杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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妊婦と喘息 

2006年08月31日 | Kanpo-Master の部屋
Ashma in pregnancy

入院してくる妊婦さんを見ていると多くの人が妊娠したから、という理由だけで
(理由になっていないが)吸入ステロイドをやめてしまっている場合が多いと思います。以下参照してください

妊婦の7%に喘息がある。増悪は24週から36週に多い。出産後も26%から42%に増悪を起こす。妊婦で吸入ステロイドをしていない群としていた群では喘息の増悪を率は18% vs 4%である。[Am J Med 2000;109:727-733]
budesonide is the only inhaled corticosteroid to receive acategory B rating. その他の吸入ステロイドはすべてcategory Cである。

[Asthma in Pregnancy Am J Med. 2000;109:727-733]によると、、

妊婦喘息はおおよそ1/3が悪くなり、1/3が改善、1/3が不変である。
症状はthird trimesterに改善することが多く、分娩後に26%から42%が増悪したという報告もある。気道過敏性は妊娠後期になるにつれて改善していく?

■TREATMENT■

■β2-Adrenoceptor Agonists
Inhaled β2-adrenoceptor agonistis

●short-acting agents
これらは、congenital malformation,perinatal mortality,
low birth weight,complications of labor and deliverryにへのadverse effectsはない。
metaproterenol
terbutaline 硫酸テルブタリン(ブリカニール)
albuterol
salbutamol硫酸サルブタモール 
(サルタノール、べネトリン)

●long-acting β2adrenoceptor agonists
→これらは安全性についてはあまり知られていない。
salmeterol (セレベント)
formoterol フマル酸ホルモテロール (アトック)

■Corticosteroids
吸入ステロイドは妊婦への喘息の増悪予防にかなり有効である。
その増悪を1/4まで抑えたという報告がある。[Thorax 1996;51:411-414]
吸入ステロイドのbeclomethasoneとbudesonideは妊婦に広く使われているが安全であると考えられる。

inhaled beclomethasoneとbudesonide、oral prednisone and prednisoloneは
先天奇形、流産、胎児死亡との関連は言われていない。ただし、first trimesterの非喘息患者へのステロイドのsystemicな投与は口唇裂の報告が多いという一つのstudyがある。[Teratology 1998;58:2-5]→この著者はlife-threatening situationかもしくは代替療法のないsevere asthma以外には使用すべきでないとしている。

■Theophylline
妊婦ではclearanceが20%から35%程度低下するので注意が必要。
経口のテオフィリンは妊婦に対しては効果は様々であるがあまり期待できない。妊婦に対する静注のテオフィリンは喘息発作時のステロイドの全身投与に加えてもさらなる効果は期待できない。

■Anti-Allergy Medications
抗ヒスタミン剤:chlorpheniramine(ポララミン)などの妊婦への使用は先天奇形の発症の増加はない。leukotriene receptor antagonistsの妊婦への投与はルーチンでは薦められない。安全性に関するデータはないため。

■Practical Considerations
大体beclomethasone or budesonide(100ug to 800 ug daily)が最もよく投与されている。reductionは1から3ヶ月ごとに25%から50%程度ずつ減量していく。
最大量はbeclomethasoneで2000ug/day程度。気管支拡張薬も併用し、この場合にはではテオフィリン製剤の効果は不明であるが加えてみるのも良い。

吸入ステロイドの充分量で症状がつづく場合にはlong-acting β2aderenoceptor agonistであるsalmeterolやfomoterolが必要になる。これらの安全性は確立されていないので注意が必要。妊婦のacute severe asthmaの発症は妊娠していない人と同様でよい。

■[Asthma Ann Allergy Asthma Immunol 2000;84:475-480]
The use of newer asthma and allergy medications during pregnancy
ACOG-ACAAIの合同statement The American College of Allergy
-The American College of Obstetricians and Gynecologists

■salmeterol
人間での妊婦でのデータはないが、moderateからsevereなasthmaで妊娠前に著効した場合には好まれる。salmeterolが吸入ステロイド量を2倍にしたものより効果があったとする報告がある[AJRCCM 1996;153:1481-1488]

■NEBULIZED Ipratrapium(アトロペント)
急性発作の妊婦で最初のβ刺激剤の吸入で改善のない場合には使用することができる。妊婦でのデータはない。動物では問題なかった。

■Inhaled corticosteroids
妊婦に始めるならbeclomethasoneかbudesonideが選択されるべきだ。high doseの吸入が必要な患者にはbudesonideがベスト。

■Oral corticosteroids
20830人のcongenital malformationを持つinfantsのうち母親が経口ステロイドを内服していた率はnormal control群と比較して著変なかった[Teratology 1997;56:335-340]。逆に最近のcase control studyではfirst trimesterで全身のステロイド投与を受けた群は口唇烈が多いという報告もある。OR6.55 [Teratology 1998;58:2-5]


Budesonideと妊娠

2006年08月31日 | 新たな発見? 常識?
先週のランチョンでもあったパルミコートと妊娠についての文献紹介です。
Silverman M, Sheffer A,et al. Ann Allergy Asthma Immunol 2005; 95:566-570
かなり短かめなので抄読会にはおすすめ!
ちなみに毎日400マイクログラムの吸入で3年間みているものです。
ただ通常の気管支喘息治療(吸入ステロイドなし)群と喘息治療にパルミコートを導入したもので
安全性と効果をみています。
結局、安全性に差はない、つまり安全というわけではありません。
気管支喘息では、喘息死を防ぐことが大切で、そのために喘息コントロールをしっかりすることを優先しなさいということにつながります。
あくまで、喘息のコントロールが必要な状況のみの使用ということ!!

NYの夏も暑いです。 真っ赤に日焼けしました。

ANCA関連血管炎

2006年08月29日 | Kanpo-Master の部屋
■ Prevalence of positive anti-neutrophil cytoplasmic antibody (ANCA)
in patients receiving anti0thyroid medication
[European Journal of Endocrinology 2000;142:587-590]

甲状腺機能亢進症で抗甲状腺薬を数年間内服しているとANCA陽性になることが結構ある(27%)というcross-sectional study.特にPTU内服で陽性になることが多く、機序はいまだ不明な部分もあるが、好中球に集積したPTUがMPOに対する抗体を誘導するという説がある。抗甲状腺薬の中止でANCAが消失したり持続したりする例がある
いずれにしてもseropositiveと本当にvasculitisを起こしているというのは別問題のようである

■A 38 Year-old man with fever and blurred vision MGH Case records
[NEJM 2005;352:2003-12] 紫斑の鑑別に有用なペーパーです

■ Update in the Diagnosis and management of pulmonary vasculitis
[CHEST 2006;129:452-465]
最近の治療TNF-α blockerなども分かりやすく載っています

■ A Ramdomized Trial o Maintenance Therapy for Vasculitis Associated with ANCA [NEJM 2003;349:26-44]
Induction therapy後に比較的早い段階でCyclophosphamideからAzathioprineに
変更しても再発率はあまり変わらなかったというランドマークstudyです一見の価値あります








糖尿病と感染症

2006年08月29日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。
この部屋では最新もしくは古い情報も交えて文献の紹介と、有益な
サイトの紹介をしていきます。
まずは、手始めに

■Infections in Patients with Diabetes Mellitus
[NEJM 1999;341:1906-1912]

http://content.nejm.org/cgi/content/extract/341/25/1906?firstpage=1906&volume=341&sendit=GO&searchid=1&FIRSTINDEX=0&volume=341&firstpage=1906&resourcetype=HWCIT
■ Pulmonary Complications of Diabetes Mellitus
[Infectious Disaease Clinics of North America 1995;9:65-96]

●糖尿病患者での頻度が増加する肺病変とは・・・

*Staphylococcas aureus
*Gram-negative bacterium(Klebsiella, Escherichia coli, Enterobacter, Pseudomonas)
*Mycobacterium tuberculosis
*Fungus (mucormycosis, aspergillosis, cryptococcosis, coccidioidomycosis)

で、意外にもNTMやNocardiaの頻度はnon-DMの人と一緒のようです。

●糖尿病患者で致死率が上がるもの
Streptococcus (Group B streptococcus, S.pneumoniae)
Legionella
Influenza





ブログ管理者 Mr チンより

2006年08月28日 | 本日は、、、、、、
管理者 Mr チンです。
皿健さん、イッシーさん、早速投稿ありがとうございます。
皆様、ドシドシコメントいれてください。
とりあえず、まずはお題に対するコメントお待ちしています。
またお題自体を書きたいという方、私Mr チンまでメールください。
登録して書きコできる方法を教えます。
23c2230@mail.goo.ne.jp
です。

Morning conference 必殺キラーパス

2006年08月28日 | お知らせします
以下に候補に挙げられてしまった人たちを載せますね
キラーパス候補です。

■Dr荒井→サルコイドーシス
      癌性心膜炎、心膜炎全般

■Dr荒岡 グラム染色続き

■Dr三倉→HIV陽性のPCP
皿谷がHIV陰性のPCPのフォローします。

■Dr.高田→糖尿病と感染症、特に肺病変
満を持して総統の登場となります。
血管炎は僕がやっちゃったし、、、

■Dr.こいでまん→間質性肺炎総論、主に分類についてのみでいいです。

■Dr.ゆきえ→特発性間質性肺炎全般
こいでまんのあとにしましょう

■Dr 和田→COPD review

■あと、僕の独断と偏見でDr石井に間質性肺炎の案内人として
臨床上大事な点、など解説
 

CPIS 一応知っておいてね。

2006年08月28日 | 新たな発見? 常識?
皿健からの文献紹介でhttp://www.chestjournal.org/cgi/content/abstract/130/2/597がでました。
人工呼吸器関連肺炎(VAP)の総論的なものです。
それほど新しい内容はありません。
ここで知っておいた方がいいものはCPIS(Clinical pulmonary Infection Score)です。
Am Rev Respir Dis 1991; 143: 1121-1129
から出たものでVAPを対象にしたスコアです。
スコアが6点以上あれば感染症としての対応をすべきというものです。
つまりVAPを疑われる症例で心不全や無気肺との鑑別に使えるだろうというものです。

僕のNYの仕事は、このCPISを診断ではなく早期の治療判定に使えないかというものでした。

ACADEMIC CALENDAR 060825

2006年08月27日 | お知らせします
杏林大学呼吸器内科の8月末から9月初旬のacademic activity(=我々の成果と熱意)を紹介します。

8月31日(水) 呼吸器内科研究カンファレンス
 1.Progress Report(倉井Drと皿谷Dr)
 2.European Respiratory Society(ERS)2006 の予行 
 3.症例検討会(岡崎先生と加藤A Dr.)
9月4日(月) 和田Drが ERS 2006 in Munich (German)で発表。
9月8日(金) 和田DrがSeminar in Hospital Universitario Son Dureta (Palma de Mallorca, Spain)でシンポジウムセッションで発表。

9月9日(土) 太田Dr、山元Drらが当科の石井Dr司会のセッションで貴重な症例経験を発表(日本呼吸器学会関東地方会 at 松本)

酸素療法ガイドライン

2006年08月27日 | 新たな発見? 常識?
今月郵送されてきた日本呼吸器学会の酸素療法ガイドラインは是非、愛用してください。結構、読みやすいと思います。
酸素吸入に関する知識、酸素療法の実際はみんな読んでね。

38ページにはネブライザー付酸素吸入器(インスピロンなど)も書いてあります。詳細な内容は書いていませんが入門としては参考になると思います。
インスピロンは高濃度酸素の供給に限界があること、そして酸素濃度の調節つまみを設定以外に動かさないこと、の理由は分かっておいてください。

ブログ始動です。

2006年08月27日 | 本日は、、、、、、
皆さま!お待たせしました。
本日、8月27日に我々のブログが開設されました。
日々の出来事を書いてください。当面は、カテゴリーは4つとします。
本日の出来事
新たな発見?常識?(文献などの紹介)
愚痴っていい?(喜びも悲しみも分かち合いましょう)
お知らせ(当科のイベント)
でやっていきたいと思います。
よろしくね!!  ルイージ!