大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年07月25日 | 植物

<1055> ナラ(楢)枯れのこと

       炎天下 一雨欲す 奈良盆地

 奈良市の山では、どうもナラ枯れが続いているようである。春日山や若草山の北方に当たる山中一帯に見られる。青々としている山腹の中に紅葉を思わせる木々が散在している。既に枯れ枝ばかりになっている木々も目につく。冬にはわかりづらいが、ほかの木々が葉を繁らせ青々としている今の時期にはよくわかる。どうしてこのようになるなか。

 これはブナ科のコナラやカシ類の幹の中にカシナガと呼ばれる甲虫のカシノナガキクイムシが多数入り込み、ナラ菌を媒介して、この菌の繁殖によって木地が細分化され、その屑が菌糸とともに幹の道管を詰まらせてしまい、水の補給が出来ず枯れてゆく。通りがかりにうかがうに、市街地に近い山で紅葉のような状態の木々が目につき、大和高原に向かうに従って少なくなるのがわかる。

                                                                

 ナラ枯れは一九八〇年代から始まり、その被害はナラ(楢)類が見られる各地に及んでいる。農林水産省の調べによると、平成二十二年(二〇一〇年)をピークに減少傾向にあるが、増えている地域もあるという。完全に枯れている木々が目立つ中で、紅葉したような木々が目につくのは、ナラ枯れがまだ納まっていないことを示すものであろう。

 紅葉したような木々を見る限り、幼木は目につかず、全体に樹齢のいっているものが多いように思われる。これはある程度大きい木々にカシナガが寄り集まって来るからで、木に勢いのないものが襲われるのではなかろうか。全国的に見て被害が減少傾向にあるのはそうした大きい木がほとんど被害にあったことによるものではないかという見方もなされている。対策は難題であるが、どちらにしても、ナラ枯れはストップさせたいところである。 写真は紅葉のようにナラ枯れが見られる山腹とナラ枯れの姿(いずれも、奈良市川上町で)。

 

 

 

 


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