大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

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2017年07月12日 | 写詩・写歌・写俳

<2021> 余聞、余話 「九州の豪雨災害に思う」

       あのときと同じ光景いまもまた悲惨の極み術なきものか

 九州の北部、福岡県や大分県では記録的な集中豪雨によって甚大な被害がもたらされた。日本列島では毎年何処かでこうした自然災害が起き、甚大な被害を被っている。地震による災害もさることながら、集中豪雨による被害も最近多くなっているように思われる。今回にも言えることであるが、このような甚大な災害が起きると、またかという気分にさせられる。果たして頻発する集中豪雨による災害は何故多くなっているのだろうか。今回の被災状況を見分してもわかるように、そこには二つの大きな要因が絡んでいるように思われる。ここではこの二つの要因に触れながら今回の集中豪雨による災害を考察してみたいと思う。

 まず、その要因の一つとして考えられるのが地球温暖化による日本への影響である。日本は大陸と大洋に挟まれた列島の国で、地球上の概ね温帯域に位置し、季節によって一定の気象的変動が見られる四季の国である。これは地球誕生以来の地球自体の構造と銀河系の太陽と地球の関係によるところが大きく、私たちにとってこれは生活環境に適合し、バランスされて来た自然の状況である。このバランスされた環境の状況が地球温暖化によって崩れ始め、その兆候が地球上のさまざまな場所に現われ、私たちの生活をも脅かすようになったということである。

 北極や南極の氷が融け始めていることは温暖化の状況をよく示すわかりやすい例であるが、日本列島でも年々気温が上昇し、猛暑の夏に温暖な冬が実感され始めて久しい。そして、最近では四季にメリハリがなく、春と秋が短く感じられるようになったこともあげられる。この現象は日本列島上空の気象異変の引鉄になり、今回のような災害ももたらされることになるわけである。

  言わば、海水温の上昇に影響される太平洋上で膨大化する気圧団が寒冷域に接する日本列島に押し寄せ、今回のような前線上に次々と雨雲が発生し、集中的豪雨をもたらす現象が起きる。いわゆるこの集中豪雨は温暖化によるエネルギーが日本列島上に及んだ結果と受け止められる。気象のメカニズムをつき詰めてゆけば、その要因は気象的バランスを崩しつつある地球温暖化に行きつく。

                                 

 要因の二つ目は集中豪雨に襲われる日本列島の国土に問題が生じていることである。今回の被災地の特徴的様相は単なる降水量のみならず、山の崩壊による土石と流木による被害が甚大なのが特徴として見られる。生木もろとも地滑り的に山が崩壊している。これは何を意味しているのだろうか。この被災地の状況から思われるのが山自体に問題があるということである。崩壊の様相をうかがうに、大半がスギやヒノキのいわゆる針葉樹の植林が絡んで起きているということである。そして、これらの崩壊がみな傾斜地であるということ。つまり、地盤の脆い傾斜地に高木の針葉樹が植林されているという場所で崩壊は起きている。

 この植林帯の状況を少し詳しく見れば、次のように言える。現在のスギやヒノキの植林帯の風景は戦後の産業促進の一つの事業として昭和時代の中ごろ、国の方針によって行なわれ、生まれたもので、全国的に見られる。植林された針葉樹林は山に入らなくても遠望出来、円錐形の針葉樹の林立は実に美しく見え、今や里山の風景になっている。しかし、その内実は深刻で、問題を抱えているということが出来る。当時植林されたスギやヒノキは概ね四、五十年の樹齢に達し、大きくなっている。ところが、植林後日本の産業構造に変化がもたらされ、輸入材が安価に入る状況になり、林業の斜陽化が始まった。その結果、山仕事に従事する人が少なくなり、放置状態の植林帯も多くなった。

 本来ならば、樹齢を重ねるに従って間伐を行ない、立派なものを育てる。言わば、林業は息の長い世代間にまたがる事業であるが、間伐が行なわれない状態ではスギでもヒノキでも枝を広げることが出来ず、上へ上へと伸び上がり根を張らない状態に陥る。人が手入れをせず、山を放置状態にすると、こうした木々が密生状になり、一見美林に見えるけれども、山の実態は病状を悪化させているに等しく、これは糖尿病を放置しているのに似ているということが出来る。

  間伐を行なわず、山に手を入れないまま年月を積み重ねてゆくと、痛くも痒くもない糖尿病がその病状の限界に及び、他病を併発するのに似ている。植林帯では年月を重ねるごとにその土地にかかる重量は大きくなり、その上、木自体が踏んばるだけの根を張ることが儘ならず、脆い土壌の傾斜地では大量の雨水によって一気に押し流されるということが起きて来る。今回を含む同じような集中豪雨による被災は山を軽視して来たツケによるものという考えがここでは成り立って来る。集落に襲いかかった巨大な流木の光景はこのことをよく物語っている。

 国は東日本大震災後、国土強靭化政策に基づき対策に当たっているのであろうが、一向に効き目がないことが今回の洪水でも示された。それは災害の起因するところに対処せず、防禦のみに明け暮れていることの証のように思える。地球温暖化の問題は世界の足並みにかかっていることで日本のみでは問題の解決には遠いが、人が変えた山の状況は日本自体の問題であるから対処は可能である。例えば、山の傾斜地には風雨に強いよく根を張る樹木にするなど、山に対する対策が必要に思われる。

  これまでに起きた洪水の要因についてもっと総体的な分析を行ない、こうした山域の状況にも意識を通わせ対策に当たらなければ、この二つの要因の絡みによって、また、日本のどこかで同じ形の洪水による災害が起きることになるだろう。 写真は洪水によって大量に流されて来た巨大な流木(福岡県朝倉市の洪水現場で・テレビの映像による)。 

 

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