小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

「一つの花」私の下手な授業で起きた小さな奇跡

2017-07-15 15:44:49 | 授業中の攻略法
「一つの花」
への子どもたちの関心は高かったですね。
「なぜお父さんは『めちゃくちゃに』ゆみこを高い高いしたのだろうか?」
「なぜ『お母さんでしょうか』という書き方なのだろうか?」
こういう疑問が子どもたち側から出されて、それを検討するときは大いに議論が活発化されました。
もちろんその中では未熟な意見もたくさん出ました。
ここがこの教材と4年生のギャップだろうと思います。
しかし中には核心に迫るような発言もあったりして、そこでクラス中が息を飲むようなあの瞬間はたまりませんね。

特にインパクトが強かったのが
「なぜお父さんは『一輪だけ』コスモスを渡したのだろうか?」
という問いです。
安易に
・ゆみこがいつも「一つだけちょうだい」というから
・コスモスが一輪しか咲いてなかったから
のようなものも出されましたが、それは明らかな誤読ですので、私がやんわりと訂正しました。
そんな中に、ある子が私の所に来てこう言いました。
「先生、ぼくの書いたことと、けんたさんが書いたことが、そっくりでしたよ。」
私はよくやるのですが、自分の考えをノートに書けた子はそのノートを持って席を立ち、他の子と紹介し合わせています。
学び合いにもなるし、まだ書いている子との時間差を埋める手立てにもなります。
その活動の中で、この子は同じことを書いている子を見つけたそうです。
この子は、普段なかなか手のかかる子で、授業で活躍することはあまりない子です。
この子が「そっくりでした」と言った相手の子も同様の子でした。
ですので、とっさに私は「その程度の」中身で一緒だったんだろうと思っていました。
この子たちの場合、中身がどうというより、課題に対して自分できちんと書けたこというだけで褒めてあげたいところでした。
時間もあまりなかったので、その子たちのノートを見ることもなく、全体での発表へと移りました。
前に紹介したような考えがいくらか出されたあと、私はふと思い出して言いました。
「太郎くんとけんたくんが、偶然にもそっくりなことを書いたらしいよ。聞いてみたくない?」
他の子たちはみんな
「うんうん」
と。
「じゃあ、太郎くんからどうぞ」
照れくさそうな太郎くん。
「みんなみたいに長くは書けなかったんですけど」
「全然いいよ」
自分のノートに目を落とし、もう一度自分が書いたことを飲み込むように見つめていました。
その間わずかな沈黙が教室を包みました。

そして
「ゆみこには命が一つしかないから、花も一つだけあげた。です。」

この言葉のあと、さっきの沈黙より少しだけ長い沈黙がまた教室を包みました。
この沈黙は、不思議、驚き、混乱、感動、いろんなものが混じった沈黙です。
私は、胸が震えました。
その震えのまま、
「…じゃあ、けんたくん」

「ゆみこの一つの命に、一つの花をあげた」
他の子は
「そっくりだぁ」
「すご~い」
自然と拍手も起こり、二人は普段の授業では体験できないような活躍にうれしそうにしていました。
でもここでおきた拍手のほとんどは「そっくり」だったことへの拍手であり、その中身ではなかっただろうと思います。
だって、それを深く味わい検討することができる子はまだ少ないから。
でも一人目の後のあの少しの沈黙は、味わっている時間だっただろうと思います。

しかし、改めて私は驚きました。
この二人からこのキーワードが出てくるとは。
「一つの命 一つの花」
コスモスは群生してるはずです。
それこそ食べ物は一つしか与えられなかったから、花ならたくさん与えることはできただろうに、やっぱり一つだけ与えた。
そこに込められる父親の思い。
発表した2人の子の短い文章に、どれくらいそれを考えられていたかは、また尋ねてみたいと思いますが、なんとなく、この子たちなりの直感で書いた文章のように響きました。
少なからず、ここまでの授業で子どもの中に積み重ねられたものがあったということでしょうか。

下手な国語の授業を連発している私に、珍しくうれしい瞬間でした。
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