大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2017年02月10日 | 植物

<1869> 大和の花 (140) ミツバツチグリ (三葉土栗)                                              バラ科 キジムシロ属

              

 日当たりのよい山野の草地に生えるキジムシロの仲間の多年草で、日本全土に見られ、大和(奈良県)でも見受ける。ミツバツチグリの名は、紡錘状の根茎を焼くとクリのような味がするツチグリに似て、葉がツチグリと異なる3小葉であることからつけられた。3小葉には大小があって、匍匐する枝につく小葉は少し小さ目である。ツチグリの根茎は食用に供せられるが、ミツバツチグリを食べる話は聞かない。

 花期は4月から5月ごろで、直径1.5センチ前後の小さな黄色い5弁花を咲かせる。花弁は広倒卵形で、他種に似るが、付け根が急に細くなり、花弁と花弁が離れないタイプが多く、花を上から見ると、萼片の部分が星の形に見える特徴が顕著である。だが、雑種も存在するとされ、見分けの難しさが指摘されている。 写真は日当たりのよい草地に群落をつくって花を咲かせるミツバツチグリ(左・東吉野村の台高山系の尾根筋)。上方から見た花(中・同)。斜め側面から見た花(右・金剛山)。     春はそこそこそこそこと言ってみる

<1870> 大和の花 (141) ツルキンバイ (蔓金梅)                                               バラ科 キジムシロ属

          

 山地の林内や林縁の少し湿り気のあるようなところに生えるキジムシロの仲間の多年草で、本州の関東地方以西、四国、九州に分布。大和(奈良県)では標高700メートルほどの金剛山山中から標高1500メートルに及ぶ紀伊山地の深山までその姿は見られる。だが、自生地、個体数ともに限られ、奈良県のレッドリストには希少種としてあげられている。

  匐枝を出して広がり、群落をつくることが多く、一面に生える印象がある。縁に鋭い鋸歯のある菱状卵形の3小葉が見られ、小葉には裏面に毛が生えている。花期は4月から6月ごろで、細い花茎の先に直径2センチほどの黄色い5弁花を数個つけ、順次咲く。花弁の基部の辺りが濃く、オレンジ色になっているのが特徴で、他種との見分けのポイントになる。 写真は群生して花を咲かせるツルキンバイ(左・中・金剛山)と花のアップ。花弁の基部が濃くなっているのがわかる(右・山上ヶ岳)。  似て非なる花を思へば人もまたそれぞれにしてありけるところ

<1871> 大和の花 (142) テリハキンバイ (照葉金梅)                                          バラ科 キジムシロ属

                                                    

  川岸の岩場や林縁の礫地などに生えるキジムシロの仲間の多年草で、本州の近畿地方以西と四国に分布するとされる。匐枝を伸ばし、地を這うように群落をつくって生え、茎は有毛で倒卵形の3小葉をつける。小葉には光沢のあるのが普通であるが、光沢のない個体も見られる。

  花期は4月から5月ごろで、直径が1.2センチほどの黄色い5弁花を花茎の先に数個つける。葉も花もミツバツチグリに似るが、広卵形のミツバツチグリに比べ、花弁が細身で、葯に丸み円みがある。しかし、雑種も考えられるようで、判別には難しい点も指摘されている。

  大和(奈良県)では、御所市と十津川村の自生地が知られ、『大切にしたい奈良県の野生動植物』の2008年版には、「南部の渓流岸の岩場に生えるものは葉の表面に光沢があるが、金剛山のものはほとんど光沢がない」と報告され、絶滅危惧種にあげられている。 写真は群生して花を咲かせるテリハキンバイ(左)と花のアップ。  一輪の花のもとにも風土論冬を凌いで来る春がある

<1872> 大和の花 (143) イワキンバイ (岩金梅)                                              バラ科 キジムシロ属

                   

 山地の岩場や崖地に生えるキジムシロの仲間の多年草で、この名がある。北海道、本州、四国、九州に分布し、大和(奈良県)では紀伊山地の山岳高所部、私の知るところでは大峰山系の標高1600メートルより上部の岩崖地に自生している。どちらかと言えば、亜高山帯の草花で、大和では自生地も個体数も限られ、絶滅危惧種にリストアップされている。

近辺の岩崖にはオミナエシ科のキンレイカ(金鈴花)、イワウメ科のコイワカガミ(小岩鏡)、セリ科のミヤマトウキ(深山当帰)、ユキノシタ科のダイモンジソウ(大文字草)などが見られ、それぞれに時を得て花を咲かせている。イワキンバイは1回三出複葉から奇数羽状複葉まで見られ。鋸歯を有する小葉は菱状卵形で、裏面に伏毛が密生し粉白色を帯びる。花期は他種よりも遅く、6月から7月ごろにかけて開く夏の花である。集散花序に直径1センチほどの黄色い5弁花をつけ、草丈の割には花が多く、岩崖を彩る。

写真は大峰山脈の尾根筋での撮影。岩壁に貼りつくように株を張ったり、岩の裂け目に根を下ろしたりして花を咲かせるイワキンバイ(左・中)と花のアップ(右・葯は花弁と同色の黄色で、黒紫色に点々と見えるのは役目を終えたものと思われる)。  佐保神を乞へど列島雪の報

 

 

 

 

 

 

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