を比較
しているの。面白いわよ。こういう作業
をすると、なにが街を動かし、国を動か
すのか、よく見えるわ。

 

長い時の流れの中で多くの人々がくり返
してきた選択と、愚行。そういうものを
見つめていると、人というものが、どれ
ほど多様で、でも、どれほど似ているか
が見えてくる」

 

クリウの話を聞きながら、エリンは胸の
底が疼くような感覚を味わっていた。
子どものころに、よく感じた衝動だった。

 

なにか、自分がこれまで気づかなかった
こと- この世を動かしている、目に見え
ぬ糸に連なるなにかが、すぐそこに見
えそうになっているという、あの胸が熱
くなるような予感。

 

「わたしは┄┄」

 

思わず、エリンは口を開いた。

 

「生き物の理を学んでいます。この世に
生きる膨大で多様な生き物が、どうして、
このように在るのか知りたくて」

 

そっとクリウの本に触れながら、エリン
は言った。

 

「あなたがいま、おっしゃったことは、
人という生き物の、それですね」

 

クリウの目が輝いた。

以上。

実は、わたしの気持ちのなかにも、こ
のような感情が潜んでいる。

「生き物」を「人生」に置き換えても
いいし、「人」に置き換えてもいい。

十分に正確に言い表せないが。

いずれにせよ。

このような真摯な心持ちを、登場人物
に託して、語る作品は、わたしの読む
本の領域が狭いのか、今までの記憶に
ない。

小説がメルヘンっぽいので、深刻に
ならないのだが、それでも、人の
人生を語る小説だと思う。


できれば、政治家に読んでもらいた
いものだ。


今、北朝鮮とアメリカが挑発し合って
いるが。


登場してくる王獣と闘蛇が「核」にも
思えたりして、意味深な気分になるが。

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